3000万円の住宅ローンの返済がきついと感じる理由
3000万円の住宅ローンを借入期間35年で組むと、毎月返済額は8万~10万円前後になります。借入時には支払えると考えていても、収入の減少や支出の増加により、返済がきついと感じることがあるでしょう。このうち支出については主に次のような原因があります。
・ライフステージの変化に伴う教育費用・介護費用の増加
・マンションの管理費・修繕積立金・駐車場費用、戸建住宅の修繕費の考慮不足
・変動金利の金利上昇による返済額の増加
これらは資金計画の段階で注意すれば予防することができます。一方で、収入については次に説明するように複数の原因があり、こちらにも対策が必要です。
収入が減少する原因
収入が減少する主な原因には次の4つがあります。これらは予測が難しく、かつ収入の維持が困難になりやすいことから、できる限り事前に対策を行い、返済を続けられるかどうかをシミュレーションしておきましょう。
給与・賞与の減少や失職
1つ目の要因は、給与・賞与の減少や失職です。勤務先の業績が悪化すると、まずは賞与が減少したり、昇給が削減されたりします。さらに業績が悪化した場合には、給与が減額されることもあります。最悪の事態としては、倒産やリストラにあって職を失う可能性もあるでしょう。
とくに自営業者や非正規雇用者にとっては大きなリスクです。個人の努力だけではこのような収入の変動を防ぐことは難しいのが実情です。もちろん正社員にも同様のリスクがあり、また定年後の再雇用では収入が減ることも念頭においておかなければいけません。
そこで住宅ローンを借りる際には、借入可能額いっぱいまで借りるのではなく、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。また、収入のうち最も変動しやすいのが賞与であることから、賞与を当てにしたボーナス払いは避けて、月々の給与のなかで返済することを強く意識しておく必要があるでしょう。
住宅ローンを借りたあとにできる対策としては、緊急時のために数か月~1年分以上の生活費を貯蓄しておくことや、夫婦で共働きをすることで、1人の収入に依存しすぎないことがあります。
病気・ケガや子育て、介護による休職・退職
病気・ケガによる影響や、出産・育児、家族の介護といったライフイベントが収入に影響を及ぼすこともあります。とくに、重大疾患や精神疾患、不慮の事故などによって休職・退職せざるを得なくなった場合には、家計に深刻な影響を及ぼしかねません。
出産・育児は行政からの各種の給付も手厚くなってきたものの、働き続ける場合でも時短勤務や子の体調不良による早退・遅刻といった要因があることから、それ以前と同じ収入を得られるとは限りません。介護による時短勤務や離職・転職も同様で、仕事と両立することはかなりの負担になります。
原因 |
影響 |
病気・ケガ |
一時的な収入減少の可能性のほか、長期の休職や退職により長期的に収入が減る可能性がある |
出産・育児 |
育児休業や時短勤務などによって収入が減る |
介護 |
時短勤務や離職・転職によって収入が減る |
病気・ケガのリスクに備えるためには、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)や各種の民間保険が有用です。なお、このような要因が生じたときには、支出も増えることがあることにも留意しましょう。
転職
転職はキャリアアップによる収入増加の機会がある一方で、思ったような職を得られずに、収入が減少するリスクもあります。とくに、出産・育児や介護といったライフイベントに伴う転職や、高年齢での転職の場合には、働ける時間や内容の制約が大きいことから、収入が減る転職になる可能性が高いといえます。具体的には、基本給や賞与、退職金に影響が及びます。
収入の種類 |
影響 |
基本給 |
キャリアアップによる転職では増加する場合もあるが、ライフイベントによる転職では減少する場合も多い |
賞与 |
勤続年数や評価が金額に影響することが多いため、減少する可能性がある |
退職金 |
勤続年数が基準になることから、減少する可能性がある |
賞与は企業によって支給要件がまちまちですが、勤続年数や労働時間、勤務の評価が金額に影響する要因であることから、転職によって減少する可能性があります。退職金は勤続年数が基準になっている企業がほとんどであるため、将来的には退職金が少ない場合もあり、退職後の住宅ローン返済を見越したライフプランを立てておく必要があります。
