1.年収200万円でも住宅ローンは組める?
年収200万円でも、住宅ローンを利用すること自体は可能です。年収が低い場合に借入を受けるためのポイントを紹介します。
年収下限を明記していない金融機関はある
多くの金融機関では、住宅ローンの利用条件として年収の下限を明記していません。ルール上は、年収200万円でも住宅ローンを組むことが可能です。
ただし、審査に通過しても借入可能額は少なめに設定されるでしょう。借入可能額は年収に比例する傾向があるため、年収が少ないほど借入できる金額も少なくなります。
金融機関によっては、年収の下限を定めているケースがあることにも注意が必要です。例えば、年収が300万円以上あることを条件としている場合、年収200万円なら申し込みの時点で無条件に審査対象から外されます。
安定した収入が見込めるかが重要
住宅ローンの審査で金融機関が最重視するのは、『長期にわたり安定して返済できるかどうか』という点です。借入限度額がいくらになるのかはともかく、安定的な返済能力が認められれば、年収200万円でも融資自体は受けやすくなります。
安定した返済能力の有無を判断する重要なポイントが、収入の安定性です。非正規労働者や自営業者は、収入が不安定であるとみなされやすいため、審査で不利になります。
正社員として働いている人でも、職場の将来性に疑問符が付けられるようなら、審査は厳しくなるでしょう。年収が低ければ低いほど、収入の安定性を重視される点に注意が必要です。
返済比率が基準以内なら借入は可能
ローン審査で重視される項目の一つに、『返済比率』と呼ばれるものがあります。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合です。
返済比率が高いほど返済負担は増すため、申し込み者の安定的な返済能力を便宜的に測る指標として、審査の材料に返済比率が用いられています。
各金融機関では、融資の可否を判断するために、返済比率の基準を設けているのが一般的です。多くの金融機関で30~35%を返済比率の上限としており、基準以内であれば借入できる可能性は高くなります。
2.自営業者は年収ではなく所得で判断
年収200万円の自営業者がローンを申し込む際のポイントを解説します。会社員に比べ条件が厳しくなることに注意が必要です。
確定申告した所得で審査される
会社員が審査でチェックされる年収は、社会保険料や税金が引かれる前の額面年収です。一方、多くの金融機関では、自営業者は確定申告した所得で審査されます。
所得とは収入から経費を差し引いたものです。確定申告では一般的にさまざまな経費を差し引いて申告するため、所得は年収より少なくなります。
年収200万円の自営業者は、所得が200万円より少なくなることから、年収200万円の会社員に比べ審査が厳しくなります。会社員より借入可能額は少なくなってしまうでしょう。
3期連続の黒字が目安
多くの金融機関では、ローンを申し込んだ自営業者に、3期連続の黒字を求めています。安定的に事業を進めているかチェックするためです。
直近3年の所得に波がある場合は、3期の平均所得または最も少ない所得を基準とします。1期でも赤字の年があると、審査に通りにくくなるでしょう。
節税対策として多くの経費を計上している場合は、収入に比べ所得が大きく減少していることに注意が必要です。直近1期のみの所得で申し込める金融機関もありますが、金利が高くなるため返済負担は増加します。
3.年収200万円で住宅ローンを組む方法
年収が200万円でも、住宅ローンを利用しやすくなる方法を紹介します。実行できそうなものがあるか、申し込み前にチェックしておきましょう。
頭金を用意する
貯金に余裕がある場合は、頭金を入れてローンを組むのがおすすめです。頭金を用意すれば借入額を減らせるため、審査に通過しやすくなります。
金融機関によっては、『融資率』を審査基準の一つとしているケースがあります。融資率とは、物件価格に対する融資金の割合です。
融資率を参考にする金融機関では、融資率が9割を超えると、審査が厳しくなったり借入条件が悪くなったりします。最低でも物件価格の1割程度の頭金を用意すれば、融資率が高いことによる条件の悪化は抑えられます。
頭金が用意できない場合は、お金が貯まるまでローンの申し込みを控えることも検討しましょう。頭金なしでローンを組むと、物件を妥協せざるを得なくなります。
配偶者と収入合算する
年収が少なくてもローンを利用しやすくなる方法の一つとして、配偶者との収入合算が挙げられます。収入合算とは、申し込み者の年収に親族などほかの人の年収を合算する借入方法です。
安定した収入であると認められれば、配偶者がパート勤めでも年収を合算できます。配偶者の月収が5万円程度しかなくても、申し込み者の年収が200万円なら大きな足しになるでしょう。
ただし、合算できる金額は金融機関により異なり、配偶者の年収の全額を合算できるとは限りません。配偶者の職業に制限が定められているケースもあるため、申し込み前に条件を確認しておきましょう。
ペアローンやリレーローンを利用
配偶者に安定した収入があるならペアローンもおすすめです。夫婦が別々に審査を受け、一つの物件に対し2本のローンを契約するペアローンなら、借入額を大きく増やせる可能性があります。
夫婦のどちらも年収が200万円の場合、ペアローンを利用すれば実質的に年収400万円でローンを組むことが可能です。団信や住宅ローン控除も夫婦それぞれが利用できます。
親または子が安定収入を得ている場合は、リレーローンの利用も検討してみましょう。リレーローンとは、親子2世代にわたってローンを返済する借入方法です。
最初は親が返済し、親が定年を迎えた時点で子が返済を引き継ぎます。単独では収入が少なくローンを組みにくい場合でも、リレーローンなら融資を受けやすくなります。
4.低収入の人におすすめはフラット35
一般の金融機関で審査に通らない場合は、フラット35の利用を検討しましょう。フラット35の特徴や、低収入の人でも利用しやすい理由を解説します。
フラット35の特徴
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して実施する住宅ローンです。全国300以上の金融機関で申し込めます。
金利タイプを『全期間固定型』としていることが、フラット35の大きな特徴です。変動金利と異なり、借入後に市中金利が上昇しても返済額が変動しないため、安心して利用できます。
一般的な住宅ローンの借入時に求められる保証料や保証人が、フラット35では不要です。繰り上げ返済や返済方法の変更を行う際も、手数料がかかりません。
年収制限がない
フラット35では、申し込み者の年収制限が設けられていません。低収入の人でも利用しやすい住宅ローンです。
フラット35の審査では返済比率が重視されます。年収400万円未満なら返済比率が30%以下、400万円以上なら35%以下でなければ、審査に通らないでしょう。
年収200万円でも返済比率が30%以下なら、返済比率の条件はクリアできます。ただし、返済比率はあくまでも指標の一つであり、一般的な金融機関と同様に返済能力があるかどうかもしっかりとチェックされます。
非正規でも借入が可能
審査項目に雇用形態の条件が含まれていないことも、フラット35のメリットです。非正規雇用・自営業者・年金生活者であっても申し込めます。
金融機関の中には、転職後間もない人の申し込みを受け付けないケースがあります。しかし、フラット35では数カ月しか勤務していなくても申し込みが可能です。
団信への加入が任意であるため、健康状態に不安を抱えている人でも利用できます。さまざまな面で柔軟に対応してもらえる点が、フラット35の大きな特徴です。
5.年収200万円でも住宅ローンは組める
年収200万円でも収入の安定性や返済能力が認められれば、ローンを組むことが可能です。自営業者の場合は、年収ではなく所得で判断される点に注意する必要があります。
借入可能額が希望額に達しない場合は、頭金の用意や収入合算・ペアローンの利用で、借入額を増やせる可能性があります。低収入者が利用しやすいフラット35もおすすめです。
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いくら、どこで借りられるか調べよう!
住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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