1.単独債務にする借り換えとは
単独債務にする借り換えとは、二人で借りているペアローンや連帯債務を、どちらかが単独で借りる形に変更する借り換えのことです。このような借り換えをするケースには、下記のケースがあります。
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就業状況の変化等で同じペアローンや連帯債務として借り換え出来ない場合
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離婚等によりペアローンや連帯債務の関係を解消したい場合
1は借り換えたいが、同じペアローンや連帯債務の状態を維持したままの借り換えが出来ない場合で、どちらかが仕事を辞めた又は転職したばかりで借り入れできない状態などが該当します。
2はそもそも婚姻関係の解消などからペアローンや連帯債務の関係も解消したい場合で、離婚するのでペアローンを解消し家に住み続ける方の単独債務にしたいケースなどが該当します。
これらの場合、現在住宅ローンを利用している金融機関へ相談し、単独債務へ変更してもらうのが一番楽ですが、金融機関によっては、対応してもらえない場合があります。その場合は借り換えと同時に債務者を変更するしかありません。
ペアローンや連帯債務は、そもそも二人の収入を前提として金融機関から住宅ローンを借りているため、単独債務にするのは容易ではありません。
金融機関側からすると返済の宛てとなっていた収入源が減ることになるため、将来デフォルト(貸し倒れ)する確率が増えると考えるからです。また、ペアローンや連帯債務では物件の持分割合が分かれており、単独債務にするにあたり、不動産の持ち分も債務を引き継ぐ方に100%移転させる必要があります。その場合は、贈与税の点も確認する必要があります。
以上の理由により、単独債務にする借り換えは、検討する事項が多く、非常に難易度の高い借り換えとなり、対応できる金融機関も限定されます。
本稿では、単独債務にする借り換えについて、その仕組みやメリット・デメリットを事例も交え解説します。
2.単独債務にする借り換えのスキーム図
ペアローンから単独債務にする借り換えの仕組みは下記の通りです。
単独で債務を負担する人が、新しい金融機関で0.6%の金利の住宅ローンを借りて、今の金融機関でペアローンで借りている1.4%の金利のローンを全額繰上返済します。この際に同時に不動産の所有権持分の移転も行います。ペアローンを解消して債務がなくなる人から、新たに単独で借りる人への移転です。
借り換えにかかる各種諸費用は新しく借り入れる0.6%の金利のローンに含めて借りるため、借り換え時にキャッシュアウトはありません(借りられるローンの金額が10万円単位のため、10万円未満のキャッシュが必要になる場合があります)。
諸費用分、新たに借り入れるローンの元本は増えますが、金利が大きく下がるので毎月返済額は借り換え前より少なくなります。この毎月返済額の減少に残りの返済期間の月数を掛けたものが借り換えによるメリットとなります。
3.単独債務にする借り換えのメリット・デメリット
単独債務にする借り換えのメリット及びデメリットは下記の通りです。
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メリット |
1.単独債務になる これまでのペアローンや連帯債務が単独債務になり、ローンを引き継がなかった人は住宅ローンがなくなります。
2.金利が下がる 借り換えで金利を0.4%〜0.5%台に下げることが可能です。
3.団信が充実する 0.1%〜0.3%の金利上乗せで多様な疾病団信を利用できます。 |
デメリット |
1.持分移転をし、贈与税がかかるおそれがある ローンが無くなった人からローンを引き継ぐ人へ持分移転をする必要があります。
2.諸費用がかかる 通常の借り換えに必要な費用に加え、 離婚協議書作成の費用が発生します。 主な諸費用の内訳は下記の通りです。
・事務手数料(保証料):借入額の2%程度 ・登録免許税 :借入額の0.4% ・印紙税 :2〜6万円程度 ・司法書士費用 :10万円程 ・弁護士費用 :10万円程
3.手間がかかる 借り換えるにはローンの申し込みから各種必要書類の提出、 口座開設、決済手続きなど色々手間がかかります。 単独債務にする借り換えでは、通常の借り換えの際に 必要になる書類に加え、離婚協議書や贈与税に関する確認が必要になります。 主な必要書類の内訳は下記の通りです。 ・源泉徴収票 ・住民票 ・課税証明 ・確定申告書 ・運転免許証 ・過去1年間の通帳コピー ・離婚協議書 ・贈与税に関する確認 |
4.事例
実際にモゲチェックでペアローンから単独債務にする借り換えに成功したDさんの事例です。
借り換え前 |
借り換え後 |
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金融機関 |
都市銀行 |
流通系銀行 |
借入額 |
24百万円 |
25.4百万円 |
金利タイプ |
変動 |
変動 |
金利 |
1.475% |
0.47% |
返済期間 |
21.7年 |
21年 |
