1. 住宅ローン控除の制度の内容
住宅ローン控除にはどのような目的があり、具体的にどのくらいの控除を受けられるのでしょうか? まずは制度の概要を解説していきます。
【2024・2025年最新】住宅ローン控除の改正ポイント
住宅ローン控除は半世紀以上も続いている所得税・住民税の減税制度ですが、時代の要請や政策的背景によって、近年は数年に1度の制度改正が行われています。詳しくは後述しますが、最近では2022年に次のように変更されています。
・控除率が年末借入残高の1.0%から0.7%へと変更
・控除期間が最大10年から13年に延長
・新築住宅では、控除の対象となる借入上限額が住宅の環境性能によって細分化
・対象者の所得要件が、合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げ
また、2024年には次のような変更が行われています。
・新築住宅の借入上限額の引き下げ(子育て世帯・若者夫婦世帯は維持)
・所定の環境性能基準を満たさない住宅(その他の住宅)は、原則として住宅ローン控除の対象外
住宅ローン控除(減税)とはどんな制度?
住宅ローン控除(減税)は、マイホーム購入時に住宅ローンを利用することで、所得税・住民税が控除される制度です。税金の控除によって返済負担が軽くなるため、住宅を購入する人を増やすことを目的としています。 住宅購入者が増えると、戸建て住宅やマンションの着工数が増え、それを起点に経済を活性化することが期待されており、実際に一般の人々の住宅購入が進んで地価が上昇するとともに、経済が発展してきました。そこで、国は住宅ローン控除を通して多くの人がマイホームを購入できる状態を後押ししているのです。
次の項目で説明するように、現在の制度では住宅ローンの年末借入残高の0.7%が控除対象になるため、年末時点で2,000万円の住宅ローンがある場合には、最大14万円が所得税・住民税から控除されます。
所得税からローン年末残高0.7%相当額を控除
現在の住宅ローン控除は、住宅ローンの年末借入残高の0.7%が所得税から控除されます。例えば年末借入残高が2,000万円であれば、「2,000万円 ✕ 0.7% = 14万円」が所得税・住民税から差し引かれます。
給与所得者の所得税は、毎月の給料からあらかじめ源泉徴収されています。そのため給与所得者の場合には、住宅ローン控除を申請することで、納めた所得税の一部が後から還付されるという仕組みです。住民税から控除される場合には、還付ではなく、翌年に源泉徴収される住民税があらかじめ減額されます。
住宅ローン控除額の計算には年末借入残高が適用されることから、住宅ローン控除を受けられる期間には繰上返済しないほうがよいケースが少なくありません。住宅ローンの適用金利が0.7%未満であれば、繰上返済せずに控除を受けた方が全体の負担が軽減されるためです。
なお、控除率は今後見直される可能性はありますが、制度が途中で変わった場合でも、すでに適用を受けている人の控除率は原則として変わりません。
控除期間は原則10年!条件を満たせば13年に延長
控除を受けられる期間は、環境基準を満たす新築住宅・買取再販住宅であれば13年ですが、中古住宅や、2023年までに建築確認を受けた新築住宅では10年間です。そのため、原則10年、条件を満たした新築住宅・買取再販住宅の場合は13年に延長されると理解しておきましょう。
具体的には、長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅のいずれかの適合証明書を取得することが、13年に延長されるために必要な条件です。
2. 住宅ローン控除の条件と控除上限

住宅ローン控除の適用には、住宅ローン契約者や利用する住宅ローン、購入した物件についての条件をすべて満たさなければいけません。さらに控除金額に上限がある点にも注意が必要です。
あなたは対象?控除を受ける「人」の必須条件
住宅ローン控除を受けるための、住宅ローン契約者の条件は次のとおりです。
・合計所得金額が2,000万円以下であること
・自らが居住するための住宅として購入し、6か月以内に入居すること
・その年の年末(12月31日)まで居住を継続していること
・居住した年とその前後2年間に、居住用財産の譲渡所得の特例(3,000万円の特別控除や買い換え特例など)の適用を受けていないこと
収入の要件は年収ではなく、合計所得金額であることに留意が必要です。
【共通】床面積は原則50㎡以上(所得1,000万円以下なら40㎡以上)
後述するように、購入した物件については床面積が原則50㎡以上という条件がありますが、合計所得金額が1,000万円以下で、かつ新築住宅を購入した場合には、40㎡以上でも対象になります。ただし、賃貸併用住宅・店舗併用住宅などの場合には、床面積の1/2以上が居住用である必要があり、かつ居住用部分の割合に応じて住宅ローン控除を受けることになります。