共働きから片働きへの変化
昨今は不動産価格が高騰していることもあり、共働きでの世帯収入を背景に、夫婦で住宅ローンを組む家庭も少なくありません。しかし、出産・育児や介護といったライフイベントが生じた場合に、一方が働き続けることが困難になり、退職せざるを得ないケースがあります。また、病気やケガによる休職・退職も共働きから片働きへ移行する原因になるほか、一方が遠方に転勤することになり、それが離職の要因になることもあります。
借入限度額のいっぱいまで借りて返済していく計画を立てている場合には、世帯収入が大幅に減少すると家計が立ち行かなくなるリスクが非常に高くなってしまいます。そのため、片働きでも返済できる範囲で予算を立てたり、生活費の見直しを進めて貯蓄を作ったりしておく必要があります。
なお、離婚したときにも同様の状況に陥ることがありますが、離婚しても住宅ローンの返済は2人で続けていく必要があります。そのため離婚したときには、自宅の売却によって住宅ローンを完済することも考慮しましょう。
3000万円の住宅ローンの返済がきついと感じる場合の対策
3000万円の住宅ローンの返済は多くの人にとっては大きな金額です。返済がきついと感じたときには次のような対応を検討しましょう。
金融機関と返済条件の見直しを行う
返済が難しいと感じたときには、延滞する前に借入先の金融機関に相談しましょう。特に一時的な理由の場合には、個別の状況に合わせて、元金の返済の猶予や返済期間の変更などの条件変更が可能な場合があります。
自宅を売却する必要がないことがこの方法のメリットですが、返済条件を変更するための費用や、支払う金利が増えるというデメリットがあります。延滞してしまうとこのような交渉が難しい場合が多いことから、延滞する前に相談することが大切です。
住宅ローンを借り換える
住宅ローンの金利が高かったり、返済期間が短かったりすると毎月返済額は大きくなります。近年は金利の低い変動金利の商品や、最長50年で借りられる商品がありますので、借り換えによって負担が軽減できる可能性があります。
ただし、借り換えには住宅ローンの審査に通る必要があるため、審査に通る年収や雇用形態、健康状態である必要があります。また、借り換えには費用がかかるため、メリットがあるかどうかを慎重に判断するようにしましょう。
住宅を売却する
上記の対応では困難な場合には、住宅ローンを延滞する前に自宅の任意売却を行い、その資金で住宅ローンを完済する方法も検討しましょう。
昨今は都市部を中心に不動産価格が上がっていることから、住宅ローンの残債を超える金額で売却できる可能性があります。ただし、売却に伴って自宅からは退去し、住み替える必要があるというデメリットがあります。
失敗しない住宅ローンの組み方
住宅ローンは一度組んでしまうと、条件を変更するのは簡単ではありません。長期・高額の借入で失敗しないように、次の3つを必ずおさえておきましょう。
余裕をもって予算を設定する
住宅ローンを組むときのよくある失敗は、ギリギリの返済計画を立ててしまうことです。ライフイベントが進むなかでは、教育費用や介護費用、老後資金といった資金が必要になったり、収入減少・支出増加といった状況に直面することもあります。また、自宅の修繕費や家具・家電の買い替えなどの費用もかかります。
一般的には返済額を額面年収の20%前後に抑えると、余裕をもった返済ができると言われますので、参考にしてみましょう。
できるだけ長期で借り入れる
住宅ローンの借入期間は短いほうが支払う利息の総額が少なくなりますが、元本をそれだけ早く返す必要があるため、毎月返済額が大きくなります。あとから返済期間の延ばすことは簡単ではない一方で、繰上返済はいつでもできるため、住宅ローンはできるだけ長期で借り入れるのが基本です。可能であれば35年もしくはより長い期間で住宅ローンを組み、毎月返済額に余裕をもたせるようにしましょう。
金融機関を比較して低金利の住宅ローンを選ぶ
住宅ローンの金利や団信の内容は、金融機関によって大きく異なります。3000万円を35年間で借り入れた場合には、たった0.1%の金利差でも総返済額に約50万円の差が生じます。そのため、複数の金融機関を比較して、できるだけ金利が低い住宅ローンを選ぶことが重要なのです。
最近は金利上昇のリスクがあるものの、固定金利よりも変動金利のほうが金利が安いことから、変動金利を選ぶ人が多くを占めています。
3000万円の住宅ローンを組める年収はいくら?
