1.今月の住宅ローン金利の動き
金利競争の主戦場となっている変動金利は、安定した低金利が続いています。
固定金利では、長期金利(10年国債利回り)が低下したため、今月は10年固定金利やフラット35がやや下がりましたが、トレンドとしては高水準の金利が続いています。
変動金利と固定金利とでは、動きが異なります。
変動金利は「短プラ(短期プライムレート)」と呼ばれる金利指標の影響を受けますが、こちらは2009年頃から全く動きのない状況が続いており、現在の安定した低金利の最大の理由となっています。
一方、固定金利は長期金利(10年国債利回り)の影響を強く受けます。
金融の中心地・アメリカでインフレ沈静化に向けた「政策金利の利上げ」が歴史的な急スピードで行われている影響から、日本の代表的な市場金利である長期金利(10年国債利回り)も今年に入って急上昇し、日銀がコントロールする上限の0.25%付近で推移してきました。
今夏、アメリカの金利市場では「インフレはまだ収まらないから利上げが続くだろう」という見方と、「急速なスピードの利上げによって、近い将来に景気が冷え込んで利下げに転じるのではないか」という見方が混在しています。
そうした中、日本の長期金利は7月〜8月中旬にかけて一時的に低下したことが、9月の固定金利の低下につながったと考えられます。
(なお、その後長期金利は再度上昇しています)
モゲチェックとしては、現時点ではアメリカのインフレが沈静化しておらずまだ利上げが続く可能性が高いことから、日本の長期金利が高止まりし、結果として固定金利は高水準が続く可能性が高いと予想しています。
モゲチェックの分析では、本格的に上昇し始めるまでには10年以上の時間がかかるとの見立てから、変動金利の利用をオススメしています。気になる方はぜひこちらの記事もお読みください。
2.変動金利をおすすめする理由と将来予想
(2−1)なぜ変動金利がおすすめなのか?
モゲチェックが変動金利をおすすめするのは、以下の理由からです。
①住宅ローンは返済が始まってから初期の段階ほど、低い金利を使うべきだから
②日本銀行の低金利政策(金融緩和)が長期化する可能性が高いから
それぞれ解説していきます。
①について
住宅ローンでは、一般的に元利均等返済という返済方法が用いられます。これは、返済のより早い時期ほど元本返済を減らして利息返済を増やすことで、毎月の返済額を一定にし、住宅ローン利用者が返済しやすくするためです。
そのため、残高が多く残っている返済の初期ほどより多くの利息を支払うことになり、35年の返済期間のローンの場合、利息総額の半分近い金額を最初の約10年で支払うことになります。
つまり、返済の総額を抑えるためには、返済初期ほど低い金利を利用することが肝心です。
初期に低金利を利用すれば、元本返済が早く進むことになります。元本返済が進むことで、万が一将来的に金利が上がるようなことがあっても、返済額の増加を抑えることができます。
(例)借入金額3,500万円・金利0.5%・35年返済の場合、利息総額約320万円のうち、最初の10年でおよそ半額の約150万円を支払うことになります。
②について
日本銀行(以下、日銀)は日本の金融市場を司る、日本の中央銀行です。
日銀は現在、景気を下支えするために大規模な金融緩和政策を長期にわたって継続しており、低金利が続くように市場金利をコントロールしています。
ここ最近の日銀の政策決定会合では、現在の金融緩和政策を維持するスタンスが強く示される結果が続いています。
住宅ローン金利は日銀の金融政策の影響を強く受けるため、日銀が金融緩和スタンスを大きく変えない限り、変動金利は低金利が続くことが予想されます。
なお、日銀は金融緩和の目的を「安定的な2%のインフレ(物価上昇)を達成するため」と説明しつつ、「本格的な賃金上昇が伴わないインフレなら金融緩和をやめず、低金利を維持する」スタンスをとっています。
ウクライナ問題による原油価格の上昇の影響からガソリンをはじめとする様々な物価が上がっており、現在日本のインフレ率は2.5%近くとなっています。しかし、現時点では日本の賃金上昇が限定的であるため、日銀の金融緩和はさらに長期化する可能性が高く、やはり変動金利は低金利が続くと予想します。
インフレの見通しについては、TVでもおなじみのマネックス証券・大槻奈那氏へのインタビューの模様を下記記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