利用する「住宅ローン」の条件
利用する住宅ローンにも次のような条件があります。
・返済期間(借入期間)が10年以上
・銀行、信用金庫、労働金庫、農協(JA)、住宅金融支援機構などの金融機関や、地方公共団体、勤務先などからの融資であること
・投資用ローンなどではなく、住宅ローンとしての借り入れであること
勤務先からの借入の場合には、金利が一般の金融機関から借入と比べて著しく低いと対象外と判断されてしまいます。また、親族・知人からの借入は対象外です。
新築住宅で住宅ローン控除を受けるための条件【2024年・2025年入居】
新築住宅を購入したときには、下記の条件を全て満たす物件でなければ住宅ローン控除を受けられません。2024年以降は借入上限額が引き下げられる改正が行われましたが、19歳未満の子を有する世帯(子育て世帯)と夫婦のいずれかが40歳未満の世帯(若者夫婦世帯)に対しては、控除の対象となる借入上限額が高くなるという優遇措置があります。
・対象の住宅は登記簿上の床面積が50㎡以上で、1/2以上が居住用であること
・制度の対象となる下表のいずれかの環境基準に適合すること
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住宅の環境基準 |
借入上限額 |
子育て世帯・若者夫婦世帯の借入上限額 |
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長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
4,500万円 |
5,000万円 |
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ZEH水準省エネ住宅 |
3,500万円 |
4,500万円 |
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省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
4,000万円 |
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その他の住宅 |
0円 (2023年までに建築確認した場合は2,000万円。ただし控除期間は10年) |
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中古住宅の場合の適用条件
住宅ローン減税は新築住宅を購入するときにだけ適用されるわけではありません。中古住宅でも、次のような条件を満たせば住宅ローン控除を受けることができます。なお、2022年に制度が改正されたことで、それまで存在した築年数の基準が撤廃され、代わりに現行の耐震基準(新耐震基準)への適合が要件になりました。
・登記簿上の床面積が50㎡以上
・1982年1月1日以降に建築された物件(1981年12月31日までに建築された物件の場合、耐震基準適合証明書を取得していること)
・贈与や親族からの取得でないこと
なお、中古住宅の場合には何らかの環境性能基準を満たしていれば控除の対象となる借入上限額は3,000万円、その他の住宅の場合は2,000万円です。
認定長期優良住宅・低炭素住宅の場合
長期優良住宅とは、長く快適に住み続けるために、バリアフリー、可変性、耐震性、省エネルギー性、居住環境、維持保全計画、維持管理・更新が容易、劣化対策、住戸面積の基準を満たした住宅です。また、低炭素住宅とは、立地条件、断熱性能、一次エネルギー消費量の基準を満たしたうえで、節水対策、エネルギーマネジメント、ヒートアイランド対策、劣化対策、木材の利用、高効率設備の導入についての一定基準を満たした住宅です。
これらの条件を満たすためには追加で費用がかかる一方で、これらの住宅の建築を推進したいという背景があるため、新築住宅では住宅ローン控除の対象となる借入上限額が4,500万円または5,000万円と高めに設定されています。控除期間は、新築住宅で13年、中古住宅で10年です。
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新築住宅 |
中古住宅 |
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住宅の環境基準 |
借入上限額 |
子育て世帯・若者夫婦世帯の借入上限額 |
借入上限額 |
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長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
4,500万円 |
5,000万円 |