住宅ローンの審査において年収は重要な要素で、審査の際には返済負担率(返済比率)が重視されます。簡易的には年収に対する借入額の倍率(年収倍率)でどれくらいの借入が可能かを判断することができます。
年収倍率から見た場合
年収倍率は、「借入額 ÷ 額面年収」で計算することができます。35年ローンを組むときは一般的に、審査で承認を得られる年収倍率は7~8倍で、それを超えてくると融資可能な金融機関が減っていきます。また、年収倍率が5~6倍程度がゆとりをもって返済できる目安と言われます。
3000万円の住宅ローンを組む場合に、年収倍率が5~8倍になる年収は次の表の通りです。
年収倍率 |
年収 |
5倍 |
600万円 |
6倍 |
500万円 |
7倍 |
430万円 |
8倍 |
375万円 |
したがって3000万円の住宅ローンを組むためには、年収400万円程度は必要になります。ゆとりをもって返済するには、年収500万円以上が必要だと考えておくべきでしょう。
住宅費としては、住宅ローンの返済の他にもさまざまなものがあり、マンションであれば管理費や修繕積立金、駐車場費用などがかかります。また、戸建住宅であれば、建物の修繕費用を計画的に準備しなければいけません。その他にも、固定資産税・都市計画税や各種の設備の更新費用などがかかります。
住宅費の他にも、生活費や遊興費、教育費、介護費、自身の老後資金などを計画的に準備する必要があります。これらの支出は人によって程度が異なることから一概には言えませんが、年収400万円前後だと家計がかなり厳しくなる可能性があります。3000万円の住宅ローンを無理なく返済するには、500万円以上の年収があることが望ましいでしょう。
返済負担率・返済比率から見た場合
先に説明した年収倍率による方法は35年ローンを組むときの簡易的な判断方法であり、借入期間が35年よりも短い場合には同じ考え方は適用することができません。金融機関の審査では、ここで説明する返済負担率(返済比率)が用いられます。返済負担率とは年収に占めるローン返済額の割合で、「年間返済額 ÷ 年収 × 100」で求めることができます。
住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の「フラット35」の融資基準には返済負担率の上限が明確に示されていて、年収400万円未満の場合には30%以下、年収400万円以上の場合には35%以下であれば融資可能です。民間金融機関では返済負担率の基準は明示されていませんが、35~40%程度が上限であると言われています。なお、変動金利を選んだ場合には、金利上昇の影響を織り込むために、3.0~3.5%程度の審査金利で返済負担率を判定することになります。
フラット35を利用して、借入金額3000万円・借入期間35年・金利2.0%の場合には、年間返済額は119.2万円になります。年収300万~600万円の人がこのローンを借りたときの返済負担率をみてみましょう。
年収 |
返済負担率 |
600万円 |
19.9% |
500万円 |
23.8% |
400万円 |
29.8% |
300万円 |
39.7% |
年収400万円以上であれば返済負担率の基準は超えますが、年収300万円だと審査で承認を得るのは難しくなります。なお、ゆとりをもった返済をするための基準としては、返済負担率20~25%を目安とすることが推奨されます。返済負担率からも、3000万円の住宅ローンをゆとりを持って返済するには、年収500万円以上が必要だと言えるでしょう。
住宅ローンの金利タイプ
住宅ローンの金利タイプには、全期間固定金利型、変動金利型、固定期間選択型の主に3つがあります。それぞれ特徴が異なるため、比較して自分に合ったものを選びましょう。
全期間固定金利型
全期間固定金利型は、完済するまで金利が変わらない金利タイプです。完済までの返済額が一定になることから、長期的な返済計画が立てやすいという特徴があります。
借り手が将来の金利上昇のリスクを負う必要がない金利タイプであり、金利上昇リスクは金融機関が負うことになります。ただし、そのぶん適用金利は高めに設定されているため、大きな金利上昇が長く続くことがなければ、総返済額は変動金利型よりも多くなってしまいます。
固定金利型の特徴 |
具体例 |
メリット |
・完済までの返済額が確定するため、資金計画が立てやすい ・大きな金利上昇が長く続いた場合にはお得 |
デメリット |
・金利が高く、総返済額は変動金利型よりも高くなりやすい ・市場金利が下がっても恩恵は得られない |
