住宅ローンの年末残高証明書とは
年末残高証明書とは、その年の年末(12月31日)時点における住宅ローンの借入残高の見込みが記載された書類です。年末残高証明書には次のような情報が記載されています。
・契約者の住所・氏名
・住宅ローンの内訳(住宅のみ、土地等のみ、住宅および土地等)
・年末時点の住宅ローン残高
・借入当初の金額
・返済期間
・居住用家屋の取得の対価等の額または増改築等に要した費用の額
証明書の発行に特別な手続きや手数料は必要ありません。住宅ローンを利用中の金融機関から、毎年自動的に発行され、郵便で届きます。なお、2024年からは、一部の金融機関ではマイナポータルを経由して、電子化したものが利用できる場合があります。
年末残高証明書の例(参照元:国税庁)
住宅ローンの年末残高証明書はどんなときに必要?
年末残高証明書は、住宅ローン控除の適用を受けるために必要な書類です。確定申告や年末調整で控除を申請する際に、証明書の提出を求められます。
住宅ローン控除で所得税や住民税から差し引かれる控除額は、年末時点での残債額を根拠に算出されます。正確な残高を確認し、所得税額を確定させるための資料として、年末残高証明書は不可欠です。
返済を進めていくと残債額は毎年変わることから、証明書も毎年提出しなければなりません。
なお、住宅ローン控除を受けるためには主に次の条件を満たしている必要があります。
・住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
・住宅ローンの借入期間が10年以上であること
・住宅の新築・取得から6か月以内に居住を開始していること
・住宅の床面積の2分の1以上は自身の居住用であること
・住宅ローン控除を受ける年の12月31日までその住宅に居住していること
・住宅の床面積が登記面積で50平米以上であること(合計所得金額が1,000万円以下の場合は40平米以上であること)
住宅ローンの年末残高証明書が送られてくる時期はいつ?
年末残高証明書は、住宅ローンを利用している間、毎年10~11月に金融機関から送付されてきます。入手するために申請などの手続きをする必要はありません。
住宅ローンを借り入れた初年度は、9月末までの契約なら10月上旬、それ以降に契約した場合は契約月の翌月上旬に発送されるのが一般的です。しかし、1年目は後述するように必ず確定申告が必要なことから、一部の金融機関では初年度は1月になってからの発送となっています。年末残高証明書が届かないことを必要以上に心配することはありません。いつ届くのかは、金融機関のウェブサイトを見たり、問い合わせたりして確認することができます。
時期 |
発送日のめど |
1年目 |
一般的には9月末までの契約の場合は10月上旬、それ以降は契約月の翌月上旬。金融機関によっては翌年1月になってから発送 |
2年目以降 |
一般的には10月上旬の発送 |
給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合には、初年度は確定申告を行わなければなりませんが、2年目以降は年末調整で手続きできます。なお、何らかの事情で取得が遅れた場合でも、翌年1月31日までに交付を受けられれば、職場に提出して年末調整の再計算をしてもらうことが可能です。
住宅ローン控除の申請の際は、残高証明書のほかに「住宅借入金等特別控除申告書」が必要です。この申告書は、ローン契約を締結した翌年の10月ごろに税務署から送られてきます。この控除申告書は10年目までの分がまとめて送付されてくるので、なくさないようにする必要がありますが、万一紛失してしまった場合は、税務署に再交付申請を行えば入手可能です。
住宅ローンの年末残高証明書に関するお悩みの対処法
年末残高証明書は毎年10~11月ごろに郵便で送られてきますが、住宅ローンの控除申請をするのは12月以降です。その間に年末残高証明書を紛失してしまった場合や、残高が変動する繰り上げ返済や借り換えを行った場合は、再発行の手続きをしましょう。
年末残高証明書を紛失した場合
証明書が見当たらなくなってしまった場合、発行元金融機関に再発行を依頼すれば送付してもらえます。以下は注意点です。紛失してしまった場合は参考にしてください。
・再発行の依頼のために、本人確認書類を用意して取引店舗に足を運びましょう(金融機関によっては、公式ウェブサイトから手軽に再発行を依頼することも可能です)
・再発行依頼を行ってから受け取るまで、数日かかる場合もあります。控除申請の書類提出期限に間に合わなくなることのないよう、書類がきちんと保管されているか前もって確認しておくことが大切です。
繰り上げ返済をした場合
住宅ローンの一部繰り上げ返済を行うと残債額が変わります。証明書の発行前に繰り上げ返済をした場合は、新しい残高が記載されていますが、発行後に繰り上げ返済を行った場合は新しい残債額が反映されていません。
10~12月ごろに繰り上げ返済をするなら、控除申請の提出用に新しい書類を発行してもらう必要があります。
控除申請への影響を考慮して、銀行が自動的に新しい書類を発行してくれるわけではありません。年末残高証明書は、あくまでも年1回の発行が基本です。新しい証明書は、金融機関に再発行を依頼して入手しましょう。
借り換えをした場合
繰り上げ返済をする場合と同様に、住宅ローンの借り換えをするケースでも残高が変動します。10~12月ごろに借り換えを行うなら、変動後の残債額が記載された証明書の再発行依頼が必要です。
ただし、借り換えの場合は、融資実行の時期をずらすことで面倒な作業を省けます。新しく融資を受ける時期を翌年1月に延ばせば、年末残高は変動しないため、10月ごろに届いた書類をそのまま提出することができます。
年末に借り換えを予定しているなら、再発行依頼や再計算手続きなどの手間を省くためにも、融資実行を年明けにずらすことを検討しましょう。繰り上げ返済も年始にずらせるなら、証明書の再発行は必要ありません。
>>参考:住宅ローン借り換え後のローン控除はどうなる?年末調整の疑問を解消
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借り換え後も住宅ローン控除を引き続き適用され続けることから、借り換えはとてもおトクです。
まとめ
年末時点での住宅ローン残債額を証明する年末残高証明書は、住宅ローン控除の申請時に必要な書類です。とくに申請する必要はなく、毎年10~11月に金融機関から送られてきます。
紛失した場合は再発行できますが、年末調整や確定申告などの手続きに間に合わなければ余計な手間がかかりかねません。提出時まで大切に保管しておきましょう。
住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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