団体信用生命保険(団信)とは?
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン返済期間中の万が一に備えるための保険商品です。住宅ローンは数十年の長いローン契約なので、返済期間中に債務者(ローン契約者)が死亡したり働けなくなったりすると返済が滞り、債務者も金融機関もお互いにつらい思いをしてしまいます。そのような事態に備えるべく、ほとんどの金融機関で団信への加入が義務付けられています。
実際に万が一のことが発生した際は保険会社から支払われる保険金によってローンが完済されるため、債務者は住宅ローンの返済が免除されます。
団信は金融機関が保険会社とタッグを組み日々工夫を凝らしているため、「がん保障」「3大疾病保障」など様々な保障範囲の団信が提供されています。昨今は低金利競争を極力避けるべく、団信の差別化で魅力をアピールする金融機関が増えています。
>>参考:団体信用生命保険を比較してみた!住宅ローンのさまざまな団信保障を解説
なお、団信に加入するためには保険会社の審査(告知)が必要です。過去の病気などによって団信への加入が難しい場合でも、「ワイド団信」を使ったり、団信への加入義務がない公的住宅ローン「フラット35」を使うという選択肢があります。
>>参考:住宅ローンの団信審査とは?健康面に不安ある方必見!うつ病や審査落ちの対処法も
団信の保険料の支払い
団信の保険料は、種類によって異なっています。例えば債務者の死亡・高度障害に備える最もベーシックな団信「一般団信」の場合、債務者は無料で利用できることが一般的です。ただし金融機関は保険料を保険会社に支払っているため、実際にはその保険料分が住宅ローン金利の中に含まれている、と考えるのが正確な理解でしょう。
がんや3大疾病、要介護状態など、一般団信よりも保障内容が付加されているものは「疾病団信」と呼ばれますが、疾病団信はその保障範囲や加入時の年齢に応じて住宅ローン金利に年0.1%〜0.3%程度の上乗せが必要となることが一般的です。
また、金融機関によっては「特定の団信を利用する際、その分金利を割り引く」といった優遇を行う場合もあります。例えば人気の高いりそな銀行の「団信革命」は年0.3%の金利上乗せが必要ですが、住宅ローン金利が年0.05%優遇されるため、実質年0.25%の上乗せで利用可能です。
金利が上がることで毎月の返済額が増えることになりますが、その分充実した保障によって安心して住宅ローンを利用することができるでしょう。
なお、団信は一般的な医療保険に比べると割安とされています。団信は住宅ローン利用時にしか加入できないこと、また、住宅ローンを繰り上げ返済する人が多いため、保険会社にとっては保険料を支払わなければならない可能性が低いためです。
>>参考:がん団信とは?割安な理由とおすすめの住宅ローンを解説
団信の契約条件
上述のように、団信は誰でも加入できるわけではありません。具体的にどのような条件があるのか、詳しく見ていきましょう。
これから住宅ローンを借りる人・借り換える人
団信は住宅ローンをこれから借りる人が加入することができ、住宅ローンの利用開始後に団信のプランを変えることはできません。そのため、長い返済となる住宅ローンを利用する前に、団信の保障内容を慎重に判断する必要があるでしょう。
もし住宅ローンを利用している人が団信を変えたくなった場合は、他の金融機関への借り換えを行うことで別の団信に切り替えることが可能です。
健康状態などに問題なく、団信審査を通過できる人
団信に加入するためには、住宅ローンの審査時に保険会社へ団信の告知を行い、審査を受ける必要があります。
過去の病歴や現在の健康状態、投薬の状況によっては団信審査に通らない可能性もあるでしょう。しかし保険会社への告知は正確に行う必要があります。嘘をついたりごまかして告知をすると、万が一の際に保障を受けられないリスクがあります。
持病や既往歴などの理由で団信に加入できない場合は、引受条件が緩和された「ワイド団信」や、団信への加入が必須ではないフラット35を利用するのも1つの方法です。
疾病団信には年齢制限もある
がん保障付団信や3大疾病保障付団信などの疾病団信には、加入時年齢に制限があることが一般的です。具体的には「加入時に満50歳未満であること」など、50歳前後を区切りとしているケースが多くなっています。
あるいは、「50歳未満なら年0.1%、50歳以上なら年0.3%」といったように、年齢が上がっても加入できるものの金利の上乗せが高くなる場合もあります。
利用したい団信があるとき、その団信の年齢制限は必ず確認するようにしましょう。
団信の種類
団信は金融機関によってラインナップが異なり、様々な種類の保障が提供されています。ここでは「一般団信」「疾病団信」「ワイド団信」と大きく3つに分けて解説します。
一般団信
一般団信とは、債務者が死亡したり高度障害になった場合に、保険金によって住宅ローン残債が全額肩代わりされる団信です。高度障害とは、例えばなんらかの理由で寝たきりになったり、両目の離職を完全・永久に失った場合などが該当します。
一般団信には「リビング・ニーズ特約」が付いている場合もあります。リビング・ニーズ特約とは、債務者の余命が6ヶ月以内となった場合に死亡・高度障害時と同じように保険金が支払われる対象となる特約です。