3,000万円 |
【2024・2025年版】住宅の種類別|借入限度額と最大控除額一覧
新築住宅・中古住宅における住宅の環境基準に応じた借入限度額と、最大控除額を比較してみましょう。最大控除額は、「借入上限額✕控除率(0.7%)✕控除期間(10年もしくは13年)」(新築の長期優良住宅の場合は、4,500万円 ✕ 0.7% ✕ 13年)で求められます。
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新築住宅 |
中古住宅 |
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住宅の環境基準 |
借入上限額 |
最大控除額 |
子育て世帯・若者夫婦世帯の借入上限額 |
最大控除額 |
借入上限額 |
最大控除額 |
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長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
4,500万円 |
409.5万円 |
5,000万円 |
455万円 |
3,000万円 |
210万円 |
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ZEH水準省エネ住宅 |
3,500万円 |
318.5万円 |
4,500万円 |
409.5万円 |
3,000万円 |
210万円 |
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省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
273万円 |
4,000万円 |
364万円 |
3,000万円 |
210万円 |
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その他の住宅 |
0円 |
0円 |
0円 |
0円 |
2,000万円 |
140万円 |
※新築の「その他の住宅」は、2023年までに建築確認されていれば借入上限額は2,000万円、最大控除額は200万円
3. 減税される金額の計算方法

ここでは、住宅ローン控除で具体的に減税される金額を計算していきます。計算方法を理解して、実際に自分がどれくらいお得になるかを知っておきましょう。
所得税額を確認してシミュレーションしよう
住宅ローン控除は基本的には所得税から控除される仕組みです。控除のメリット額を正しく把握するためには、そもそも所得税をいくら納めているのかを知る必要があります。
毎月給与を受け取る給与所得者の場合には、所得税は給与から源泉徴収されています。そのため給与明細を確認すれば、所得税の大まかな金額が分かります。
ただし、所得税は年収が増えるほど金額が大きくなる累進課税制度をとっているため、ローン残高と年収のバランスによっては、控除額を生かしきれないこともあります。
例えばローン残高4,000万円に対する控除額280,000円が全額控除されるためには、年収650万~700万円ほどが必要です。
控除しきれない分は住民税で控除される
所得税から控除しても控除額が余っている場合には、住民税からも控除されます。この場合には、特に申告は必要ありません。自動的に翌年に納付する住民税から控除されますので、源泉徴収される給与所得者の場合には、月々の住民税から差し引かれます。
住民税からきちんと控除されていることを確認するには、会社から渡される「住民税の課税決定通知書」をチェックしましょう。税額の欄にある「税額控除額(5)」という項目で確認できます。
あわせて、給与明細で実際に住民税の金額が減っていることも確認すれば確実です。
4. 申告をして住宅ローン控除を受けよう

住宅ローン控除を受けるには申請をする必要があります。正しく申請できるよう、その方法をチェックしましょう。
初年度は確定申告が必須!手続きの流れと期間
自宅を購入したあと、初めて住宅ローン控除を受けるときには確定申告が必要です。確定申告は、確定申告は、原則として購入の翌年の2月16日ごろ~3月15日ごろ(住宅ローン控除などの還付の申告のみであれば、1月から申告可能)に行う必要があります。
確定申告までの流れは、大きく下記の4ステップに分けられます。
①書類の準備
②申告書などの作成
③作成した申告書の提出
④税金の納付または還付
確定申告というと、作成した書類を税務署へ持参して提出するイメージを持っている人がいるかもしれません。しかし近年では、税務署に行かずに手続きする方法も普及しています。
その1つが、オンラインでの申告が可能なe-Tax(国税庁確定申告書等作成コーナー)を利用する方法で、ブラウザ上で確定申告書の記入と提出を行うことができます。また、e-Taxで作成した書類を印刷し、郵送で税務署へ送ったり、持ち込んだりする方法でも提出できます。
