1. 持ち家VS賃貸は永遠のテーマ
持ち家がよいか賃貸がよいかは、常に議論が繰り広げられているテーマです。単純に答えが出ないため、自分にとっての正解を考えることがポイントといえます。
大前提として決まった正解はない
どのような形態の家に住むのがよいかは、人によって異なります。持ち家が向いている人もいれば、賃貸が向いている人もいるため、どちらを選べば正解という単純なものではありません。
大切なのは持ち家と賃貸の特徴を把握し、それぞれのメリット・デメリットを知った上で選ぶことです。ライフスタイルや世帯収入に合っているかを基準にするとよいでしょう。
次の一手:まずは「自分のリアルな予算」を知ることから。
「自分は今の年収で、いくらの家を、どのくらいの金利で買えるのか?」
この現実的な予算を把握して初めて、今の家賃と正確な比較ができるようになります。モゲチェックの「借入可能額シミュレーション」では、ご年収と年齢の入力のみで借入可能額目安を簡単にご確認いただけます。まずは手軽に予算を確認してみましょう。
知識を付ければ営業トークに惑わされない
不動産会社や住宅展示場などを訪れると、さまざまな営業トークをかけられます。例えば「今は金利がとても低い水準なので買い時です」と聞かされると、確かに購入を決めた方がよいようにも感じられるでしょう。
また「税制優遇がある今ならお得です」と聞けば、制度の打ち切り前に契約したい気持ちになるかもしれません。このような営業トークに追い立てられた気分では、冷静に判断できない可能性があります。
いわれるがままに購入し後悔しないためには、住宅についての知識を身に付ける必要があるでしょう。その上で疑問点や不安点をどんどん質問・相談し、総合的に判断します。知識があれば営業トークに乗せられず判断できます。
2. 統計から見る持ち家と賃貸の現状

住宅選びで持ち家と賃貸どちらがよいか判断するために必要な知識として、まずは持ち家の割合をチェックしましょう。統計情報を読み解くことで、全体の傾向をつかめます。
データが示す真実:なぜ6割以上の人が「持ち家」を選ぶのか?
5年ごとに行われる総務省の『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計』によると、持ち家は3387万6千戸で住宅総数のうち60.9%を占めます。一方、賃貸は1946万2千戸で35%です。
持ち家率は、住宅価格や雇用状況に左右されると考えられます。しかし実際には、バブル期の住宅価格高騰にも、リーマンショック後の景気悪化にもそれほど大きな影響を受けていません。
どちらかというと、地域特性や雰囲気に左右されている傾向が見られます。
参考:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 P.8|総務省
働き盛り世代の持ち家率は低下
働き盛りといわれる30~40代の持ち家率は低下傾向です。晩婚化と現役で働く期間の長期化が原因といわれています。
65歳定年が広まり、再雇用により70歳近くまで現役で働く人も増えている中、住宅を購入する時期は以前より遅くなっていると考えられます。加えて「賃貸で十分」と考える人が増えていることも原因です。
賃貸でも設備が整った物件がどんどん出てきています。加えて気軽に引っ越ししやすいため、自由度の高い暮らしをしたいと考える人には、持ち家より賃貸の方が合っているのです。
特に人口流入の多い都市部では、収入にかかわらず賃貸で暮らす人の割合が増えています。
3. 持ち家がインフレ時代の「最強の資産防衛」になる理由
正しい知識を持てば、自分や家族に合う住宅選びに役立ちます。まずは持ち家の代表的なメリットを見ていきましょう。
持つことで資産になる
インフレ下で現金価値が目減りする中での「現物資産」の強み
物価が継続して上がるインフレ時代において、持ち家の購入は強力な「資産防衛」の手段となります。なぜなら、物価上昇局面では現金の価値が相対的に下がる一方で、土地や建物といった「現物資産(不動産)」の価値は下がりにくく、むしろ連動して上昇する傾向があるからです。
さらに、固定金利で住宅ローンを組んだ場合、インフレによって将来のお金の価値が下がっても、毎月の返済額は変わりません。つまり、実質的な借金の負担が軽くなるという大きなメリット(インフレヘッジ効果)を享受できます。 単に毎月消えていく家賃とは異なり、「インフレに強い実物資産」を自己所有しつつ、ローン残高という負債の実質的価値を目減りさせることができる点こそが、持ち家最大の経済的メリットと言えます。
外観や間取り、内装など自由に選べる
間取りやデザインを自由に選べるのも持ち家のメリットです。予算や施工会社にもよりますが、賃貸より高い自由度で希望をかなえられます。
ライフスタイルや家族構成・子どもの成長に合わせ、リフォームがしやすいのも持ち家ならではでしょう。より暮らしやすい住宅になるよう、増改築やリノベーションができます。
