1.住宅ローンは何年まで組める?
住宅ローンで設定できる借入期間について解説します。完済時年齢の制限があることや、長期ローンを組めないケースがあることを知っておきましょう。
一般的な借入期間は最長35年
住宅の購入は高額な買い物となるため、長期間かけてローンを返済するのが一般的です。多くの金融機関では、設定可能な借入期間を最長35年と定めています。
数千万円もの物件価格も、35年×12カ月に分割すれば、一般的な収入の世帯でも月々の返済を続けられる金額になります。
ただし、返済開始年齢によっては、借入期間の終盤に返済負担が重くなる場合もあるでしょう。35歳で35年ローンを組んだ場合、完済時年齢は70歳となるため、完済前の数年間は年金や貯金で返済しなければなりません。
長期ローンを組む場合は、定年退職後の支出をどのようにまかなうのか、慎重に検討する必要があります。
借入期間50年の住宅ローンも
最近は50年ローンを取り扱う金融機関も増えてきました。
UI銀行、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行などのネット銀行や、一部の地方銀行が採用しています。35年を超える借入期間を設定する場合は上乗せ金利が必要になる金融機関もありますのでご注意ください。
借りる年齢により短くなる場合もある
ほとんどの金融機関では、住宅ローンの条件に完済時年齢の制限を設けています。75~80歳を上限と定めているのが一般的です。
借入期間を35年に設定したい場合でも、返済開始時の年齢によっては、借入期間を短くしなければならないケースもあるでしょう。完済時年齢の上限が80歳となっているローンを50歳から利用するなら、借入期間は30年までしか設定できません。
申し込み時の年齢が高くなるほど、借入可能期間は短くなるため、返済負担も重くなります。長期ローンを組みたい場合は、できるだけ早い時期に申し込むことが重要です。
2.途中で借入期間を延長する方法は二つ
ローン契約時に設定した借入期間は、途中で延長することが可能です。借入期間を延ばすことで、毎月の返済額を減らせます。期間を延ばせる二つの方法を覚えておきましょう。
住宅ローンを借り換える
借入期間を延長する方法としては、住宅ローンの借り換えが挙げられます。まったく別の金融機関に残債を移動し、新たにローンを組んで返済を再スタートさせる方法です。
35年ローンを組んで10年返済した後、借り換えを行って再度35年ローンを組めれば、返済負担が軽くなります。借り換え後に金利が下がる場合は、返済がより楽になるでしょう。
ただし、多くの金融機関では、借り換え前の残期間を超えた借入期間で借り換えることを認めていません。借り換えにより金利を下げる方法しか有効な手段がないのが実情です。
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契約中の金融機関と交渉
ローンの借入期間を延長したい場合、金融機関と交渉してみましょう。延長希望の理由を担当者に伝え、納得してもらえるなら、期間延長に応じてくれる可能性があります。
借入期間を延ばせれば月々の返済額を減らせるため、家計の負担を軽減できます。ライフスタイルの変化により支出が多くなった場合に、借入期間の延長は有効な対処法です。
病気やリストラで一時的に返済ができなくなったケースでも、金融機関に相談すれば返済を猶予してもらえる場合があります。金融機関側も、可能な限り譲歩しながら、できるだけ貸付金を回収したいと考えるためです。
ただし、本来的にはすでに借りている住宅ローンの期間延長は、金融機関にとって非常にネガティブな取り扱いです。「ローン貸し出し時よりも返済能力が落ちている」「本来の返済スケジュールを履行することが難しくなってしまっている」という見方になるためです。
ひとたび期間延長を行うと、将来的に住宅ローンを借り換えるのが難しくなる可能性もあるため、慎重に考えるべきでしょう。
3.長期で住宅ローンを組むメリットと注意点
借入期間を長めに設定することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットと併せて解説します。