>>住宅ローン金利とインフレ動向を大胆予想!変動と固定どっちがオススメ?マネックス証券の著名アナリストに聞いてみた
(2−2)変動金利の将来予測
モゲチェックでは変動金利型住宅ローン金利の将来予測をする計量モデルを開発し、毎月予測を行っています。このモデルによる現時点での予測はグラフの通りです。
このグラフから、変動金利は今から10年後頃から徐々に上昇し、最大2%超まで上昇した後に低下する可能性があると読み取れますが、少なくとも向こう10年程度は大きな変化なく低金利が続くという予測になっています。
(2−1)の解説の通り、住宅ローンは返済の初期ほど多くの利息を支払うことになります。
したがって、新規借り入れ・借り換えいずれの場合も、今から10年程度先までの金利水準が重要であり、より金利水準の低い変動金利型をおすすめします。
3.住宅ローンインデックスの動きと変動・固定の金利差
主要なネット銀行、メガバンク、地方銀行の変動金利、メガバンクの10年固定金利、フラット35の金利をそれぞれ平均した、住宅ローン金利インデックスの動きは下図の通りです。
(住宅ローン金利インデックスは、複数の銀行の金利を平均化した指標となります)
変動金利が低下傾向の一方、固定金利は高い状態が続いています。
変動金利と固定金利が逆方向に動いていることで、この金利差も拡大しており、過去最大クラスの1.08%となっています。これは毎月返済額で約1.8万円、総返済額で約740万円もの差がつく大きな金利差(借入額3,500万円、35年返済の場合)となります。
上述のように毎月多額の返済をプラスしてヘッジするほどの金利上昇リスクは大きくないと考えられるため、変動金利の利用が優位な状況だとモゲチェックでは考えています。
※インデックスの内訳と主要な銀行の金利の前月との比較を、本稿の最下部に「7.参考情報」として掲載しています。
4.自分の住宅ローンはどうすればいい?タイプ別対処法!
ここまでの金利見通しを踏まえ、住宅ローンをすでに利用中の方、これから住宅ローンを組む予定の方、それぞれのタイプ別にアドバイスをまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
(4−1)すでに住宅ローンを借りている方
①変動金利を利用中の場合
モゲチェックでは変動金利の基準金利が上昇する可能性は低いと予想しています。引き続き変動金利をご利用いただくことをおすすめします。
ただし、利用中の変動金利が0.8%以上の方は、総返済額を大きく削減できる可能性があるので、住宅ローンの借り換えを検討してみてください。
②固定金利を利用中の場合
いま固定特約期間中であれば、その期間中は適用金利が変わりません。
ただし、これから固定特約期間が終了する予定の場合は、固定金利を再選択すると従来よりも高い金利が適用され、返済額が上昇することが一般的です。
全期間固定金利を利用中の方は、完済まで今と同じ金額での返済が続くことになりますが、変動金利や固定特約型の方に比べて割高に金利を支払っている方が多いです。借り換えによって返済額を節約できる可能性が高いでしょう。
変動・固定特約・全期間固定のどちらを利用されている場合でも、いますでに住宅ローンを組んでいる方は、借り換えによって返済額を節約できる可能性があります。借り換えをぜひ検討してみてください。
>>プロからの借り換え提案を受けてみよう!「住宅ローン診断」はこちら(無料)
(4−2)これから住宅ローンを組む予定の方
①変動金利の利用を検討している場合
変動金利は今と同程度の低金利で推移することが見込まれます。引き続き変動金利の利用を検討してみてください。
②固定金利の利用を検討している場合
モゲチェックでは、今後固定金利が上昇する可能性があると考えています。そのため、住宅ローンの利用開始が遅くなるほど、固定金利金利が高くなってしまう可能性があります。住宅ローンの利用開始まで時間がかかる予定の方は、今から固定金利の推移をチェックすると良いでしょう。
また、全期間固定よりは20年固定、20年固定よりは10年固定など、短めの期間のものの方が金利が低くなるので、何年の固定金利にするかも検討してみてください。
※金利タイプについて詳しく知りたい方におすすめ!
