1.マンション購入時の初期費用
不動産を購入・取得する際は、いくつかの初期費用が発生します。マンション購入時にかかる主な費用を覚えておきましょう。
手付金
マンションを購入する際は、売り主と買い主との間で売買契約を締結します。契約時に買い主が購入代金の一部を先払いするお金が手付金です。
マンションの引き渡し時には、購入代金から手付金を引いた残りの金額を支払い、決済します。手付金の相場は物件価格の1割程度であり、現金で支払うのが一般的です。住宅ローンを利用するケースでは、手付金は頭金の一部として扱われます。
買い主都合で売買契約がキャンセルとなった場合、支払い済みの手付金は返金されません。売り主の都合により契約がキャンセルされた場合は、手付金の2倍の違約金を売り主が買い主へ支払う必要があります。
印紙税
マンション購入時やローン契約時には、当事者間でいくつかの契約書が取り交わされます。法律で定められた契約書に対して課される税金が印紙税です。
印紙税法では、税金が課される20種類の課税文書が定められています。課税文書に該当する契約書が締結される際は、文書に印紙を貼って印紙税を支払わなければなりません。
マンション購入時には、売買契約書・建築工事請負契約書・金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約書)などが作成されます。これらは課税文書に該当するため、印紙税の納付が必要です。
印紙税の金額は、契約書に記載されている取引金額に応じて決定します。誰が支払うかに関するルールはなく、売り主と買い主が平等に負担するのが一般的です。
登録免許税
不動産を取得する際は、不動産の新たな持ち主を明確にするため、建物や土地に所有権を登記します。登記手続きの際に法務局で納付する税金が登録免許税です。
登録免許税の税額は、不動産の固定資産税評価額に、登記種類別の税率を掛けて算出します。主な税率の原則は、土地や中古住宅の所有権移転登記が2.0%、新築住宅取得時の所有権保存登記が0.4%です。
住宅ローンを利用する場合は、金融機関が物件を担保に入れるための抵当権設定登記も行われます。抵当権設定登記にかかる登録免許税の計算式の原則は、『ローン借入額×0.4%』です。
住宅ローン契約に必要な費用
マンションの購入代金を住宅ローンでまかなう場合は、ローン契約時に各種費用が発生します。主な費用は事務手数料・保証料・登記費用です。
事務手数料の金額は、固定額が決まっているケースと、借入額に一定の割合を掛けて計算するケースの2パターンがあります。
保証料とは、連帯保証人の代わりに保証会社へ支払う費用のことです。一括での支払いを求められる以外に、金利に上乗せして支払う場合や、保証料を無料としている場合もあります。
抵当権設定登記を行う際は、登記作業を司法書士に依頼するのが一般的です。金融機関から司法書士を紹介された場合でも、基本的に報酬はローン契約者が負担します。
火災保険料
火事や自然災害による損害から自宅を守るために、火災保険への加入は必須です。住宅ローンを利用する場合は、利用条件として火災保険への加入を求められます。
損害を被るリスクが高いほど、保険料も高くなるのが基本です。一般的には、戸建てよりマンションのほうが保険料を安く抑えられます。
補償内容・補償の対象・専有面積・築年数・保険期間・保険金額も、保険料の金額に影響を与える要素です。居住環境やライフプランに合わせて、最適な保険を選ぶ必要があるでしょう。
2.新築マンション購入に必要な初期費用
新築マンションを購入する際は、購入代金に対して消費税がかかります。申込証拠金を求められる可能性があることも押さえておきましょう。
消費税
課税事業者と取引する場合は、消費税を支払わなければなりません。新築マンションの売り主である不動産会社は課税事業者であるため、購入時に消費税を支払う必要があります。
一方、中古マンションの購入時における消費税の有無は、マンションの売り主によります。売り主が個人の場合、購入時に消費税を支払う必要はありません。
住宅の種類にかかわらず、土地代の消費税は非課税です。区分所有のマンションは土地と建物がセットになっているため、物件価格から土地代を引いた分にのみ消費税がかかります。
