住宅ローンにかかる諸費用とは?
マンションの購入でも戸建の購入でも、物件価格のほかに諸費用がかかります。諸費用は通常、現金での支払いが必要です。そのため、物件購入の際には諸費用に相当する資金を用意しておく必要があります。では、その諸費用はどれくらいの金額になるのでしょうか?
住宅ローンにかかる諸費用の種類と費用の目安
諸費用の目安は物件価格の5~10%です。例えば3,500万円のマンションを購入した場合には、175万~350万円の諸費用がかかります。新築物件では5~7%、中古物件では7~10%が目安で、そのうち住宅ローンに関するものは事務手数料(融資手数料)、保証料、印紙税、登録免許税、登記代行手数料です。
種類 | 内容 | 費用の目安 |
仲介手数料 | 中古物件の場合に仲介する不動産業者に支払う費用 | 物件価格の3%+6万円(税抜) |
事務手数料(融資手数料) | 住宅ローンの取扱いのための費用 | 事務手数料型の住宅ローンを借りる場合、借入金額の2.2%程度 |
保証料 | 住宅ローン借入の際に保証会社をつけるための費用 | 保証料前払型の住宅ローンを借入期間35年で借りる場合、借入金額の2%程度 |
印紙税 | 売買契約書や住宅ローンの契約書作成に必要な費用 | 借入金額に応じて1~6万円程度 |
登録免許税 | 所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記にかかる税 | 物件によって異なり、固定資産課税台帳での評価額の0.1~2.0% |
登記代行手数料 | 登記を行う司法書士への報酬で、金融機関に指定される場合が多い | 10万円程度 |
不動産取得税 | 物件を取得後、1年程度までの期間を支払う | 物件により異なり、物件価格の0.5%前後 |
固定資産税・都市計画税など | 不動産の所有期間中にかかる税金 | 中古物件の場合は引渡日に応じて日割り計算し、一般に数万円程度 |
管理費・修繕積立金など | 集合住宅の所有期間中にかかる費用 | 中古物件の場合は引渡日に応じて日割り計算する。一般に多くても数万円 |
火災保険料 | 火災保険に加入するための費用 | 物件の構造などによって異なり5年間で7~12万円程度 |
なお、その他に購入時には購入申込金(申込証拠金)・手付金として物件価格の数%を事前に現金で支払うことがありますが、購入時の物件価格の支払いに充当されますので、一般的には諸費用には含まれません。
住宅ローンの諸費用を節約する方法はある?
諸費用の中でも、大きな割合を占めるのが住宅ローンの諸費用です。住宅ローンの諸費用を節約するには、どのような方法があるでしょうか?
購入予算を下げる
物件購入時にかかる諸費用は物件価格に対する比率で決まるものが多く、住宅ローンの諸費用の大半を占める事務手数料(融資手数料)や保証料も、借入金額に比例した金額が必要になります。そのため購入予算を下げて借入金額を減らすことができれば、支払う諸費用が少なくなります。
他にも、各種の税金や中古物件の仲介手数料も物件価格に応じて決まってくるため、低予算で物件を購入できればそれだけ負担が軽くなります。
頭金を多く入れる
もし手元資金に余裕がある場合には、頭金を多く入れれば住宅ローンの事務手数料や保証料を減らすことができます。例えば借入金額3,500万円・借入期間35年間で借りる場合、これらの手数料の合計で約80万円にも及びます。そのため、頭金を入れて借入金額を半分にできれば、住宅ローンの諸費用も約半分になります。
ただし、手元資金を無理に頭金に投入してしまい、今後必要になる教育資金や生活費などに影響が出てしまっては本末転倒です。また、借入金額が減ることで団体信用生命保険(団信)の保障額が減ったり、運用ができる人はその機会を失ったりする影響もありますので、総合的な判断が必要です。
保証料を金利に上乗せして支払う住宅ローンを選ぶ
