1. 住宅ローン控除を受ける手続き
住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、手続きによって住宅ローン控除を受けられます。必要な手続きについて知ることで、スムーズな申請が可能です。
購入翌年に確定申告が必要
住宅ローン控除を受けるなら、会社員も自営業者も初回は『確定申告』が必要です。会社員であれば、通常2年目以降は確定申告ではなく、年末調整を行うことで企業がまとめて申告します。
しかし住宅ローン控除の1回目の申請に限っては、年末調整では実施できないため、会社員でも確定申告が必要です。控除のために行う確定申告は還付申告のため、通常より早く1月から申告ができます。
必要書類の入手と申請方法
確定申告で住宅ローン控除を申請するときには、まず必要書類を入手しましょう。『税務署』『確定申告相談会場』『市町村役場の税務課』で受け取るか、税務署へ依頼し郵送で取り寄せる方法もあります。
国税庁の『ホームページ』からファイルをダウンロードして、利用することも可能です。ダウンロードしたファイルはプリンターでカラー印刷し使います。
申請書を提出する先は『税務署』です。持参する方法のほか、郵送でも受理してもらえます。事前にマイナンバーカードとのひも付けといった操作が必要ですが、『e-tax』を利用すればインターネットでの申請も可能です。
2. 手続きに必要な書類
手続きに必要な書類は複数あります。どのような書類が必要なのか、詳しく見ていきましょう。
確定申告書AまたはB
まず用意するのは『確定申告書』です。難しい計算や処理が省略されている簡易版の『確定申告書A』と、どのような申告にも使える『確定申告書B』があるため、状況に応じて選びましょう。
会社員が住宅ローン控除を申請するときには、確定申告書Aを用いるのが一般的です。個人事業主や不動産所得のある人などは、確定申告書Bを使います。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
『住宅借入金等特別控除額の計算明細書』の提出も必要です。住宅ローンの適用を受けるために必要な書類で、売買契約書や登記事項証明書などをもとに作成します。
税務署へ行って受け取ることはもちろん、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。また住宅ローンの契約が夫婦での連帯債務なら『連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書』も用意します。
年末時点での住宅ローン残高証明書
金融機関から送られてくる『年末残高証明書』も必須の書類です。金融機関によって名称はさまざまで、『融資額残高証明書』という名称の場合もあります。
記載されているのは、当年の年末時点における住宅ローン残高のほか、契約者の住所・氏名・借入金の内訳・借入金の当初残高・償還期間・住宅取得対価などです。
毎年10月ごろに自宅へ送付されますが、契約の時期によっては年明けの1月ごろに届くケースもあります。また確定申告までの間に紛失した場合には、金融機関で再発行の手続きをしましょう。
その他の必要書類
ほかにも住宅を購入した年の『源泉徴収票』や、免許証・マイナンバーカードなどの『本人確認書類』を用意します。また『土地・建物の登記簿謄本』も法務局で取得しましょう。
住宅購入時に業者と取り交わした『売買契約書』または『建築請負契約書』もコピーを取ります。加えて認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・一定の耐震基準を満たす中古住宅は、それを証明する書類のコピーが必要です。
3. 還付金の受け取り方
住宅ローン控除が適用されると還付金を受け取れます。どのような方法で受け取れるのでしょうか?
指定の口座に振り込み
確定申告書には還付金の振込先口座を記入する箇所があります。手続きが完了し受理されると、指定した口座へ還付金が振り込まれる仕組みです。
書類を税務署へ持参したり郵送で送ったりした場合、還付金の振り込みは1カ月~1カ月半後に行われます。より早く還付金を受け取れるのはe-taxを利用した場合です。3~4週間を目安に振り込まれます。
還付金の金額と振り込まれる日にちが決まると届く『国税還付金振込通知書』のはがきも、振り込みの合図です。はがきが届いたら還付金の振り込みが確定したと考えてよいでしょう。
所得税より還付金が多い場合
住宅ローン控除は所得税から差し引くことで還付金を受けられる仕組みです。計算したときに還付金が所得税を上回る場合、差額はどのように扱われるのでしょうか?
例えば年末の住宅ローン残高が30,000,000円の場合、還付金は300,000円です。このとき所得税が200,000円なら、控除されるのは200,000円までです。
差額の100,000円は、翌年分の住民税から差し引かれます。所得税のように還付金が振り込まれるわけではなく、税金から引かれる仕組みのため気付きにくいケースもあるでしょう。
4. 確定申告の準備は早めに
住宅ローン控除を受けるための確定申告には、必要書類が複数あります。過不足なく期日までにそろうよう、早めに準備を始めましょう。
会社員であれば確定申告書Aを利用し、個人事業主や不動産所得のある人は確定申告書Bを使います。
その上で、住宅借入金等特別控除額の計算明細書・年末残高証明書・源泉徴収票・登記簿謄本・売買契約書などをそろえ、税務署へ提出しましょう。確定申告後に指定の口座へ還付金が振り込まれます。