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米大統領選を経て、住宅ローン金利はどうなった?〜日米金利比較〜

  • 最終更新日: 2024年11月27日

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モゲチェック
米大統領選を経て、住宅ローン金利はどうなった?〜日米金利比較〜のアイキャッチ

2020年11月に米大統領選挙が行われ、2021年1月20日(現地時間)にバイデン氏の大統領就任式が行われました。この間に米国金利は上昇基調となりましたが、日本の市場金利・住宅ローン金利にはどのような影響があったのでしょうか。

本稿では米大統領選挙をめぐる日米金利の動向と、国内金利・住宅ローン金利の状況について解説します。

 

 

目次
  • 1.事前予想
  • 2.大統領選挙前後の日米金利の推移
  • 3.なぜ日本の金利は上がらないのか
    •  
    • (1)日銀のイールドカーブ・コントロール
    • (2)2%のインフレは達成されるのか?
    • (3)大統領選後、住宅ローン金利はどうなった?
  • 4.まとめ

1.事前予想

 

モゲチェックでは2020年11月3日の米大統領選実施直後に、[【緊急レポート】米大統領選!住宅ローン金利はどうなる?]として、米大統領後における日米金利の動向を予想しました。

 

 その概要は

 

 ・バイデン・トランプ両候補のどちらの候補が勝利しても、米金利は上昇含みの展開となる

・日本の金利は日銀による金融政策によって低位安定しており、住宅ローン金利への影響は限定的

 

と、新政権への政策期待から米国金利が上昇基調になるのとは対称的に、国内金利にはほぼ影響が出ないと予想していました。

 

 

2.大統領選挙前後の日米金利の推移

 

金利の比較の前に、まずは株価の動向を見てみましょう。

金融市場は世界的に連動しており、株価も米国で上昇基調なら日本でも上昇基調と、概ね似たような動きとなります。

日米の代表的な株価指数である、日経平均株価とNYダウ平均株価の推移を示したものが図1です。

 

図1:日経平均株価とNYダウ平均株価の推移

日経平均株価とNYダウの推移(202101)

2020/1/6以降の日経平均株価、NYダウ平均株価の終値の推移。日本経済新聞よりMFS作成



 

このように、日米の株価は連動して上昇・下落していることがわかります。

しかしながら、金利は少し様子が違います。

同じ期間で日本の10年国債利回り(以下、日本10年金利)と米国の10年国債利回り(以下、米国10年金利)を比較したものが図2です。



図2:日米10年金利の推移

日米10年金利の推移

2020/1/6以降の日本10年金利。財務省および米国財務省HPよりMFS作成

 

 

このように、米国10年金利は2020年初の新型コロナウイルス感染拡大期に低下し、大統領選前後から徐々に上昇するなど上下する動きが見られますが、日本10年金利は0%を中心に方向感なく横ばいの動きとなっています。

米金利は時流に応じて上下していますが、日本の金利はほとんど不変となっているのです。

 

また、図2は日米の10年金利の推移ですが、米大統領選挙前後における日本・米国のイールドカーブの推移を示したものが図3、図4です。

イールドカーブとは金利の期間構造のことで、横軸を金利の期間、縦軸に金利水準をとり、通常右肩上がりのグラフとなります。

 

2020/10/1:米大統領選の1ヶ月前

2020/11/2:米大統領選の直前

2021/1/20:直近

 

図3:米大統領選挙前後における米国のイールドカーブ

米国のイールドカーブ

米国財務省HPよりMFS作成



図4:米大統領選挙前後における日本のイールドカーブ

日本のイールドカーブ

財務省HPよりMFS作成

 

10年以外の年限の金利を含めて見ても、図3、図4に表れているように米国の金利水準は大統領選後に上方シフトしているものの、日本の金利水準はほとんど変化がありません。

このように、株価と異なって金利に関しては日米の連動性がなく、米大統領選後に新政権への政策期待から金利上昇した米国に対して、やはり日本の金利はどの年限でも一定の水準を保ったままとなりました。



3.なぜ日本の金利は上がらないのか

 

(1)日銀のイールドカーブ・コントロール

 

なぜ日本の金利はこれほどまで方向感なく、動かないのでしょうか。

その最大の理由は、日本の中央銀行である日本銀行(以下、日銀)が行っている、イールドカーブ・コントロールという金融緩和政策にあります。

イールドカーブ・コントロールとは、端的には日銀当座預金に対しマイナス金利(-0.1%)を設定するとともに、10年金利を0%付近に留めるというものです。

この政策によって、短期の金利から長期の金利まで低位安定させているのです。

 