疾病団信
疾病団信の種類は多く、例えば
・がん団信(50%保障・100%保障)
・3大疾病保障
・8大疾病保障
・全疾病保障
など様々な種類があります。
日本人の2人に1人ががんに罹患するといわれている中、この中でも多くの金融機関が扱っているがん団信は「がんと診断されただけで」保険金の対象となるため人気です。その人気の高さから、近年ではがんと診断されたら住宅ローン残債が半分になる「がん50%保障」を取り扱ったり、金利上乗せを無料にする金融機関も多くなっています。
>>参考:団体信用生命保険を比較してみた!住宅ローンのさまざまな団信保障を解説
ワイド団信
ワイド団信は、保障範囲は一般団信と同じであるものの、一般団信よりも引受基準が緩和された団信です。例えば高血圧症や肝機能障害といった持病がある人でも加入できる可能性があります。
ワイド団信は保険会社からすると高リスクであるため、金利上乗せは年0.3%と高めに設定されていることが一般的です。
団信を選ぶ際に確認しておきたいポイント
団信は各金融機関が様々な保障内容・条件の商品を提供しています。また、住宅ローン契約後は団信を変更することができないので、あらかじめ詳細を確認しておく必要があります。比較検討する際どのような点に気をつけてチェックすべきかを把握しておきましょう。
金利上乗せとローン返済負担の増加はどれくらいか
一般団信は無料で使えることが通常ですが、疾病団信は住宅ローン金利に一定の金利上乗せが必要です。希望する団信ではどれくらいの上乗せが求められるのか、それによって月々のローン返済がどれくらい増えるのかを事前にチェックしておきましょう。
[金利上乗せがない状態で年0.5%、借入額3,500万円、35年返済]の住宅ローンを利用するとき、金利上乗せによってどれくらい返済額が増えるのかをシミュレーションしてみた結果が以下です。団信選びの参考にしてみてください。
団信の金利上乗せ | 住宅ローン金利 | 毎月返済額 | 増加額 | 団信の例 |
なし | 0.50% | 90,854円 | - | 一般団信 |
+0.05% | 0.55% | 91.630円 | +776円 | がん50%保障 |
+0.10% | 0.60% | 92,410円 | +1,556円 | がん100%保障 |
+0.20% | 0.70% | 93,982円 | +3,128円 | 生活習慣病保障 |
+0.30% | 0.80% | 95,571円 | +4,717円 |
3大疾病保障 7大疾病保障 8大疾病保障 |
保障内容が十分かどうか
期待する保障内容がしっかり受けられるかどうか、保障の内容を吟味する必要もあるでしょう。がんに罹患する不安があるなら「がんと診断されたら保険金が出る」といった保障、いわゆるがん保障を付保できると方が良いでしょう。しかし、団信商品によっては別途給付金が出るものなどもあります。このように、金融機関や商品によって得られる保障が異なるので、詳細をしっかり確認する必要があります。
団信の商品名だけを見て判断しないことも大切です。たとえば「すべての怪我や病気による就業不能」に備える、いわゆる「全疾病保障」も、名称だけを見ると充実した保障に見えますが、就業不能状態が数ヶ月続かないと残債が補填されないなど、実は保険金が支払われるまでの条件が厳しいものも存在している点に注意しましょう。
加入できる年齢かどうか
疾病団信には加入時点での年齢制限がある場合がほとんどで、加入時の年齢が40歳まで、50歳までといったように金融機関や商品ごとに細かく制限があります。特に30代後半〜40代後半くらいまでの方は、希望する団信に自分が加入できるのかどうかしっかり確認しておきましょう。
自分に合った住宅ローンを見つけるなら、モゲチェック
住宅ローンは長期間にわたって付き合う必要のある金融商品です。金融機関によって金利・団信・審査など様々な条件が異なっているため、しっかり比較して自分にとってベストなローンを選ぶ必要があります。
住宅ローンを比較するにはモゲチェックがオススメです。モゲチェックの住宅ローンランキングでは、年齢や地域、希望の金利タイプといった条件を選択すると数多くの金融機関の中からランキング形式で住宅ローンを比較することができます。
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また、モゲチェックの住宅ローンアドバイザーにメッセージ相談もできるので、住宅ローンを実際に利用するまで、中立的な立場のプロにナビゲートしてもらうことが可能です。
ぜひモゲチェックでよりよい住宅ローンを選んでみましょう!
まとめ:金利だけでなく団信も比較を
住宅ローンはついつい金利だけで比較しがちですが、団信をうまく活用することでより安心して住宅ローンを利用することができるでしょう。
団信の活用のためには、団信とはなにか、団信を選ぶ際のポイントについてしっかり抑えておくことが重要です。
住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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