1.不動産購入に消費税はかかる?
不動産の購入時に行われる取引には、消費税が課税される取引と課税されない取引があります。取引ごとの課税・非課税の違いを知っておきましょう。
取引によって課税・非課税が異なる
不動産の売主が不動産会社など課税事業者の場合は、建物部分に消費税がかかります。一方、個人から購入した不動産の建物部分は非課税です。
ただし、個人から購入するケースでも、投資用物件については事業とみなされ、建物部分には課税されます。土地に関しては、建物の種類や売主にかかわらず、購入時に消費税は発生しません。
建物を建築する場合も、建築費用は課税対象です。一般的に、マイホームを新築で購入する場合は消費税が発生し、中古で個人から購入する場合は消費税がかからないケースが多いでしょう。
仲介手数料や事務手数料も課税対象
不動産購入時に土地と建物以外で消費税が課税されるものには、不動産会社に支払う仲介手数料や、住宅ローンの事務手数料が挙げられます。
一方、火災保険・地震保険・団体信用生命保険などの保険料や、住宅ローンの保証会社に支払う保証料は課税対象外です。ローンの借入にかかる利息にも消費税はかかりません。
原則として、消費税は以下に挙げる要件を全て満たした取引に課税されます。
- 日本国内での取引である
- 事業者が事業として行う取引である
- 対価を得て行う取引である
- 『資産の譲渡』『貸付』『サービスの提供』である
上記を全て満たしていても、課税対象としてなじまないものや、社会政策的配慮により課税が適当ではないものは非課税取引となります。
参考:消費税のしくみ|国税庁
2.契約や不動産登記にかかる税金
不動産購入時に発生する消費税以外の税金には、以下に挙げるようなものがあります。それぞれの概要や計算方法について解説します。
登録免許税
不動産購入時には不動産登記を行う必要があります。不動産登記とは、土地・建物の物理的現況や権利関係を公示するための制度です。
不動産登記の種類には、新たに所有権を設定する『所有権保存登記』や、売主から買主に所有権を移動する『所有権移転登記』があります。住宅ローン契約時に金融機関が設定する『抵当権設定登記』も、不動産登記の一つです。
登記を行う際は登録免許税が発生します。主な登記の計算式と税率(本則)は以下の通りです。ただし自分が居住するための住宅については、期限つきではあるものの軽減税率が適用されます。
- 土地の所有権移転登記:不動産の価額×2.0%
- 住宅の所有権保存登記:不動産の価額×0.4%
- 住宅の所有権移転登記:不動産の価額×2.0%
- 抵当権設定登記:債権金額×0.4%
不動産の価額は、『市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格』または『登記官が認定した価額』が該当します。
不動産取得税
不動産を新築・取得した際は、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は、都道府県が課税する地方税です。
不動産取得税は、有償・無償の別や登記の有無にかかわらず発生します。ただし、相続による取得の場合、一定の条件を満たせば課税されません。
不動産取得税の税額は、『固定資産税評価額×4%(住宅の場合は3%に軽減中)』の計算式で算出します。固定資産課税台帳に登録されていない新築物件に関しては、固定資産評価基準により取得時の価格を調査し、決定した金額が課税標準額です。
固定資産税、都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・建物・償却資産を持っている人に課税される地方税です。土地と建物を所有している場合は、それぞれに固定資産税が発生します。
固定資産税額の計算式は『固定資産税評価額×1.4%(標準税率)』です。自治体によっては税率が異なる場合があります。
市街化区域内に不動産を所有している人には、固定資産税に加え都市計画税も課税されます。市街化区域とは、『既に市街地を形成している区域』または『約10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域』です。市街化区域は年々増え続けています。
都市計画税の税額は『固定資産税評価額×0.3%(制限税率)』です。都市計画税の徴収は、固定資産税と併せて行われます。
参考:
印紙税
契約書や領収書など特定の文書には印紙税が課税されます。不動産取引において印紙税が発生する主な文書は、不動産売買契約書・建築工事請負契約書・金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約書)です。
印紙税の金額は契約金額に応じて定められています。上記三つの契約書は、いずれも契約金額に対する印紙税額が同じです。例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は2万円(本則)となります。
令和4年3月31日までに作成された不動産売買契約書のうち、記載金額が10万円を超えるものは軽減措置が適用されます。契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら、軽減措置が適用された税額は1万円です。
参考:
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
3.軽減税率が適用されるケース
税金の中には、軽減措置が適用され税額が安くなっているものもあります。不動産購入に関連する税金の軽減措置について解説します。
軽減措置の対象となる税金
不動産購入時に発生する税金の多くは、軽減措置の対象となっています。税額が安くなる税金の主な種類は、登録免許税・不動産取得税・固定資産税・都市計画税・印紙税です。
それぞれの軽減措置には期限が設けられており、中には既に再延長されているものもあります。今後の社会情勢などの影響を受け、現在の期限がさらに延びる税金もあるでしょう。
軽減措置が適用される税金は、適用条件や適用後の税額計算方法などが細かく設定されています。節税を意識する場合は、各税金の要件を満たしているか確認しましょう。
軽減税率を受ける手続き方法
減税措置の適用に関しては、自動的に軽減措置が適用されるケースと、所定の手続きを踏まなければ軽減されないケースがあります。
例えば、不動産取得税の軽減措置を受ける場合は、都道府県税事務所に申告書を提出しなければなりません。固定資産税や都市計画税も、軽減措置の適用を受ける場合は自治体への書類提出が必要です。
軽減措置を受けないまま納税してしまった場合、後から手続きしても間に合わない税金がある点に注意しましょう。不動産取得税は取得日から5年以内に手続きを行えば差額分が還付されますが、固定資産税や都市計画税は申告期限を過ぎると減税されません。
4.住宅購入後に利用できる減税制度
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合は、住宅ローン控除の適用を受ければ大きな節税効果を期待できます。制度の概要をチェックしておきましょう。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、ローンを利用して住宅を取得する場合に、一定の要件を満たすことで税額控除を受けられる制度です。
原則として最大10年にわたり、年末のローン残高の1%相当額を所得税や住民税から毎年控除できます。控除額は年に最大40万円が原則です。
制度の適用を受けるためには、『年収3,000万円以下』『ローン返済期間が10年以上』『住宅の延床面積の1/2以上が居住用』などの要件を満たす必要があります。
消費税10%で住宅を購入するなどの要件を満たしていれば、適用期間が最長13年に延長されます。控除額が税金から直接差し引かれるため、大きな節税効果を得られるでしょう。
参考:
No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
確定申告をすることで還付される
住宅ローン控除の適用を受けるためには、原則として毎年確定申告を行わなければなりません。年末調整で控除手続きを行える会社員も、適用初年度だけは確定申告が必要です。
確定申告を行うことで、払い過ぎた分の税金が還付されます。税金が毎月の給料から天引きされている会社員の場合は、年末調整の手続き後に年末の給料で還付されるのが一般的です。
2年目以降の控除を受ける会社員が、年末調整での控除手続きを忘れた場合は、翌年に確定申告を行えば還付を受けられます。最長5年までさかのぼって申告することが可能です。
5.税金の支払いも予算に加えておこう
不動産購入時にはさまざまな税金が発生します。主な税金の種類は、消費税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税・都市計画税・印紙税です。
大半の税金で軽減措置の適用を受けられるほか、住宅ローン控除の利用でも節税効果を期待できます。住宅購入の予算を組む際は、税金の支払いもきちんと考慮しましょう。
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