1.不動産購入の流れ
住宅購入の段取りを考える場合は、大まかな流れを押さえておくことが大切です。どのような手続きや作業をしなければならないのか、まずは基本的なポイントを覚えましょう。
基本的なステップ
不動産の購入で最初に行うのは物件探しです。インターネットや不動産会社で情報を集め、気になる住宅があれば内見で詳細を確認し、最終的に一つの物件に絞り込みます。
購入の意思が固まったら、売主や不動産会社に購入の申し込みを行わなければなりません。金額や契約日などについて交渉を行い、物件を売ってもらえることが決まれば、売買契約のステップに移ります。
契約を締結する際は重要事項説明が行われるため、物件の状態を最終確認しておくことが大切です。売買契約締結後に物件購入代金の決済を行い、住宅の引き渡しを受ければ、新生活をスタートできます。
マンションや建売住宅の場合
完成していない新築マンションを購入する場合は、現物の内見ができないため、モデルルームを見学します。建設済みのマンションや建売住宅、中古マンションは内見が可能です。
新築マンションの申し込みに関しては、人気の高い物件の場合は抽選で選ばれるケースが多くなります。中古マンションは申し込み順で売主と交渉を行うのが一般的です。
新築の戸建てを購入する場合、建売住宅なら決まった場所に建物が建設されているため、特別な手続きや作業は発生しません。購入の流れはほぼ基本通りのステップで進みます。
注文住宅の場合
注文住宅で新築の戸建てを購入する場合は、土地探しから始める必要があります。住宅の建築を依頼するハウスメーカーや工務店も選ばなければなりません。
先に建築会社を決めれば、土地探しを手伝ってくれたり、好条件の土地を紹介してくれたりするケースもあります。土地が決まり、住宅の設計も終われば、建築会社と工事請負契約を結んで着工します。
注文住宅の場合は、建築費用を数回に分けて支払うのが一般的です。契約時には手付金、着工時や着工中には中間金を支払い、竣工時に残金を決済して物件の引き渡しとなります。
2.住宅ローンを利用する場合
住宅ローンを利用して物件を購入する場合、ローンの手続きは不動産購入の流れと同時進行で進めます。どのタイミングで何をすればよいのか、住宅ローンの流れを見ていきましょう。
住宅ローン借入の流れ
住宅ローン探しは、購入物件が決まった後に行うのが一般的です。各金融機関が提供しているローンを比較し、できるだけ好条件で利用できる商品を選びましょう。
金融機関が決まったら、不動産売買契約を締結する前に住宅ローンの事前審査を申し込みます。事前審査を通過した後に売買契約を締結し、今度は住宅ローンの本審査を受けます。
本審査も通過し、金融機関と金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)を締結すれば、金融機関から融資を受けることが可能です。融資金で住宅購入費を決済し、住宅の引き渡しを受けます。
審査は事前審査・本審査の2回
住宅ローンの審査には、事前審査と本審査の2種類があります。融資の可否を簡易的に判断するのが事前審査、事前審査の申告内容に間違いがないかなど時間をかけて調査するのが本審査です。
事前審査に通れば、融資を受けられる可能性や、希望借入額を融資してもらえる可能性が高くなります。売買契約前に事前審査を受けることで、売主側は契約後に買主が審査に落ちて契約解除になるリスクを軽減することが可能です。
本審査で落ちてしまう可能性もありますが、売買契約前の購入申し込みで『ローン特約』を付加しておけば、契約後に審査に落ち融資を受けられなくてもペナルティなしで契約を解除できます。
3.入居までにかかる期間は?
