そもそも住宅ローン控除とは
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用して自宅を購入した人が、一定の条件を満たすことで、最大で年末時点の住宅ローン残高の0.7%に相当する金額を所得税・住民税から控除できる減税制度です。中古住宅の場合には10年間にわたって控除を適用することができます。
一般的に新築住宅と比較して、中古住宅の住宅ローン控除は適用期間が短く、控除の対象となる借入額も低くなる場合が多いですが、それでも十分に活用価値があります。適用条件を満たしている場合には必ず活用するようにしましょう。
◆参考◆住宅ローン控除の基本
中古マンション購入時に住宅ローン控除の対象になる条件
中古マンション購入時に住宅ローン控除を受けるには、マンションの購入者、借り入れるローン、購入する中古マンションの3つにそれぞれ条件があります。
1:マンションの購入者
まず、マンションの購入者が以下の条件を満たしている必要があります。
・取得してから6ヶ月以内に自身が居住すること。
・住宅ローン控除を申請する年の12月31日まで住み続けていること。
・所得が2,000万円以下であること。
そのため、転勤などで一時的に居住しなくなったときには、その年の住宅ローン控除は適用されません。また、所得金額が2,000万円を超えている年も住宅ローン控除を受けることはできません。
2:借り入れるローン
住宅ローン控除の対象となるローンには2つの条件があります。
・金融機関や住宅金融支援機構、勤務先、自治体などから借り入れたローンであること
・返済期間が10年以上あること
親族から借り入れた場合などには住宅ローン控除の対象になりません。また、返済期間にも条件があり、繰上返済によって返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除の適用を受けられなくなります。繰上返済を考慮している場合には、この点に注意が必要です。
3:購入する中古マンション
購入する中古マンションにもいくつかの条件があり、また環境基準によって住宅ローン控除の対象となる借入上限額が異なります。
・登記簿上の床面積(内法面積)が50㎡以上で、その半分以上が居住用であること
・1982年以降に建築されているか、現行の耐震基準への適合を証明する書類があること
・親族などから取得した物件ではないこと
借入上限額については以下の表のように、省エネ住宅であることを示す証明書があれば上限が上がります。
住宅の環境性能 |
借入上限額 |
長期優良住宅・ 低炭素住宅・ ZEH水準省エネ住宅・ 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
その他の住宅 |
2,000万円 |
なお、中古住宅であっても、不動産業者が買い取ってリノベーションを行ったうえで販売される買取再販住宅は新築住宅と同じ制度が適用されます。借入上限額は、子育て世帯・若年夫婦世帯に該当する人であれば最大5,000万円、それ以外の人でも最大4,500万円とより大きくなり、最大13年間にわたって控除を受けることができます。
◆参考◆【2025年最新】住宅ローン控除(減税)とは?適用条件や変更点、申請方法を解説!
住宅ローン控除が適用とならないケース
ここまでに説明してきたように、住宅ローン控除の適用条件は厳密に定められています。そのため、次のようにマンションの購入者、借り入れるローン、購入する中古マンションが控除の適用条件から外れている場合には、控除を受けることはできません。
・自身がその住宅に住んでいない場合
・住宅ローン契約者の所得金額が2,000万円を超えている場合
・親族や知人からの借り入れで購入している場合
・返済期間が10年未満の場合
・登記簿上の床面積が50㎡未満の場合
・現行の耐震基準を満たしていない場合
・親族などから物件を取得した場合
なお、基準を満たしていても住宅ローン控除は自動的に適用されるものではなく、最初の年は確定申告を、2年目以降は確定申告または会社員の場合は年末調整で住宅ローン控除の申請を行う必要があります。申請しなかったときには住宅ローン控除を受けることはできません。
中古マンションを購入した際の住宅ローン控除シミュレーション
ここでは具体例を用いて、中古マンションを購入した際の住宅ローン控除についてシミュレーションしていきます。年収700万円の人が、年末に借入金額3,500万円、金利0.7%、返済期間35年のローンを組んで、省エネ基準を満たす中古住宅(借入上限額3,000万円)を取得した場合で考えてみましょう。
まずは、住宅ローンの年末残高と借入上限額を比較して、低いほうの数値に控除率0.7%をかけることで控除される金額を算出します。1年目の場合には、住宅ローンの残高は3,500万円、借入上限額は3,000万円ですので、「3,000万円 ✕ 0.7% =21万円」が控除金額となります。
各種の控除の状況によりますが、年収700万円の人は所得税額が30万円前後であることが多いでしょう。この所得税額から21万円が控除されます。なお、控除額が所得税額を超えた場合、控除しきれなかった分は一定の限度額まで住民税から控除されます。
この例の場合、6年目以降は住宅ローンの残債が3,000万円を下回るため、だんだんと控除額は減っていきます。
経過年数 |
控除額 |
1~5年目 |
21万円 |
6年目 |
約20.7万円 |
7年目 |
約20.1万円 |
8年目 |
約19.4万円 |
9年目 |
約18.7万円 |
10年目 |
約18.1万円 |
住宅ローン控除を受けるための手続き方法
すでに説明したように、住宅ローン控除を利用するためには、最初は全員が確定申告を行う必要があります。確定申告には期間が定められており、原則として毎年2月15日から3月15日までの期間に、前年の所得について申告しなければなりません。
手続きは、必要書類を準備して、税務署に提出する流れで進める必要があります。会社員の場合に必要となる書類は次の通りであり、余裕をもって準備しておくようにしましょう。
必要書類 |
必要な場合や入手方法など |
源泉徴収票 |
給与所得者の場合のみ。勤務先から入手 |
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 |
税務署や国税庁のウェブサイトから入手 |
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書) |
金融機関から秋頃に郵送 |
登記事項証明書 |
法務局から入手 |
不動産売買契約書(請負契約書)の写し |
契約時のものをコピー |
住宅の性能を示す証明書 |
環境性能を満たす住宅の場合のみ。不動産会社から入手 |
2年目以降は、会社員の場合には勤務先を通じた年末調整の際に控除を受けることができます。2年目以降に必要な書類は、住宅借入金等特別控除額の計算明細書と残高証明書の2種類のみです。詳しくは以下の記事でも解説しています。
◆参考◆【2025年最新】住宅ローン控除はいつまで受けられる?期間や終了後についても解説
中古マンションの住宅ローン控除によくあるQ&A
Q.リフォーム費用込みで住宅ローンを組んだ場合も対象?
中古マンションの購入時にリフォームを行うことを条件に、リフォーム費用を住宅ローンにまとめて借り入れを行える金融機関もあります。その場合には、リフォーム費用も合わせて住宅ローン控除を受けることができます。
Q.一時的にマンションに住まなくなった場合は?
自身が居住していることが住宅ローン控除の適用条件の1つであるため、転勤などを理由に一時的に転居する場合には、その年は住宅ローン控除を受けることができません。その後、再び居住することになった場合には、その年から住宅ローン控除を再び受けることができます。
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まとめ
住宅ローン控除は中古マンションの購入でも利用できます。ただし新築住宅と比較して、控除できる期間が10年間と短く、また物件の環境性能にもよりますが、控除の対象となる借入上限額も低く設定されています。
中古マンションの購入時には、床面積と耐震基準の要件が新築住宅とは異なりますので注意しましょう。
なお、住宅ローン控除の適用を受けるためには、1年目は必ず確定申告をする必要があります。軽減できる税額は大きいため、適用条件を満たしている場合には必ず控除を確実に申請するようにしましょう。