団信 |
一般団信 |
一般団信 |
総返済額 |
28百万円 |
26.7百万円 |
借り換えメリット |
1.3百万円 |
|
毎月返済額 |
10.8万円 |
10.6万円 |
毎月返済額の削減額 |
2千円 |
Dさんは、夫婦でペアローンとして残高1,200万円ずつ合計2,400万円を金利1.475%で借りていましたが、離婚に伴いローンを単独債務化することになりました。
元々借りていたA銀行にも相談しましたが対応が難しいと言われたため、流通系銀行が提供する金利0.47%の単独債務のローンへ借り換えました。
借り換えの諸費用が約140万円かかったため、借入額は2,540万円と増えましたが、金利が大きく下がったために単独債務化と共にローンの総返済額を130万円削減でき、毎月の返済額も10.8万円から10.6万円に2千円下がりました。
(2022年3月現在、モゲチェックではこのような離婚に伴うお借り換え相談の受付を停止しております。本事例は離婚に伴うお借り換えが成功した例としてご覧ください)
5.まとめ
いかがでしたか?下記事由が単独債務への借り換えの主な理由です。
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借り換えたいが現在のペアローンや連帯債務のままでは借り換えできない
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離婚等でペアローンや連帯債務を解消したいが、金融機関が対応してくれない
単独債務への借り換えは、対応できる金融機関が限られていることから難易度の高い借り換えとなります。
ご自身で金融機関へのご相談や対応銀行探しが難しい場合は、モゲチェックをご利用ください。
簡単なプロフィールを入力するだけでご希望に添った住宅ローンをご提案します。
[ モゲチェックで実際に借り換えされたユーザーの声のご紹介! ]
◇ペアローンを単独債務に変更してお借り換えされたお客様:40代前半・男性
「ペアローンを単独にしたかったので、当初借り入れしている銀行に相談したが、できないと言われた。困っていたところモゲチェックを見つけて相談したら、借り換えと同時に債務者を変更する方法を提示してくれ、もともとやりたかった一人でのローンにもでき、全体の債務の金額も下がった。お願いしてよかった」
◇ペアローンを単独債務に変更してお借り換えされたお客様:40代前半・女性
「手続きなどご丁寧に教えていただき感謝しています。誠にありがとうございました。」
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住宅ローン審査、ここがポイント!
通らない理由や対策を解説
住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)→本審査の流れで進みます。仮審査と本審査は目的が異なり、仮審査は「その人に融資が可能かどうか」、そして物件の売買契約後に行う本審査では「本当に融資をしていいか」の観点での審査になります。
仮審査では審査の受付基準に合致しているかどうかや本人の返済能力、個人信用情報などが比較的簡易にチェックされます。本審査ではたくさんの書類のチェックや物件の担保価値の精査など、多岐にわたる項目を仮審査よりも厳密に審査されます。
本審査も通過したら金融機関とローン契約し、住宅の決済を行うことになります。
| 審査にかかる期間
仮審査は即日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度を要します。住宅購入時はなにかと慌ただしくなるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
| 仮審査のポイント
仮審査では大きく3つ、「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」がチェックされます。細かく見ていきましょう。
・「本人の属性情報」
申込時の年齢や完済時の年齢、年収や雇用形態、勤続年数など、金融機関が個別に定めている受付基準に合致しているかが審査されます。「正規雇用であること」「勤続1年以上であること」「年収は300万円以上」など細かな条件が金融機関ごとに定められており、それらに合致している必要があります。具体的な基準は非公表のケースが多いものの、「◯◯銀行 商品概要」と検索するとある程度は銀行公式サイトで確認できます。
・「返済能力」
収入に対して借り入れ額が過大でないかが審査されます。代表的な指標として年収に占める年間返済額の割合である「返済比率」があります。住宅ローンの年間返済額の計算には実際の金利ではなく、審査上のみ使われる「審査金利」が使われます。金融機関によって異なるものの、概ね3%前後という高めの審査金利でストレスをかけて計算されます。また、年間返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどの借り入れの返済も考慮されます。
返済比率の上限は多くの金融機関が非公表ですが、目安は30%〜35%です。フラット35の場合は年収400万円未満なら30%、400万円以上なら35%と公表されています。