毎月の返済額が少なくなる
長期で住宅ローンを組むと返済回数が多くなるため、1回あたりの返済額が少なくなります。返済回数が少ない短期ローンに比べ、毎月の返済額を減らせる点がメリットです。
借入期間を設定する際は、毎月の返済額をシミュレーションする必要があります。短期返済と長期返済で数万円の差が出るため、返済可能な金額に収まるように期間を設定することが重要です。
長期の借入期間を設定し、返済負担が軽くなれば、貯蓄に回せる分も多くなるでしょう。自己資金を増やしたいケースでも、長期返済にするのが適しています。
借入可能額が増える
住宅ローンの審査では、申し込み者の返済能力を総合的に判断されます。返済不能になるリスクが低いとみなされれば、さまざまな面で審査時に有利です。
借入期間を長期に設定すれば、返済負担が軽くなるため、審査時のポイントが高くなります。借入可能額を増やしたい場合にも、借入期間の長期設定は有効な方法の一つです。
希望する借入額が欲しい物件の価格に届かない場合は、借入期間を延ばしてみましょう。審査後の借入可能額が、希望額に達する可能性があります。
返済総額は大きくなる
長期返済の大きなデメリットが返済総額の増加です。借入期間を長くするほど、トータルの返済額は大きくなります。
金融機関によっては、長期返済にすると金利が上がるケースもあります。返済が長期間になることによるリスクを、金利の上乗せ分でカバーするという考え方です。
借入期間が数十年違うと、返済総額に数百万円の差が出る場合もあります。返済総額増のリスクを理解した上で、月々の返済負担軽減と比較することが大切です。
4.定年後が不安なら繰り上げ返済を活用
退職後の返済に不安を感じる場合は、繰り上げ返済を活用して借入期間を短縮しましょう。繰り上げ返済の仕組みと期間短縮の方法を紹介します。
繰り上げ返済の仕組み
繰り上げ返済とは、定期的に行う返済とは別に、前倒しで元本を減らす返済方法のことです。繰り上げ返済で支払った分の元本のみが少なくなるため、総返済額を効率的に減らせます。
『全額繰り上げ返済』で残りの元本を完済することも可能ですが、一般的に行われるのは元本の一部を返済する『一部繰り上げ返済』です。
繰り上げ返済には、『期間短縮型』と『返済額軽減型』の2種類があります。残りの借入期間を短縮できるのが期間短縮型、月々の返済額を減らせるのが返済額軽減型です。
早めに返し終えたいなら「期間短縮型」を選択
現在の借入期間を短縮したい場合は、期間短縮型の繰り上げ返済を活用しましょう。繰り上げ返済を行うたびに、借入期間を短くできます。
期間短縮型の繰り上げ返済では、月々の返済額は変わらない点がポイントです。返済負担を減らす目的で繰り上げ返済を行う場合は、返済額軽減型を選択する必要があります。一般的に、繰り上げ返済による利息軽減額がより大きいのは「期間短縮型」です。
臨時収入が入った場合や、家計の収支に余裕が生まれた場合は、積極的に繰り上げ返済を行うとよいでしょう。徐々に期間を短縮できれば、老後の不安を解消できます。
5.借入期間は計画的に決めよう
一般的に、住宅ローンの借入期間は35年まで設定可能です。長期返済にはメリットとデメリットがあるため、きちんと返済計画を立てた上で借入期間を決めましょう。
住宅ローン選びで迷う場合は、無料で使えるローン比較サービス『住宅ローン診断』の活用がおすすめです。メールアドレスなどを入力するだけで、ランキング表示された低金利商品の中から、自分に合ったローンを選べます。
借りたい金額から返済額をシミュレーションできることも魅力です。希望物件の価格から借入希望額を決めた後、無理のない返済額を考慮する際に役立てられるでしょう。
審査承認確率が商品ごとに表示されるのも大きな強みです。自分に合った住宅ローンを選びたいなら、モゲチェックの住宅ローン診断を利用しましょう。
住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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