事務手数料が安い代わりに保証料がかかる保証料型の住宅ローンでは、保証料の支払い方には前払型と金利上乗せ型の2種類があります。前払型では、借入期間35年の場合には借入金額の約2%の保証料を支払う必要があり、大きな負担になります。一方、金利上乗せ型では借入時に保証料を支払う必要がありません。その代わりに、適用金利に0.2%程度を上乗せすることで、毎月返済額が増えるしくみになっています。
そのため、まとまった資金がない場合には、金利上乗せ型の商品を選ぶことで諸費用を大きく減らすことができます。ただし、金利上乗せ型は前払型に比べて毎月返済額が大きくなり、総返済額がやや増えてしまうため、返済計画は十分に検討しましょう。
借入期間を短くする
保証料型の住宅ローンでは、保証料は借入期間に応じて決まります。借入期間を短くすると保証料は少なくなることから、45歳以降で住宅ローンを新規に申し込む人など、そもそも長期ローンが組めない人は、保証料型の住宅ローンを選ぶことで諸費用を減らすことができます。
ただし、借入期間が短い住宅ローンを組む場合には、今後の教育資金や生活費などの資金計画をより慎重に考慮して判断する必要があります。次に説明するように、繰上返済によって保証料の一部を取り戻す方法がありますので、毎月返済額に十分な余裕がある場合を除いて、リスク回避のためになるべく長い期間で借りておくほうが無難です。
繰上返済をする
住宅ローンの保証料は借入金額と借入期間によって決まるため、住宅ローンの返済期間中に繰上返済をすると、残りの元本と借入期間に応じて保証料が再計算され、保証料前払型の住宅ローンでは、前払いした保証料の一部が戻ってきます。
繰上返済をするかどうかには総合的な検討が必要です。教育資金や老後資金などにめどがついていない人や、手元資金を有効に運用できる人は、繰上返済せずにそのまま借り続けるほうがよい場合も多くあります。ですが、繰上返済は保証料を取り戻す方法の1つであることを知っておきましょう。
仲介手数料が安い物件を選ぶ
住宅ローンの諸費用とは異なりますが、物件購入そのものにかかる諸費用を減らすことも重要です。中古物件の場合には、不動産業者に仲介手数料を支払う必要があり、物件価格400万円以上の場合には、その上限が物件価格の3.0%+6万円(税抜)と決められています。
多くの業者はこの上限の費用を取りますが、なかには仲介手数料が安めに設定されている物件もあります。また中古物件でも業者が売主の場合には仲介手数料はかかりませんので、物件選びの際に考慮してみましょう。
物件を購入した際に支払う諸費用のシミュレーション
それでは、物件を購入した際に支払う諸費用がどれくらいになるか、3,500万円の中古マンションを購入した例を見てみましょう。住宅ローンは、借入金額3,500万円、借入期間35年の保証料前払型の住宅ローンを組んだ場合でシミュレーションしています。
諸費用の種類 | 概算金額 |
仲介手数料 | 122万円 |
事務手数料(融資手数料) | 3万円 |
保証料 | 72万円 |
印紙代 | 4万円 |
登録免許税 | 12万円 |
登記代行手数料 | 10万円 |
不動産取得税 | 15万円 |
固定資産税・都市計画税などの精算金 | 4万円 |
管理費・修繕積立金などの精算金 | 1万円 |
火災保険料(5年分) | 7万円 |
合計 | 250万円 |
この例では諸費用は250万円となり、物件価格3,500万円の約7.14%の金額がかかります。とくに大きな負担になるのは仲介手数料と保証料です。
新築物件や、不動産業者と直接売買する中古物件では仲介手数料はかかりません。また、住宅ローンの保証料は金利上乗せ型を選べば、毎月の返済負担は増えるものの、諸費用としてまとまった支出はなくなります。諸費用の支払いが難しい場合には、これらの費用を減らせる物件を検討してみましょう。
住宅購入時の諸費用の支払いの方法とタイミング