・「個人信用情報」
個人信用情報とはクレジットカードの支払いなどの履歴情報です。過去に延滞などのネガティブな履歴があると、住宅ローン審査にはマイナスに作用します。
| 本審査のポイント
本審査では様々な資料の提出のうえ、「仮審査の申告内容との相違がないか」「担保評価」が主に審査されます。
・「仮審査の申告内容との相違がないか」
仮審査で申告した年収と源泉徴収票の金額が違っていないか、借り入れがある場合はその内容が仮審査の申告内容と違っていないかなど、仮審査で金融機関に申告した内容との整合性がチェックされます。
・「担保評価」
住宅ローンで物件を購入すると、通常は金融機関によって「抵当権」が設定されます。抵当権とはいわば担保のことであり、申込人が住宅ローンの返済ができなくなったとき、その物件を売却して融資金の回収に充てるためです。そのため、購入しようとする物件の価値が借り入れ額に対して著しく低くないかをチェックされます。また物件そのもののスペック、例えば耐震基準や適法物件かどうかなども、金融機関の定める基準と照らし合わせられています。
| よくある本審査落ちのパターンやNG行為
・仮審査の申告内容と異なる点があった
仮審査と本審査で申告内容に相違があると落ちる確率が高まります。例えば仮審査で申告した年収と提出した源泉徴収票の年収が違えば、返済能力の計算が狂うことになります。
・別の借り入れを行う
住宅ローンの審査中に別の借り入れを行うと返済比率に悪影響が出ます。ローンという名称ではありませんがクレジットカードのリボ払いも借り入れと同じ扱いです。気軽な買い物が原因で住宅ローン審査に落ちる可能性もあるため注意が必要です。また、審査期間中はローンの延滞にも普段以上に注意しましょう。
・転職や退職
審査中に転職すると通過は難しくなります。金融機関は現在の勤務先で長く働き続けることを前提に住宅ローンの返済能力を見繕っているため、その前提が崩れるのです。さらに勤続年数の基準を満たせなくなる可能性が高くなります。
・健康上の問題で団信に加入できない
『団体信用生命保険(団信)』へ加入できず、住宅ローンを利用できないケースもあります。団信とは契約者が死亡したり高度障害に陥ったりした際、ローン残高を肩代わりしてくれる保険です。
生命保険のため、加入するためには過去3年ほどの病歴や治療歴などを告知しなければなりません。そのため健康状態によっては、団信の審査に通過できない場合があります。一般的な住宅ローンは団信への加入が必須とされているため、加入できなければ契約できません。
| 審査に通りやすくなるコツ・対策
・頭金(自己資金)を多めに入れて借入金額を下げる
自己資金を多めに確保して借入金額を引き下げることで審査に通りやすくなります。多くの自己資金を貯蓄できる人と言えるため、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
借り入れ額が少なくて済むため返済負担も軽減され、返済比率を引き下げることもできます。金融機関によっては自己資金の割合に応じて優遇金利を適用してもらえる点もメリットです。
・借り入れがある場合はなるべく返済しておく
自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、なるべく繰り上げ返済をして残高を減らしておくことも大切です。返済比率を引き下げる要因になるため、審査に通りやすくなります。
・ペアローンや連帯債務、収入合算を検討する
配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算により審査を通りやすくすることができます。例えば年収が夫500万円・妻500万円の夫婦が5,000万円の住宅ローンを組む場合、夫1名の債務者だけでは年収倍率(年収に対する借り入れ額)は10倍と非常に高いですが、ペアローンや連帯債務で夫婦2名とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的には、年収倍率は高くても7倍以内であれば審査に通りやすくなります。
収入合算とは夫婦の片方が債務者、もう片方は連帯保証人となる方法です。こちらも連帯保証人分の年収を一定程度加味した審査を受けられるので、単独で組むよりは有利です。
| 本審査は複数の金融機関へ申し込もう
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関で並行することが可能です。万が一審査に落ちたり減額承認されたりしたときに備え、複数の金融機関へ申し込んでおくとよいでしょう。複数の金融機関で本審査承認を得られたら、最も希望に近い条件のプランで契約に進めばOKです。
審査通過後であっても契約に進んでいなければキャンセルできるため、契約を決めたローン以外はキャンセルしましょう。その後は金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけです。
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