住宅ローン金利とインフレ動向を大胆予想!変動と固定どっちがオススメ?マネックス証券の著名アナリストに聞いてみた
5.モゲチェックのイチオシ住宅ローン!
モゲチェックでは、金利水準だけでなく住宅ローンに付帯する団信保障を考慮して住宅ローンを選ぶことを推奨しています。モゲチェックが特におすすめする住宅ローンは下記のとおりです。
『少しでも低金利の方がいい!』そんな方へ
- auじぶん銀行「がん50%保障」
auじぶん銀行はトップクラスの低金利でありながら「がん50%保障」を無料で利用でき、低金利と充実した団信が両立した完成度の高い住宅ローンです。
しかも「がんと診断されたら住宅ローン残高が半分になる」という保障だけではなく、急性心筋梗塞や脳卒中、肝疾患や腎疾患等にも対応しており、実質的には「5疾病50%保障」となっています。
au金利優遇割(携帯電話回線や電力サービスとのセット契約)と組み合わせることでさらに金利優遇を受けることもでき、auのヘビーユーザーの方もそうでない方も、誰もが一度は検討すべき住宅ローンです。
{template:18}
- SBI新生銀行「安心保障」
一般的に住宅ローンの条件が良いほど審査は厳しくなるものですが、SBI新生銀行は低金利でありながら審査が非常に柔軟であることが特徴です。固定金利希望者なら事務手数料の安さも魅力的で、ユニークな商品性となっています。
特に旧耐震基準の築古物件を買う場合や、転職直後の方、単身者の方など、他の金融機関の審査が難しくなりがちな状況の場合は、SBI新生銀行がオススメです。要介護状態に備えた「安心保障」をおトクに利用でき、団信保障も申し分なし!
{template:23}
『充実した保障があると安心!』そんな方へ
-
三菱UFJ銀行『7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉』
言わずとしれた日本のトップバンクの1つである三菱UFJ銀行は、ネット銀行にも劣らない低金利が魅力的です。全国各地の店舗で窓口相談もできるほか、住宅ローンはオンライン完結での手続きも可能!
3大疾病のほかに4つの生活習慣病も保障範囲に含まれた充実した団信保障『7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン〈Plus〉』を用意しており、長い付き合いとなる住宅ローンをより安心に利用したいという方には三菱UFJ銀行がオススメです。
{template:21}
6.その他の住宅ローン情報
住宅ローンに関する様々な情報は、下記コンテンツをご参照下さい。
7.参考情報
(7−1)主要な銀行の住宅ローン金利の前月との比較
変動(ネット系)
金融機関 |
ローン名 |
2022年8月 |
2022年9月 |
差 |
ソニー銀行 |
変動セレクト住宅ローン |
年0.397% |
年0.397% |
- |
楽天銀行 |
住宅ローン(固定特約付き) |
年0.537% |
年0.537% |
- |
住信SBIネット銀行 |
ネット専用全疾病保障住宅ローン (通期引下げプラン) |
年0.440% |
年0.440% |
- |
auじぶん銀行 |
住宅ローン (変動金利/全期間引下げプラン) |
年0.389% |
年0.389% |
- |
イオン銀行 |
住宅ローン金利プラン(定率型) |
年0.520% |
年0.520% |
- |
PayPay銀行 |
住宅ローン(全期間引下型) |
年0.380% |
年0.380% |
- |
平均 |
- |
年0.444% |
年0.444% |
- |
変動(メガ)
金融機関 |
ローン名 |
2022年8月 |
2022年9月 |
差 |
みずほ銀行 |
住宅ローン (ネットでお手続きの場合 /ローン取り扱い手数料型) |