将来に金利が大きく上がり、それが長く続くと考える人や、一時的であっても金利上昇による返済額の増加への対応が難しい人にとっては、全期間固定金利型がおすすめです。
変動金利型
変動金利型は、市場金利の動向に応じて、通常半年ごとに金利が見直される金利タイプです。完済までの間に金利が上昇し、毎月返済額が増えるリスクがありますが、金利変動のリスクを借り手が負うことになるぶん、適用金利が低いのが特徴です。大きな金利上昇が長く続くことがなければ、総返済額は固定金利型よりも少なくなります。
変動金利型の特徴 |
具体例 |
メリット |
・金利が低く、大きな金利上昇が長く続いた場合を除けば総返済額が少なくなる ・市場金利が下がると適用金利が下がり、毎月返済額が減る |
デメリット |
・市場金利が上がると適用金利が上がり、毎月返済額が増える ・将来の毎月返済額はそのときの金利次第になる |
ほとんどの変動金利型の住宅ローンは、日銀の政策金利の影響を直接的に受ける短期プライムレートに連動しているため、金利が変動する時期や金利の変動幅は、政策金利の動向に追従します。金利が上がっても返済可能な見通しがある人にはおすすめです。
固定期間選択型
固定期間選択型は、返済当初の3~20年といった一定期間は固定金利で、その後は変動金利または再度その時点での固定金利が選べる金利タイプです。金利上昇の影響は元本の大きさに比例するため、元本が大きい返済当初を固定金利とし、その後は金利の変動を許容する方式ともいえます。固定期間選択型は、全期間固定金利型よりも固定金利の期間は短くなるため、全期間固定金利型よりは金利が低くなります。
固定期間選択型の特徴 |
具体例 |
メリット |
・元本の大きい返済当初の金利上昇リスクを回避できる ・固定期間終了時に金利タイプを再選択できる |
デメリット |
・固定期間終了時の引き下げ幅(優遇幅)が小さく設定されていることがある |
子どもの教育費がかかる期間は金利上昇リスクの少ない固定金利にしたい人などに人気がありますが、固定期間終了時の引き下げ幅が小さく設定されている商品も多く、当初から変動金利を選んだ場合よりも高金利での返済を余儀なくされることもあります。固定期間終了後の引き下げ幅の大きさにも注意して商品選択をしましょう。
住宅ローンの返済年数・返済期間はどれくらい?
住宅ローンの返済期間の上限は金融機関によって異なります。最長35年が一般的でしたが、地方銀行や一部のネット銀行では40年あるいは50年までの住宅ローン商品が登場しています。ただし、35年超のローンでは金利が高くなる傾向があるほか、多くの銀行は満80歳での完済を条件としており、最長年数で組めるかどうかは年齢の影響を大きく受けます。
返済期間を長く設定すると毎月返済額は少なくなりますが、利息が増える分、総返済額は多くなります。3000万円を金利0.8%で借りたときの毎月返済額と総返済額を、返済期間によって比較してみましょう。
返済期間 |
毎月返済額 |
総返済額 |
20年 |
135,308円 |
32,473,827円 |
25年 |
110,366円 |
33,109,733円 |
30年 |
93,760円 |
33,753,636円 |
35年 |
81,918円 |
34,405,447円 |
返済が厳しくなることを防ぐためにも、基本的には長期で借りる方法が推奨されますが、例えば40歳で35年ローンを組んだ場合には完済時年齢が75歳になります。退職後の返済計画は借りる前に検討しておきましょう。
ボーナス返済とは
基本的に住宅ローンは一定のペースで返済していくことになりますが、年に2回、増額した返済額を設定し、他の月の返済額を減らす返済方式もあります。これがボーナス返済といわれる方法です。借入額全体のうち、50%までをボーナス返済に指定可能な金融機関が多くなっています。ボーナス返済にはその他の月の返済額を減らせるメリットがありますが、支給されるボーナスと連動するわけではなく、仮にボーナスが支給されなくてもボーナス返済月の返済額は変わりません。そのため、住宅ローンが返済困難になる要因になりやすく、慎重な検討が必要です。
ボーナス返済の特徴 |
具体例 |
メリット |
・月々の返済額を抑えられる ・返済を短期間で進めやすい |
デメリット |
・ボーナスが減額されたり、支給されなかったりしたときに返済困難になりやすい |
安定してボーナスが支給される見込みがあればボーナス返済も選択肢になりますが、ボーナスを当てにできなくなったときの対策は必ず用意しておきましょう。
元金均等返済と元利均等返済の違いは何?