住宅ローン控除を受ける際には、一部の添付書類は郵送または持ち込んで提出する必要がありますので、e-Taxで確定申告書を提出した場合でも、郵送や持ち込みを忘れないようにしましょう。
e-Taxならスマホで完結!申告書の作成方法
e-Taxはスマホでも利用できます。事前に、マイナンバーカードと読み取りに対応したスマホ、給与所得者の場合は源泉徴収票、住宅ローン控除関係の書類を準備しましょう。マイナンバーカードを持っていない場合は、事前に税務署でIDとパスワードを発行してもらう必要があります。
e-Taxでの申告書の作成は次のような流れで進めます。
①「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」を押す。
②マイナンバーカードまたはID・パスワードでログインする。
③収入や控除(住宅ローン控除は「住宅借入金等特別控除」)に関する情報を入力する。
【確定申告】住宅ローン控除の必要書類一覧
確定申告にはさまざまな書類が必要です。初めて行う場合には時間がかかることもあるため、必要書類は早めに用意しておくと余裕を持って進められます。
・マイナンバーカードや通知カード
・確定申告書:国税庁ウェブサイトからダウンロードするか、税務署から入手できます。
・住宅借入金等特別控除額の計算証明書兼申告書:国税庁ウェブサイトからダウンロードするか、税務署から入手できます。
・源泉徴収票:勤務先から年末ごろに発行されます。
・土地・家屋の登記事項証明書:法務局もしくはオンラインで取得しましょう。郵送での取得の場合は時間がかかる場合があります。
・不動産売買契約書や工事請負契約書のコピー:契約時のものを使用します。
・住宅ローンの年末残高証明書:金融機関から9~11月ごろに郵送されます。
2回目からは年末調整で手続きが完結
1回目は確定申告が必要ですが、2回目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けられます。手続きは確定申告よりも簡単で、年末調整の用紙に下記を添えて提出すれば完了です。
・その年分の住宅借入金等特別控除額の計算証明書兼申告書:1回目の申告の翌年の夏ごろに税務署から13年分(または10年分)が一括して郵送されます。
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書:金融機関から9~11月ごろに郵送されます。
繰上返済を行った場合、そのタイミングによっては年末残高等証明書に記載されている残高と、実際の残高が異なることがあります。実際と異なる残高になっている場合には、金融機関に依頼して、正しい金額の証明書を作成してもらわなければいけません。この手間をなくすには、年が明けてから繰上返済を行うようにしましょう。
5.住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?損しないための注意点

所得税の控除を受けられるのは住宅ローン控除だけではありません。ふるさと納税でも控除(寄附金控除)が受けられますが、その場合どのように扱われるのでしょうか?
ふるさと納税の申告方法には、確定申告による方法と、ワンストップ特例制度による方法があります。このうちワンストップ特例制度による方法を利用した場合は、ふるさと納税の控除はその全額が住民税から差し引かれるため、住宅ローン控除への影響は基本的には生じません。
一方、確定申告をする場合にはワンストップ特例制度が利用できず、またふるさと納税の控除が所得税額に影響を及ぼすことから、所得金額に対して住宅ローン残高が多い人では、住宅ローン控除の金額が減る場合があります。ただし影響が及ぶ場合でも、ふるさと納税を利用したほうが基本的にはお得になります。
併用できる。住民税から控除する方法も
ふるさと納税と住宅ローン控除は同時に利用できます。ただし、確定申告で手続きする場合には、ふるさと納税を利用することで、支払う所得税が減少します。
所得税が減ると、住宅ローン控除額も減ってしまう可能性があるため、注意が必要です。住宅ローン控除2年目以降で確定申告の必要がない場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用できます。
ワンストップ特例制度では、ふるさと納税による税額控除は全額が住民税から行われます。すると所得税額は変化しないため、住宅ローン控除との併用がよりやりやすくなるでしょう。
影響を最小限にするならワンストップ特例制度の活用を
ワンストップ特例制度は確定申告の手間を省けるだけでなく、住宅ローン控除と併用する際には所得税額に影響を及ぼさないことから、メリットの多い制度です。ふるさと納税の利用が住宅ローン控除を減らすことにならないように注意し、利用可能な場合にはワンストップ特例制度を利用しましょう。