登記手続きで発生する司法書士への報酬や、ローン契約時に支払う事務手数料にも、消費税が発生することを覚えておきましょう。
申込証拠金
不動産を購入する際は、購入申込時に申込証拠金を支払うケースがあります。申込証拠金とは、物件を仮押さえする意味で支払うお金です。
マンションの購入申込を行っただけの段階では、他の購入希望者に先を越される可能性があります。売買契約前に申込証拠金を支払うことで、優先度を高めることが可能です。
売り主側にとっても、申込証拠金を求めることで、購入希望者の本気度を確認できます。気軽な申込やキャンセルを防げる点がメリットです。
申込証拠金は手付金と異なり、売買契約前に支払います。金額の相場は1~10万円が目安です。
契約成立後に支払う手付金には法的拘束力があるため、契約のキャンセルを解約扱いにできます。一方、申込証拠金には法的拘束力がなく一時的に預けるだけのお金です。
3.中古マンション購入に必要な初期費用
不動産会社を通して中古マンションを購入する場合は、仲介手数料が発生します。リフォームやリノベーションを行う際の費用も準備が必要です。
仲介手数料
一般的に、新築マンションの販売は、マンションを建てる不動産会社などが直接販売を行います。仲介業者を入れない形になるため、購入時に仲介手数料は発生しません。
一方、中古マンションの多くは、売り主の代わりに不動産会社が販売します。売買契約は売り主と締結しますが、仲介をした不動産会社には手数料の支払いが必要です。
仲介手数料の計算式は売買価格により異なります。売買価格が200万円未満の場合は『売買価格×5%』、200万円超~400万円以下なら『売買価格×4%+2万円』、400万円超の場合は『売買価格×3%+6万円』です。
不動産会社が仲介手数料を請求する際は、これらの金額を上限とすることが宅地建物取引業法で定められています。
売買契約の成立は売り主と買い主の双方にメリットがあるため、仲介手数料はどちらからも受け取れます。双方から上限額まで受け取ることが可能です。
リフォーム、リノベーション費用
中古マンションの購入後にリフォームやリノベーションを行う場合は、それぞれに費用がかかります。リフォームとはマイナスの部分を修復する作業であり、リノベーションとは新しい設備や機能を追加する作業です。
リフォームやリノベーションにかかる費用の相場は、首都圏で1平米あたり約10~20万円とされています。工事業者から見積りをとれば、事前に大まかな費用を把握することが可能です。
工事の際に交わす工事請負契約では印紙税が発生します。増築する際に必要な建築確認申請にも費用がかかります。全ての作業を業者に任せた場合の相場は、15~20万円が目安です。
4.入居準備に必要な費用も確保しておこう
新しいマンションへの入居準備費用として、引っ越し費用や家具・家電購入費用がかかります。実際の平均費用が分かるデータを確認し、費用の目安を把握しておきましょう。
引っ越し費用
マンション購入後は、それまで住んでいた住居から引っ越しをしなければなりません。引っ越し業者に依頼する場合は、ある程度の費用がかかります。
引っ越し業者を選ぶ際は、事前に複数の業者から相見積りをとり、比較検討しましょう。引っ越し費用は業者間で差があるため、比較することで費用の削減につなげられます。
新しいマンションに移るまでの間、仮住まいの期間が発生するケースでは、ホテルやアパートに住むための費用も必要です。仮住まいに移る際の引っ越し費用が発生するケースもあります。
家具購入費用
新築マンションの購入に合わせて、家具や家電を一新したいと考える人も多いでしょう。サイズが部屋に合わないなど、新居で使えない家具や家電がある場合も、新しいものに買い替える必要があります。
住宅金融支援機構が新築住宅購入者を対象に行った調査では、住宅購入後約1年以内の家具や家電の購入費と、1世帯あたりの引っ越し費用が分かります。
2014年度における購入額の平均は、新築マンションで85.9万円、新築戸建てで201.0万円です。平均引っ越し費用は、新築物件で16.0万円、中古物件で19.1万円となっています。
参考: 住宅取得に係る消費実態調査(2014 年度)P.4|住宅金融支援機構
5.初期費用として用意すべき金額は?