年0.375% |
年0.375% |
- |
三菱UFJ銀行 |
住宅ローン (ずーっとうれしい金利コース) |
年0.475% |
年0.475% |
- |
三井住友銀行 |
住宅ローン (最後までずーっと金利引き下げ) |
年0.475% |
年0.475% |
- |
平均 |
- |
年0.442% |
年0.442% |
- |
変動(地銀)
金融機関 |
ローン名 |
2022年8月 |
2022年9月 |
差 |
北海道銀行 |
道銀住宅ローン 変動金利バリュープラン |
年1.175% |
年1.175% |
- |
七十七銀行 |
77住宅ローン |
年0.675% |
年0.675% |
- |
常陽銀行 |
常陽住宅ローン ずっとうれしい金利引下げ (全期間重視プラン) |
年0.625% |
年0.625% |
- |
千葉銀行 |
全期間割引プラン |
年0.625% |
年0.625% |
- |
横浜銀行 |
全期間安心プラン |
年0.385% |
年0.385% |
- |
八十二銀行 |
変動金利型 |
年0.925% |
年0.925% |
- |
静岡銀行 |
カスタムFLEX |
年0.625% |
年0.625% |
- |
京都銀行 |
京銀住宅ローン |
年0.420% |
年0.420% |
- |
山口銀行 |
YCG住宅ローン |
年0.575% |
年0.575% |
- |
福岡銀行 |
プレミアム住宅ローン |
年0.475% |
年0.475% |
- |
平均 |
- |
年0.651% |
年0.651% |
- |
10年固定(メガ)
金融機関 |
ローン名 |
2022年8月 |
2022年9月 |
差 |
みずほ銀行 |
住宅ローン (ネットでお手続きの場合 /ローン取り扱い手数料型) |
年0.950% |
年0.950% |
- |
三菱UFJ銀行 |
プレミアム住宅ローン [固定3年・固定10年・固定20年] |
年0.990% |
年0.890% |
-0.100% |
三井住友銀行 |
住宅ローン (最後までずーっと金利引き下げ) |
年1.630% |
年1.540% |
-0.090% |
平均 |
- |
年1.190% |
年1.127% |
-0.063% |
フラット35
金融機関 |
ローン名 |
2022年8月 |
2022年9月 |
差 |
楽天銀行 |
フラット35(※) |
年1.530% |
年1.520% |
-0.010% |
※ フラット35は買取型/融資比率9割以下/団信加入/借入期間21〜35年の場合の金利を表示
(7−2)主な団信の種類と概要
団信は大きく分けて、一般団信、ワイド団信、疾病団信の3種類があります。
ワイド団信は保障内容が一般団信と同じですが、加入条件が緩和されています。他の団信の審査に落ちてしまった場合でも加入できる可能性があります。
疾病団信は大きく分けて、がん保障、3大疾病保障、8大疾病保障、11疾病保障、全疾病保障の5種類があります。
上図の通り、がんと診断されただけで保険金が下りるがん保障は、全疾病保障には含まれていません。
また、「急性心筋梗塞や脳卒中と診断され手術を受けたり、60日以上所定の状態になった場合に保険金が下りる保障」は3大疾病保障及び8大疾病保障には含まれていますが、11疾病保障や全疾病保障には含まれていません。
このように、疾病保障付き団信の構成は複雑なので、保障対象を細かく分けて考えて、どのような場合に保険金で住宅ローンが完済されるのかしっかり確認する必要があります。
また、団信には無料で付いているものと金利上乗せされるものがありますので、団信を利用する場合に金利がどうなるかも確認する必要があります。
5分で簡単!住宅ローンを一括比較