自分がオーナーであれば、許可を取ることなく壁に釘を打つDIYも可能です。家具の固定や棚の設置ができるため、より便利で暮らしやすい住まい作りができます。
マンションの自由度は、一戸建てより低いケースがほとんどです。それでも区分所有法やマンションの管理規約で認められている範囲内であれば、リフォームやDIYが可能です。
税制上の優遇を受けられる
10年以上の住宅ローンを利用してマイホームを購入すると、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けることができます。これは、年末時点のローン残高に応じて計算された金額が、所得税や住民税から直接差し引かれる非常に有利な制度です。
【手続きと期間】
・手続き: 入居した翌年に「確定申告」を行うことで、それ以降(会社員の場合)は「年末調整」のみで継続して控除を受けられます。
・期間: 新築住宅や買取再販住宅の場合、原則として最大13年間にわたり控除が継続します。
【住宅性能による優遇】
現在の制度では、住まいの環境性能(省エネ基準など)が高いほど、控除の対象となる借入限度額が上乗せされる仕組みになっています。そのため、長期優良住宅やZEH水準などの高性能な住宅を選ぶことが、節税面でも大きなメリットにつながります。
重要: 2024年以降に建築確認を受ける新築住宅については、一定の省エネ基準を満たしていることが控除を受けるための必須条件となっています。
4. 知らずに買うと陥る「負動産」リスクとは

資産になり税制の優遇もある持ち家ですが、メリットばかりではありません。持ち家の購入にはデメリットもあることを理解しておきましょう。
引っ越しがしにくくなる
周辺環境やご近所との関係など、実際に家に住み始めてみなければ判断しきれない要素もあります。持ち家では万が一ご近所トラブルが発生したとしても、引っ越ししにくいのがデメリットです。
売却し新しい住宅を購入する選択もありますが、そのためにはローンを完済しなければいけません。万が一住宅を売ってもローン残高をまかないきれないオーバーローンになっていると、差額の補填が必要です。
また、仕事の都合で引っ越しが必要な場合もあるでしょう。住んでいない間も家の維持費は必要です。住宅ローン利用中の場合は不動産投資ローンで借り換えることで持ち家を賃貸に出し収益を得ることも可能ですが、そのための準備に手間やお金がかかるケースもあります。
参考:
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは何?上手に不動産投資ローンを借り換えする方法もご紹介
住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えについてはこちらから
メンテナンスなどは自己負担
購入時は新品の住宅も、時間の経過とともに劣化が進みます。外壁や屋根の定期的な塗り直し・水回り設備の交換など、状況に合わせたメンテナンスが必要です。
小さな修繕であれば数万円程度で済むこともありますが、大規模な工事になると1,000,000円を超えるケースもあるでしょう。費用は全て自己負担のため、日ごろから修繕に向けて計画的に準備しておかなければいけません。
ローンを完済すれば、家に関する支払いは全て終わると考えている人もいるかもしれませんが、経年劣化によるメンテナンス費用が膨らむ場合もあるでしょう。
状況によってはお荷物(負動産)になる
資産であるはずの持ち家が負担になる可能性も考慮しなければいけません。家を購入すると、ローンのほかにも、固定資産税や都市計画税が課税されます。資金計画が甘いと負担が重くのしかかるでしょう。
また子どもに負担をかける可能性もあります。実家を出て自分の家を持った子どもに持ち家を残したとしても、活用しきれないケースが多いでしょう。
売却や賃貸に出せれば使い道があります。しかし空き家率の上がっている昨今では、築年数の経過した住宅をそのまま売ったり貸したりはなかなかできません。
活用するにも、リフォームやリノベーションに費用がかかります。手放したくても手放せず、税金だけ支払い続けなければいけない可能性もあるのです。
例えば、親から地方の実家を相続したものの、自身は都市部の賃貸で生活基盤を築いているケースを想定してみましょう。誰も住んでいない空き家であっても、固定資産税や都市計画税、最低限の火災保険料などで年間10万〜20万円程度の維持費が継続して発生します。さらに、建物の急速な劣化やご近所トラブル(雑草の繁茂や害虫など)を防ぐため、定期的な換気や手入れに向かう交通費・時間的コストも無視できません。
いざ手放そうとしても、人口減少が進むエリアでは買い手や借り手が長期間見つからないことが多々あります。かといって、解体して更地にするにも150万〜200万円規模の解体費用がのしかかります。結果として、活用も売却もできず、ただ毎年数十万円のコストと重い管理責任だけを負い続ける――これが、資産が「負動産」へと変わるリアルな実態です。
5. 賃貸住宅のメリットは?