マンション購入時には、どれくらいの現金を準備しておけばよいのでしょうか。新築と中古のケースに分けて費用の目安を紹介します。
新築の諸経費は物件価格の3~5%が目安
新築マンションの購入時にかかる諸経費の目安は、物件価格の3~5%です。4,000万円の新築マンションを購入するなら、約120~200万円の諸経費が発生することになります。
新築マンションと中古マンションの諸経費を比べた場合、最も大きな差となるのが、不動産会社に支払う仲介手数料の有無です。新築マンションでは仲介手数料がかからない分、諸経費を安く抑えられます。
ただし、新築マンションの購入時には、マンション購入価格に消費税が課されます。申込証拠金が必要になるケースがある点も意識しておきましょう。
中古の場合は8%前後
中古マンションを購入する場合、諸経費の相場は物件価格の8%前後が目安です。不動産会社への仲介手数料がかかるため、新築マンションより金額が高くなります。
ただし、中古マンションを不動産会社が買い取って再販している場合は、仲介手数料が発生しません。諸経費は仲介手数料の分だけ安くなります。
リフォームやリノベーションを行う場合は、さらに費用が増えるでしょう。不動産会社が中古物件を買い取ってリフォームを済ませている場合、リフォーム代は発生しませんが、不動産会社から購入することになるため消費税がかかります。
入居準備に100万円程度は必要
マンション購入時にかかる諸経費の目安には、引っ越し代や家具代などの入居準備費用が加味されていません。実際に現金を用意する際は、入居準備費用も考慮する必要があります。
先述の住宅金融支援機構のデータによると、新築マンションに移る際の家具・家電購入費用の平均は85.9万円、新築物件への引っ越し費用の平均は16.0万円です。
これらの費用を合計すると、85.9万円+16.0万円=101.9万円となります。新しいマンションへの入居準備費用は、100万円程度を目安に準備しておくとよいでしょう。
参考: 住宅取得に係る消費実態調査(2014 年度)P.4|住宅金融支援機構
6.資金が不安な人の対処法
諸経費や入居準備費用が足りない人は、以下に挙げる対処法を検討してみましょう。資金不足に対する不安を解消できる可能性があります。
できるだけ節約する
不動産会社に支払う仲介手数料は、業者によっては安くなるケースがあります。仲介手数料の計算で算出される金額は、あくまでも請求できる上限額のためです。
住宅ローン契約時に支払う手数料も、金融機関ごとに差があります。ただし、手数料を安くする代わりに金利を高くしているケースがあるため、保証料も含めてトータルで判断しましょう。
火災保険料は、補償の内容を吟味して選ぶことで安くできます。保険会社にすすめられるままに決めるのではなく、本当に必要な補償を自分で選んで保険を決めましょう。
諸経費ローンを借りる
どうしても最初に現金を用意できない場合や、自己資金を多めに残しておきたい場合は『諸経費ローン』を借りるのも一つの方法です。諸経費ローンを組むと、マンション購入にかかるほぼ全ての諸経費や引っ越し費用を、住宅ローンとは別に借りられます。
諸経費まで全て含めて住宅ローンを組む『オーバーローン』を利用する方法もあります。諸経費ローンと異なり、オーバーローンなら借入を1本にまとめることが可能です。
ただし、諸経費ローンとオーバーローンのどちらも、通常の住宅ローンに比べ金利は高くなります。返済負担が増すことになるため、利用を検討する場合はきちんと返済計画を立てる必要があるでしょう。
7.初期費用も予算に加えて検討しよう
マンション購入時にはさまざまな初期費用が発生します。新築マンションと中古マンションでは、初期費用に違いがある点もポイントです。
引っ越し代や家具代など、入居準備に必要な費用も考慮しなければなりません。マンションを購入する際は、初期費用も予算に加えて資金計画を立てましょう。
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