すでに説明したように、住宅購入時の諸費用は基本的に現金で支払う必要があります。そのため、支払いのタイミングで現金を用意しておかなければいけません。また、諸費用のほかに購入申込金(申込証拠金)や手付金の支払いにも現金が必要です。
支払時期 | 主な費用 |
売買契約まで | ・購入申込金(申込証拠金)、手付金 ・仲介手数料 ・印紙税 |
住宅ローン実行時(売買時) | ・事務手数料 ・保証料 ・登録免許税 ・登記代行手数料 ・印紙代 ・各種の清算金 |
物件売買後 | ・不動産所得税 |
売買契約を締結するまでの段階では、購入申込金(申込証拠金)や手付金、印紙代、仲介手数料が必要です。購入申込金は数万円程度が相場で、売買代金に充当されるものであるため、不要とされることもあります。
不動産業者に支払う仲介手数料の支払い方も複数の方法があり、契約までの期間と住宅ローン実行時に分割して支払うこともあります。
不動産取得税は売買後、数か月~1年程度で納税通知書が届き、それに従って納付する必要があります。
諸費用の現金払いが難しい場合の対処法はある?
諸費用は数百万円に上ることもあります。基本的には現金で準備する必要がありますが、支払いが難しい場合には次の2つの方法で借りることもできます。
1:住宅ローンに組み込む
1つ目は、諸費用を住宅ローンに組み込む方法です。頭金を入れずに、物件価格の全額を住宅ローンで購入することをフルローンといいますが、諸費用の準備が難しい場合には、さらに諸費用の金額も上乗せして融資を受ける「オーバーローン」を検討しましょう。
一般的に、住宅ローンの保証料や仲介手数料、登録免許税、登記代行手数料などはオーバーローンの融資対象になりますが、金融機関によってその範囲は異なります。
オーバーローンのメリットは、住宅ローンと同様の低金利で借りられる点です。また、手元資金をより多く残せる利点もあります。
しかし、借入金額が大きくなるぶん、審査基準は厳しくなり、毎月返済額は大きくなります。また、引越費用や家電・家具の購入といった住宅購入に直接関連しない費用には利用できないことを知っておきましょう。
2:諸費用ローンを組む
もう1つの方法は、住宅ローンとは別に「諸費用ローン」を契約する方法です。一般的に諸費用ローンは、オーバーローンでは借りることができない家具や家電の購入費用も含めて借りることができます。
ただし、金利は約2~3%と住宅ローンよりもかなり高くなります。住宅ローンと同様の低金利で借りられるオーバーローンと比較してこの点には大きなデメリットですので、できればオーバーローンを利用するようにしましょう。
また、諸費用ローンは住宅ローンとは別に審査が行われるため、住宅ローンの審査で承認が得られても、諸費用ローンの審査で承認が得られず、住宅購入ができなくなる可能性もあります。さらに諸費用ローンのための手数料も必要となるため、利用する際にはよく検討すべきです。
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住宅ローンの諸費用は多岐にわたり、かつ高額の出費になりますので、初めて住宅ローンを借りる人の中には、その金額が妥当かどうか、節約できるのかどうかについて不安を感じる人が少なくありません。
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まとめ
住宅購入の際には、物件価格以外にも、各種の手数料や登記にかかる費用、税金、保険料などからなる諸費用が必要です。
諸費用は物件価格の5~10%が目安で、数百万円単位の現金が必要になります。頭金や手付金、引越費用・家具・家電の費用などの必要な費用がかかるなかで、諸費用も準備することは簡単ではありません。
諸費用の準備に不安がある場合には、オーバーローンや諸費用ローンを利用する方法もあります。
気になる物件を見つけたら、ハウスメーカーや不動産会社への問い合わせの際に諸費用についても尋ねてみましょう。