ふるさと納税で確定申告が必要になるのは、異なる6つ以上の自治体へ寄附を行った場合ですので、年間に寄付する自治体数を5以下に抑えるのが重要です。
ふるさと納税と医療費控除を併用する際の注意点
医療費控除も住宅ローン控除やふるさと納税と併用できます。ただし、医療費控除は年末調整では手続きができないため、確定申告をしなければいけません。確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用できない点に注意が必要です。
これら3種類の控除は、いずれも所得税と住民税を対象としています。そのため、収入によっては所得税額・住民税額が少なくなることから、フル活用できない可能性があるのです。
なお、確定申告においては、医療費控除とふるさと納税(寄附金控除)は所得控除の欄に記載し、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は税額控除の欄に記載してそれぞれ控除を受けます。
iDeCoや医療費控除と併用する場合のポイント
iDeCo(個人型確定拠出年金)や医療費控除もふるさと納税で確定申告を行う場合と同様の影響が生じます。iDeCoは社会保険料控除のうち小規模企業共済等掛金控除に該当し、確定申告の際には所得控除の欄に記入します。
例えば、所得400万円でiDeCoの掛金が15万円、医療費控除が20万円、ふるさと納税が5万円の場合は、40万円分の所得控除が生じることになります。これに所得税率10%を掛けると、支払う所得税として4万円分が軽減されます。この4万円の控除が生じることで、住宅ローン控除の上限額に達してしまうこともあり、そうなると控除しきれなくなる可能性も生じます。
6. 手厚い優遇でマイホーム購入を後押しする制度

住宅ローン控除は、年末ローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除することにより、返済負担を軽減する制度で、マイホームの購入を後押しする仕組みとして長年継続されてきました。
控除を受けるためには、控除を受ける人や住宅ローン、住宅について条件を満たす必要があります。また、最初の年には確定申告の手続きが必要です。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整でも手続きが可能です。どちらの場合も必要書類をそろえたうえで手続きします。
住宅ローン控除はふるさと納税や医療費控除、iDeCoとも併用できますが、控除額の上限に関係するため、事前にシミュレーションをした上で利用するとよいでしょう。うまく活用することで、よりお得にマイホームを購入することできます。
よくある質問
Q. ペアローンや共有名義の場合はどうなる?
ペアローンや共有名義の場合には、それぞれが適用条件さえ満たせば、住宅ローン控除を2人分利用可能です。また、借入上限額はそれぞれに対して適用されます。
例えば夫婦が新築の長期優良住宅(借入上限額4,500万円)をペアローンで購入し、年末借入残高が夫3,000万円、妻2,000万円の場合には、それぞれの年末借入残高に控除率0.7%を掛けて、夫は21万円、妻は14万円の控除を受けることができます。
連帯債務の場合には住宅ローン残高全体を持分割合(負担割合)に応じて按分し、それを夫婦の年末借入残高と考えて、同様の計算を行います。
Q. 繰り上げ返済をすると控除額に影響はある?
繰上返済を行うと、以下のいずれかの理由で控除額に影響が生じることがあります。
・返済期間を短縮する場合、返済期間が10年未満になると住宅ローン控除の対象外になる
・年末借入残高が減ることで、控除額が減少する可能性がある
いずれも住宅ローン控除のメリットを減らす結果になることから、住宅ローン控除を受けられる期間での繰上返済は慎重に考えましょう。また、夏以降の繰上返済は年末残高等証明書への反映が間に合わない可能性があり、書類の再発行を依頼する手間が生じる可能性があります。
Q. 転勤で一時的に引越した場合、控除は受けられなくなる?
原則として、住宅ローン控除は本人が対象物件に住んでいることが条件です。しかし、転勤などのやむを得ない事情によって一時的に引越した場合には、家族が住み続けているなど、再び居住する見込みがあれば住宅ローン控除を受けることができます。他人に貸し出したり、家族全員で転居したりした場合には控除を受けることはできません。
転居時までに、税務署に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出し、再適用を受けるときには確定申告を行うことで控除を再開できます。




























