1.日銀による金融政策の概要
日銀は消費者物価の前年比伸び率が+2%を安定的に超えるように金融緩和を行う「物価安定の目標」を掲げ、短期金利から長期金利まで市場金利の全体を低く抑えるイールドカーブ・コントロール(※1)という手法を導入しています。
<イールドカーブ・コントロールの概要>
2016年1月〜:日銀当座預金に対しマイナス金利(▲0.1%)を導入
2016年9月〜:大規模な国債買入により10年国債金利(以下、10年金利)を0%付近に留める
2020年3月〜:新型コロナウイルス感染拡大への対策から、国債買入等を強化
この政策により、日本の市場金利は低い水準で強力に抑えられています。
2021年1月20日時点の日本国債のイールドカーブは下図の通りです。
日銀は「物価安定の目標」の達成のためにこの政策を導入していますが、コロナ禍の影響で経済活動が弱っている中、直近の消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比 -0.9%(※2)と低迷しています。
今回の金融政策と同時に発表された「展望リポート」(※3)でも、日銀は「中長期的な予想物価上昇率も、引き続き弱含むと考えられる」とコメントしています。
物価が低迷する中、日銀が市場金利を低くコントロールする状況が続くことで、日本の住宅ローン金利は変動金利・固定金利ともに低金利が続くと予想します。
※1):
イールドカーブとは金利の期間構造のこと。横軸を金利の期間、縦軸に金利水準とし、通常右肩上がりのグラフとなる。
※2):
総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html)
直近の発表である2020年11月の結果
※3):
日本銀行 経済・物価情勢の展望(2021 年1月)(https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2101a.pdf)
2.まとめ
金利は経済の体温計と言われており、市場金利は大きく景気拡大する局面で上昇し、景気後退局面で低下します。住宅ローン金利も、景気に伴って市場金利とともに上下します。
コロナ禍の影響で世界的に景気が冷え込み、その回復ペースが緩やかである中、国内住宅ローン金利は低位安定で推移すると予想します。
・日銀は大規模な金融緩和政策を維持
・変動金利の短期金利:従来からのマイナス金利(▲0.1%)を維持
・長期金利:10年金利が0%近辺で推移するような国債買入を維持
・市場金利が低位安定することで、それをベースとする住宅ローン金利も低金利が続く
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