住宅ローンの返済方法には、元金均等返済と元利均等返済の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが適しているかを考えて選びましょう。
毎月の返済額は、借りたお金そのものである元本(元金)と、金利(利息)をあわせたものです。元金均等返済は、元金が毎月同じ金額になるように返済していく方法です。元金の減少とともに利息は減っていくため、返済初期には返済額が多くなり、徐々に減っていくことになります。
一方で、元利均等返済は、元金と利息の合計額が一定になるように返済していく方法です。元金の減少とともに利息が減っていくのは元金均等返済と一緒ですが、返済初期は元金の割合が小さく、徐々に元金の割合が増えていくように調整されています。
特徴 |
元金均等返済 |
元利均等返済 |
月々の返済額 |
初期は多く、徐々に減る |
毎月同じ |
総返済額 |
やや少ない |
やや多い |
審査の通りやすさ |
比較的厳しい |
比較的通りやすい |
元金均等返済のほうが元金の減り方がやや早いため、支払う利息が減り、大差はないものの総返済額はやや少なくなります。しかし、審査では返済額が大きい時期でも返済可能であると判断される必要があるため、年収がギリギリの場合には審査が厳しくなる場合があります。返済計画を立てやすいのは元利均等返済であり、多くの人はこちらを選んでいます。
3000万円の住宅ローンの返済例を金利・返済年数別に紹介
住宅ローンは、金利や返済年数によって毎月返済額や総返済額が大きく変わってきます。3000万円の住宅ローンを借りた場合の返済例をみてみましょう。
固定金利2.0%の場合
近年では、固定金利は2.0%前後を推移しています。3000万円を20~35年の返済期間で借りた場合の毎月返済額と総返済額は次の表のようになります。
返済期間 |
毎月返済額 |
総返済額 |
20年 |
151,765円 |
36,423,456円 |
25年 |
127,156円 |
38,146,723円 |
30年 |
110,885円 |
39,918,769円 |
35年 |
99,378円 |
41,738,968円 |
返済期間が30年を超えると利息は1000万円を超える水準となり、総返済額は4000万円超になります。
変動金利0.8%の場合
変動金利は昨今の利上げの影響を受けて、0.8%前後の商品が増えてきました。ここでは、完済まで金利が変動しなかった場合に、20~35年の返済期間で借りた場合の毎月返済額と総返済額をみてみましょう。
返済期間 |
毎月返済額 |
総返済額 |
20年 |
135,308円 |
32,473,827円 |
25年 |
110,368円 |
33,109,733円 |
30年 |
93,760円 |
33,753,636円 |
35年 |
81,918円 |
34,405,447円 |
固定金利2.0%のときと比べると毎月返済額・総返済額とも小さくなりますが、返済期間が長くなればなるほど固定金利との差は大きくなります。35年間借りても利息は440万円程度であり、金利が返済に及ぼす影響が大きいことがわかるのではないでしょうか。
固定金利1.6%のあとに変動金利1.2%の場合
続いては、固定期間選択型の場合をみていきましょう。今回は固定期間を10年、その後は変動金利として、金利変動がない場合で考えていきます。
返済期間 |
固定期間の毎月返済額 |
変動期間の毎月返済額 |
総返済額 |
20年 |
146,147円 |
143,299円 |
34,733,551円 |
25年 |
121,395円 |
117,915円 |
35,792,155円 |
30年 |
104,981円 |
101,041円 |
36,847,478円 |
35年 |
93,331円 |
89,028円 |
37,908,282円 |
結果は固定金利と変動金利の間になりました。金利が上昇すると、変動期間では毎月返済額が増加し、総返済額も増えてしまうことには注意が必要です。
3000万円の住宅ローンの返済の負担を軽くする方法
住宅ローンの負担を軽減するには、金利が低い商品を選ぶ、返済期間を延ばす、頭金を入れる、贈与の特例を活用するなどの方法があり、これらを組み合わせることも考慮しましょう。
金利の安い商品を選ぶ
金利がわずかに違うだけでも、35年といった長期にわたるローンでは総返済額に大きな差が生じます。たとえば3000万円を返済期間35年で借りるとき、毎月返済額は金利が2.0%であれば約10万円であるのに対して、0.8%では約8.2万円です。毎月返済額に約1.8万円の差があり、総返済額では約740万円もの差が出てくることから、金利の安い商品を選ぶことは重要です。
