1. 住宅ローン控除2年目に必要な手続き
計算により算出された上限40万円までの金額を、所得税や住民税から最大13年間引くことができる住宅ローン控除では、2年目以降どのような手続きをすればよいのでしょうか?必要な手続きと流れを見ていきましょう。
会社員など給与所得のみなら年末調整でOK
収入が給与所得のみで、1年目に確定申告を完了していれば、2年目以降は『年末調整』だけで手続きができます。必要書類をそろえ、勤め先の会社へ提出すれば手続きは完了です。
必要書類そのものも1年目と比較すると少ないため、それほど手間もかかりません。
年末調整した場合は給料と合わせて振り込み
住宅ローン控除の手続きを年末調整により行うと、控除による還付金は後日指定口座へ振り込まれます。『12月の給与に上乗せ』されて振り込まれるケースが一般的です。
会社によっては、年末の賞与とともに振り込まれる場合や、1月以降の給与に上乗せされる場合もあります。還付金が振り込まれる時期について詳細を知りたいときには、勤め先の会社へ問い合わせましょう。
年末調整の時期に住宅ローンを借り換えたらどうなる?詳しくはこちら
確定申告が必要になるケース
2年目以降も確定申告によって手続きしなければならないケースもあります。例えば『個人事業主』の場合が代表的です。確定申告によって所得税や住民税の納税額が決まる個人事業主は、年末調整を受けられません。
『確定申告書B』を使い、控除額を記入して申告します。また給与所得のみの会社員でも、年末調整で住宅ローン控除の書類を提出し忘れたときには、会社で再提出できなければ確定申告が必要です。
確定申告をするケースでも、必要書類は1年目より少ないため、比較的簡単に実施できます。
2. 年末調整の必要書類
2年目以降の住宅ローン控除を年末調整によって受けるためには、どのような資料が必要なのでしょうか?必要書類を正しくそろえるために、資料の種類を確認しておきましょう。
金融機関から届く年末残高証明書
毎年10月ごろに『年末残高証明書』が住宅ローンを契約している金融機関から届きます。書類の名称は金融機関によって異なることもありますが、その年の年末時点での残高が記されている点は同じです。
年末調整のときに必ず必要な書類のため、自宅へ届いたら提出まで保管しましょう。証明書は9月末が作成基準日とされているケースが多いため、この時期以降に繰り上げ返済をすると、年末残高が実態と異なるかもしれません。
繰り上げ返済をした場合には金額をよく確認し、必要があれば金融機関に再発行を依頼しましょう。
税務署から届く書類
初年度の確定申告後、その年の10月ごろに『給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書』兼『年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書』が税務署から届きます。控除の手続きに必要な重要な書類です。
注意が必要なのは、1年分ではなく控除を受けられる期間が終了するまでの分がまとめて送付される点です。例えば13年間控除を受けられる人であれば、初回の1回分を差し引いた12枚が届きます。
この先もずっと必要になるため、紛失しないように注意しましょう。万が一なくしてしまったときには、税務署へ申請書を提出し再発行してもらいます。
3. 住宅ローン控除が終了するタイミング
住宅ローン控除は長期間にわたり控除を受けられる制度ですが、条件を満たすと終了します。具体的にどのようなときに控除が終了するのか知っておきましょう。
控除期間が満了したとき
控除を受けられる期間は入居時期によりあらかじめ決められています。その期間を満了すると控除は終了です。あらかじめ決まっている期間は、入居開始年月ごとに異なる点に注意しましょう。
2009年~2019年9月に入居した場合、控除期間は『10年間』と定められています。例えば2019年3月に入居したとすると、10年後の2028年の年末に行う年末調整で控除は終了です。
2019年10月~2020年12月の期間に入居した場合には、消費税増税分を考慮し『13年間』にわたり控除を受けられます。また契約時期の条件を満たしていれば、2022年12月の入居までが、控除期間13年の対象です。
完済までの期間が10年間を下回ったとき
『租税特別措置法関係通達第41条第19項』によると、控除を受けられるのは返済期間が10年以上ある住宅ローンの場合に限定されます。
そのため繰り上げ返済によって、返済開始から完済までの期間が10年未満になると、その年から控除が適用されません。もちろん一括返済で住宅ローンを完済した場合も対象外となる点には、注意が必要です。
4. 2年目以降も忘れずに手続きしよう
住宅ローン控除を受けるために必要となる2年目以降の手続きは、1年目と比較して簡単に済むケースが多いでしょう。
収入が給与所得のみであれば年末調整で可能であり、確定申告をする場合も1年目より必要書類が少ないからです。
具体的には『年末残高証明書』と『給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書』兼『年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書』の2種類を用意します。
控除期間が終了するのは、期間満了か返済期間が10年未満となったときです。これらの条件に当てはまるとき以外は、毎年忘れずに手続きをすることで所得税や住民税の還付を受けられます。