売買契約を結んでから新居に引っ越しをするまでは、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。入居までにかかる期間の目安を解説します。
売買契約から引き渡しまで1~3カ月
不動産売買契約を結んだ後は、住宅ローンの本審査を申し込みます。本審査にかかる期間は約1週間~10日間です。
さらに、本審査通過後には、現地で売主と住宅の最終確認を行います。建物に不具合が見つかったら、引き渡しまでに修繕してもらうのが一般的です。修繕に時間がかかる場合は、引き渡しまでの期間も長くなります。
売買契約から引き渡しまでの期間は、1~3カ月を目安に考えておきましょう。物件がなかなか見つからない場合は、売買契約までの期間が長くなるため、トータルでかかる期間も長期にわたることになります。
注文住宅は1年程度かかる
注文住宅の場合は家づくりから始めなければならないため、長期間かかることを意識しておく必要があります。購入を決めてから入居までの期間は約1年が目安です。
住宅を建築する際は、業者選びやエリアの絞り込みを行わなければなりません。業者が決まった後も、地盤調査や建物の設計などに期間を要します。最初に行動を起こしてから着工まで、半年以上かかるケースもあります。
木造2階建てで約30坪の家を建てる場合、着工期間の目安は約4~6カ月です。住宅の規模・構造・工法・資材によっては、半年以上かかることもあります。完成させたい時期が決まっている場合は、期間を逆算して行動を起こすことが大切です。
4.不動産購入をスムーズに進めるコツ
少しでも早く新居を手に入れたいなら、作業や手続きをスムーズに進めるコツを押さえておくことが重要です。以下に挙げるポイントを押さえておきましょう。
希望条件をしっかり固め情報収集する
不動産購入の流れがスムーズに進まない理由の一つに、物件をなかなか決められない点が挙げられます。気になる物件が複数ある場合や、予算と条件が合わない場合は、一つの物件に絞りにくくなるでしょう。
物件を探す際は、最初に希望条件をしっかりと固めておくことが大切です。条件に優先順位をつければ、物件を探しやすくなります。
購入の決め手になる一般的なポイントは、間取り・価格・立地の3点です。自力で探すだけでなく、不動産会社からも情報収集を行えば、希望に近い物件が早く見つかるでしょう。
必要書類を用意しておく
不動産を購入する際は、全体的な流れを通してさまざまな書類が必要です。用意すべき書類の種類や提出するタイミングを把握し、全ての書類を早めに準備しておきましょう。
物件の購入で必要となる主な書類は、身分証明書・実印・印鑑証明書です。ローンを組む際は、住民票・所得を証明する書類・他の借入の残高証明書・返済口座通帳などを準備する必要があります。
特に、売買契約から住宅ローン本審査を経てローン契約を結ぶまでは、スケジュールがタイトになりがちです。必要書類をすぐに提出できる状態にしておけば、手続きをスムーズに進められるでしょう。
事前審査を早めに受ける
住宅ローンの事前審査は、購入物件が決まった後に受けるのが一般的です。ただし、よりスピーディーに物件探しを進めたい場合は、物件選びの前に審査を受けることをおすすめします。
前もって事前審査を受けておけば、審査結果から借入可能額が分かります。予算を明確にした上で物件を探せるため、借入希望額が高過ぎて審査落ちするリスクを回避できます。
先に物件を決めてしまうと、その物件を購入できる金額を希望して審査を受けなければならず、審査に通らなければ再度物件を探さなければなりません。二度手間を防ぐためにも、事前審査は早めに受けておきましょう。
5.購入までの流れを把握して進めよう
不動産の購入は、物件探し・購入申し込み・売買契約・残金決済・引き渡しの順で流れが進んでいきます。ローンの手続きは同時進行で行わなければなりません。
期間の目安や必要書類を押さえておけば、よりスムーズに手続きを進められます。少しでも早く希望物件を購入するためには、全体の流れを把握しておくことが大切です。
事前審査のステップに時間をかけたくないなら、住宅ローン比較サイト『モゲチェック』を活用するのがおすすめです。自分に合った金融機関をランキングから選択できます。
ランキング表示された各金融機関には、審査承認確率が示されている点も大きな特徴です。審査に通る確率が分かるため、何度も仮審査を受ける手間が省けます。
簡単なプロフィールの入力だけで無料利用できることも魅力です。モゲチェックを効果的に利用し、物件探しに役立てましょう。
住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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