このイールドカーブ・コントロールという金融緩和は、低金利によって国内景気を下支えすることで、2%のインフレ(物価の上昇)を安定的に達成することが目的となっています。

つまり、今後の金利動向を占ううえでは、金融緩和の目的であるインフレの動向をチェックする必要があります。

 

<金融緩和政策の目的と経緯>

目的:2%のインフレを達成する

経緯:

2016年1月〜 日銀当座預金に対しマイナス金利(▲0.1%)を導入

2016年9月〜 大規模な国債買入により10年国債金利(以下、10年金利)を0%付近に留める

2020年3月〜 新型コロナウイルス感染拡大への対策から、国債買入等を強化

 

(2)2%のインフレは達成されるのか?

 

目的となっている2%インフレが達成されるまで、イールドカーブ・コントロールのような金融緩和政策が続くとしたら、次にチェックすべきはインフレ率の動向です。

インフレ率を示す代表的な指標である、消費者物価指数(総合)のグラフを示したものが図5です。

 

図5:消費者物価指数の推移

消費者物価指数(総合)

総務省統計局よりMFS作成

 

 

消費者物価指数(総合)は一時2%に迫ったものの伸び悩み、コロナ禍の影響もあって足元では-1%程度になっています。

このグラフからも分かるとおり、2%のインフレを達成するハードルが非常に高いと考えられます。

消費者物価指数が伸び悩む状況が続く限り、日銀は金融緩和をやめる、縮小するという選択肢を持つことができないため、強力な金融緩和が続くものとみられます。



(3)大統領選後、住宅ローン金利はどうなった?

 

こうした低金利環境のもと、住宅ローン金利はどう推移しているのでしょうか。

モゲチェックでは各銀行の住宅ローン金利を分析していますが、現在2021年1月時点では上述の市場金利の動きと同様、住宅ローン金利も明確な方向感なく推移しています。

 

日銀がイールドカーブ・コントロールによって市場金利を抑え込む中、住宅ローン金利も低位安定する展開が続くと予想します。



図6:住宅ローン金利インデックス(2021年1月)

 

参照

今月の住宅ローン金利分析(2021年1月)



4.まとめ

 

✔米大統領選前後、米国金利は上昇したが、日本の金利への影響は限定的

✔日銀の金融緩和政策によって日本の金利は低く抑え込まれている

✔金融緩和の目的であるインフレ目標も達成が遠い

✔住宅ローン金利は低位安定が続く






[あわせて読みたい]

 

日銀が金融緩和の維持を決定!住宅ローン金利はどうなる?【2021年1月アップデート】 

住宅ローン金利は予測可能?

住宅ローンの金利タイプと金利決定方法

 

 

 

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変動金利・固定金利の違いとは?

特徴やメリット・デメリットを解説

| 変動金利とは?

住宅ローンの基本的な金利タイプで、年2回(4/1と10/1)見直しされることから変動金利と呼ばれています。

金利の急変動で利用者が困らないよう、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や月々の返済が25%以上増えないようにする「125%ルール」を設定している金融機関も多く存在します。固定金利に変更するオプションが付帯しており、金利上昇時には固定金利に切り替えることも可能です。

 

| 変動金利のメリット・デメリット

メリット:銀行間の低金利競争が激しく金利水準が低いため、月々の返済額を抑えることができます。

デメリット:将来金利が上がり、月々の返済額が増えるリスクがあります。対策として、金利が低いうちにしっかり貯蓄をして万が一の金利上昇に備えると良いでしょう。

 

| 5年ルール・125%ルールとは?

5年ルールとは、変動金利が上がっても月々の返済額を5年間一定とするルールです。5年ルール有りの場合、最初の5年間は変わらず、6年目から返済額が増えることになります。5年ルール無しの場合、翌月や翌々月から返済額が増えます。

金利が上がっても返済はすぐには増えず、5年間は変わらないというメリットがある一方、6年目になるまでは本来より低額での返済となり、完済時に未払利息が発生する可能性がある点がデメリットとなります。

 

125%ルールとは、5年ルールを適用している金融機関で返済額が増える際、今までの返済額の1.25倍を上限とするルールです。例えば従来の月々の返済が10万円の場合、返済がどれだけ増えても12.5万円が上限となります。

返済額が増えても上限値があるのがメリットとなる一方、5年ルール同様に本来よりも安く返済が進むため、予定通りに残高が減らず完済時に高額返済が必要となる可能性がある点がデメリットです。

 

変動金利の推移・相場は?