各種の金利タイプの中で金利が安いのは変動金利型ですが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身のライフプランを考慮して選ぶことが大切です。また、同じ金利タイプであっても金融機関によって条件はかなり異なるため、複数の金融機関から比較するようにしましょう。
35年超の期間で借りられる商品を選ぶ
毎月返済額の負担が厳しい場合には、返済期間を延ばして毎月返済額を抑えることを検討しましょう。住宅ローンは最長35年の商品が一般的ですが、地方銀行や一部のネット銀行では40年あるいは50年かけて返済できる商品も登場しています。35年返済で金利0.8%の場合には毎月返済額は約8.2万円ですが、50年返済で金利1.0%の場合には約6.4万円となり、月々の負担は軽減されます。
ただし、35年超のローンは金利がやや上乗せされることと、元本の返済がゆっくりになることによって支払う利息は増加します。また、売却時の残債割れ(売却額で住宅ローンを払いきれない状態)に注意が必要です。
頭金を入れる
毎月返済額と総返済額の両方を減らすには、自己資金から頭金を入れて住宅ローンの借入額を抑えることも有効な方法です。頭金を500万円用意できれば、住宅ローンの借入額は2500万円に抑えることができ、毎月返済額や総返済額、借入の諸費用がそのぶん減ることになります。
借入額が少なくなれば審査にも有利であり、より審査が厳しくて借入条件の良い住宅ローンを選ぶことができる可能性もあります。ただし、頭金を入れたことによって教育資金などが不足してしまっては本末転倒です。将来の支出を考慮して判断しましょう。
贈与の特例を利用する
頭金を入れる方法と同じ考え方になりますが、両親や祖父母などから住宅購入の資金援助を受ける場合には、条件を満たせば贈与税が非課税になる住宅取得等資金の贈与の特例を利用することができます。2024年度の税制改正を経て、現在は一定の省エネ基準を満たす物件に対しては1000万円、そうでない物件に対しては500万円までが非課税になります。
利用時には贈与税の確定申告などの手続きが必要になるため、専門家や税務署に問い合わせながら進めましょう。
優遇金利を受けるために必要な条件
住宅ローンを借りるときには、なるべく金利の条件がよい金融機関を利用するのが鉄則です。優遇金利を受けるためには、次のような条件があります。
年収や雇用形態、勤続年数などの審査項目の条件を整える
住宅ローンの優遇金利を受けるには、金融機関が審査の際に重視する各項目に不足がないことが前提となります。年収倍率や返済負担率からみて借入額に見合った年収や、正社員・公務員といった安定した雇用形態、最低でも1年以上の勤続年数は必要です。自営業者や契約社員、派遣社員でも住宅ローンを組める金融機関は少なくありませんが、希望通りの条件で住宅ローンを組めるかどうかは慎重に考えておく必要があります。
また、健康状態や信用情報も重要で、一般団信に加入できる健康状態ではない場合には、0.3%程度の金利が上乗せになるワイド団信への加入が求められることがあります。過去に滞納・延滞といった信用事故を起こしている場合には、優遇金利が得られないばかりか、借入ができなくなってしまうこともあるため、注意しましょう。
なお、借りたあとも油断は禁物です。延滞が続くと金利の優遇が解除され、以降の返済に高い金利が要求されるおそれがあります。完済まで、契約をきちんと守ることが大切です。
金融機関の各種のサービスを利用する
金融機関によっては、その銀行や関連会社のサービスを利用することで、金利を引き下げるキャンペーンを行っていることがあります。給与の振込口座や公共料金の引き落とし口座に指定すること、クレジットカードを利用すること、関連会社の通信サービスや電気・ガス、保険、金融商品を契約することなどが代表的な条件です。
利用するサービスであれば、うまく組み合わせて活用することで金利の優遇も得て、住宅ローンの返済負担を減らすことができます。しかし、利用する機会が少ない場合や、無駄なサービスを契約すると、かえって費用がかかることもあります。必要なサービスを見極めながら利用するようにしましょう。
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まとめ
3000万円の住宅ローンの返済は、収入の減少やライフイベントなどによる支出の増加によって、困難に陥る場合があります。無理のない返済のためには、借入可能額いっぱいまで借りず、また借入期間を長くとることなどにより、月々の返済額に余裕を持たせておくことが重要です。
返済が厳しくなった場合は、金融機関への相談や住宅ローンの借り換え、自宅の売却などの方法があります。住宅費用以外の支出の見込みも考慮しながら、複数の金融機関を比較して最適なローンを選ぶことが、無理なく住宅ローンを返済していく鍵となります。