持ち家にもメリットばかりではなくデメリットがあると分かりました。では賃貸にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ライフスタイルの変化に対応しやすい
ライフスタイルの変化に対応しやすいのは、賃貸のメリットです。持ち家と比較して引っ越しやすいため、そのときに必要な広さの家を選び、常に最適な状態で暮らせます。
子どもが生まれ個室が必要な年齢になったら部屋数を確保できる3LDKを選び、夫婦2人の暮らしに戻ったら1LDKや2LDKなどコンパクトな賃貸住宅に引っ越してもよいでしょう。
共働きの間は通勤に便利な駅に近い物件、子育て中は駅から離れた落ち着いたエリア、子どもの進学に合わせて学校の近くへ、などと住むエリアを仕事や学校に合わせて変えることも可能です。
突発的な「数百万の修繕リスク」を回避できる
賃貸住宅の所有者はオーナーです。そのため物件や物件に備え付けられている設備の修繕やメンテナンスが必要なときには、基本的にオーナーが費用を負担します。
例えば外壁塗装の塗り直しが必要になったときは、家賃とともに支払っている共益費や管理費からオーナーが業者へ支払います。日常的な使用でトイレに不具合が起こっても、修理費用はオーナー持ちです。
わざと壊した場合を除き、賃貸住宅の居住者が修繕やメンテナンスの費用を負担する必要はありません。
初期費用が安い
初期費用を安く抑えやすいのもメリットといえます。一般的な賃貸の初期費用は「敷金1~2カ月」「礼金1~2カ月」「仲介手数料0.5~1カ月+税」「前家賃1カ月」の、家賃5カ月分程度です。
家賃120,000円の3LDKなら、600,000円ほど用意すれば借りられます。一方持ち家の初期費用は、物件購入価格の5~10%が目安です。35,000,000円の3LDKを購入するなら、1,750,000~3,500,000円程度かかります。
6. 賃貸の主なデメリット

費用負担が少なく変化に対応しやすい賃貸住宅ですが、ずっと住み続けているとデメリットに感じる点も出てくるでしょう。代表的なデメリットを見ていきます。
家賃を払い続けないといけない
ローンを全て支払えば月々の支払いがなくなる持ち家に対して、賃貸は住み続ける限り、家賃を払い続けなければいけません。定年退職し平均寿命まで生きると仮定しても、20年以上家賃や更新料の負担があります。
年金のみで家賃を払い続けるのは負担が大きいため、老後の家賃に備えた準備が必要です。
リフォームができない
自由にリフォームできる持ち家に対して、賃貸ではリフォームはもちろん壁に釘を打つこともできません。借りたときと同じ状態(原状回復)にして返さなければいけない契約のため、自由度は低いのです。
一部にはオーナーの許可を得てDIYできる物件もあります。それでも間取りの変更といった大幅な変更はできないでしょう。
7. どういう人が持ち家・賃貸に向いている?
それぞれ異なるメリット・デメリットのある持ち家と賃貸は、自分に向いている方を選ぶことが大切です。それぞれの住宅に向いている人について解説します。
持ち家に向くのはこんな人
広々とした住宅が多い持ち家は、子育て中の人に向いているでしょう。特に子どもが大きくなってきて個室を用意したいと考えている人や、不足している収納スペースを確保したいと考えている人にぴったりです。
十分な部屋数が確保できれば、夫婦の空間も持てます。犬や猫などペットを飼いたいという希望がある場合にも、制約の多い賃貸より持ち家がよいでしょう。
また自分の家を持ちたいと希望している人や、老後の家賃が心配という人も持ち家が適しています。定年退職までに完済すれば、その後の生活費の負担を減らせます。
賃貸向きなのはこんな人
一方賃貸に向いているのは、ライフスタイルが変わる可能性がある人です。転勤が多い人や転職を考えている人などは、ライフスタイルが定まるまで賃貸の方が暮らしやすいでしょう。
特定の場所に落ち着くより、いろいろな場所に住んでみたいという人にも、引っ越ししやすい賃貸が向いています。また多額のローンを抱えることに不安を感じる人も、初期費用が小さい賃貸がぴったりです。
老後の家賃支払いに備え、計画的な貯蓄ができる人にも適しています。
8. 家の選択はライフスタイルや経済面で判断を

持ち家と賃貸、どちらが正解かは「あなたが将来の人生に何を求めるか」によって明確に分かれます。これまでの比較を踏まえ、結論として以下のように判断の軸を持ちましょう。
【持ち家が向いている人:資産と環境の安定を重視】
・インフレに強い「実物資産」を形成し、老後の住居費負担をなくしたい人
・子育てやペットの飼育など、広さと自由な間取り(カスタマイズ性)を優先したい人
※注意点:突発的なメンテナンス費用や、将来の流動性(売りにくさ)リスクを許容・準備できることが前提です。
【賃貸が向いている人:変化への柔軟性と身軽さを重視】
・転勤や転職など、今後のライフスタイルや収入に変化が予想される人
・数百万単位の大規模修繕リスクや、固定資産税などの保有コストを回避したい人
※注意点:老後も家賃を払い続ける前提となるため、並行して計画的な金融資産の形成が必須です。
どちらを選ぶにせよ、最初のステップは「今の自分のリアルな資金力」を知ることです。感覚で判断せず、まずは無料のローンシミュレーションなどを活用し、客観的な予算を把握することから始めてみてください。






