変動金利はバブル崩壊以降、ほぼ一貫して低下傾向を続けてきました。しかし2024年になって日銀のゼロ金利解除により、変動金利が遂に引き上げられることとなりました。いよいよ「金利のある世界」に突入したことになります。しかしながら、依然としてネット銀行を先頭に、変動金利が顧客獲得競争の主戦場という状況は続いています。

2024年12月時点では、auじぶん銀行住信SBIネット銀行PayPay銀行といった主要ネット銀行は0.4%台、みずほ銀行やりそな銀行といった都市銀行は戦略的に低金利で対抗し0.3%台が多く、地方銀行では0.3%〜0.6%台が相場です。

 

| 固定金利とは?

文字通り金利が変わらないのが固定金利です。フラット35のような全期間固定金利のほか、5年、10年など一定期間の金利を固定する固定期間選択型もあります。

 

| 固定金利のメリット・デメリット

メリット:返済額が変わらない安心感があります。変動金利より金利水準は高いものの、一定期間または全期間の返済額が変わらないため、長期の返済計画や生活設計を立てやすいことが特徴です。

デメリット:金利水準が高く、返済額が多くなります。返済中に大規模な金利上昇が起こらない限り、変動金利を使った場合に比べて固定金利を使う方が多額の返済となるでしょう。また固定期間選択型の場合、6年目や11年目など固定期間が終了するタイミングで、当初固定期間よりも高い金利に切り替わることが多いこともデメリットです。

 

| どんな人が変動金利・固定金利に向いている?

少しでも返済額を抑えたい方やコストパフォーマンスを重視する方には変動金利がオススメです。日本銀行の金融緩和政策や住宅ローン業界の競争激化を踏まえ、モゲチェックでは変動金利は今後も低金利が続くと予想しています。

一方、固定金利は金利や返済額が変化するリスクをなくしたい方に向いています。例えば最初の10年間が子どもの教育費がかさむ時期と重なるなど、住宅ローンの返済額が増えることをどうしても避けたい方には10年固定金利がオススメです。

 

| 変動金利・固定金利の利用割合

変動金利を選ぶ人の割合が年々増え続け、全体のおよそ7割とほとんどの住宅ローン利用者が変動金利を選んでいます。また、固定期間選択型は2割、全期間固定型は1割であり、年々減少しています。

(出所:独立行政法人住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」より)

 

| モゲチェックのオススメは?

モゲチェックでは低金利政策が長期化する可能性が高いとの見通しや、住宅ローン業界で顧客獲得競争が激しくなっていることから、変動金利では安定した低金利が続くと予想しています。

迷った方はまず変動金利から検討することをオススメします。最新情報は住宅ローンランキングでチェック!

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WRITER

著者: 堀江 勇介

モゲチェック運営会社 株式会社MFS

チーフアナリスト

銀行にて有価証券運用業務に従事。2019年にMFS入社。金融市場に関する深い知見を武器に、チーフアナリストとして活躍。金利の将来予想など、住宅ローンに関する様々な情報を発信。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。

SUPERVISOR
supervisor

中山田 明

株式会社MFS代表取締役CEO

プロフィール

外資系投資銀行で日本初の住宅ローン証券化を手掛け、その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事してきた、日本における住宅ローンファイナンスのプロフェッショナル。フラット35を取り扱うSBIモーゲージ(現:SBIアルヒ株式会社)ではCFOを歴任。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくMFSを創業。「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」世界の実現を目指す。

趣味は登山で、テントを背負って槍ヶ岳や剱岳、海外ではキリマンジャロやキナバル山に登頂。

経歴

  • 1991年3月 東京大学経済学部学部 卒業
  • 1991年4月〜 三井物産株式会社 入社
  • 1993年7月〜 モルガン・スタンレー、ベア・スターンズなど外資系投資銀行を歴任
  • 2000年8月〜 株式会社新生銀行(現:SBI新生銀行)キャピタルマーケッツ部部長
  • 2011年8月〜 SBIモーゲージ株式会社(現:SBIアルヒ株式会社)CFO
  • 2014年10月〜株式会社MFS創業

主な保有資格

貸金業務取扱主任者

登壇実績

  • 2021年9月 金融DXサミット(日本経済新聞主催)等 登壇実績多数
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