パート・アルバイトでも住宅ローンは借りられる?難しい?
そもそも、パート・アルバイトで住宅ローンを借りることはできるのでしょうか? 結論から言えば、一部の商品を除いては、パート・アルバイトでは住宅ローンの審査で承認を得るのは難しいことが多いのが現状です。
住宅ローンの返済は長期間にわたるため、住宅ローンの審査では、年収だけでなく収入の安定性もチェックされます。収入の安定性は、勤務先・職種・勤続年数・雇用形態などから総合的に判断されます。
パート・アルバイトは正社員よりも賃金水準が低いうえに、雇用が流動的です。そのため、申込時に十分な年収があっても、収入の安定性が低いとみなされやすくなります。
また、正社員や公務員以外の申込みを受け付けていない金融機関もあり、この場合にはパート・アルバイトは申込みができません。パート・アルバイトで住宅ローンを組むには、そもそも申込みができるかどうかから情報収集も重要になります。
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パート・アルバイトが住宅ローンを組む際の年収目安
パート・アルバイトは一般的に年収が低くなりやすい雇用形態であり、借入可能額は年収の影響を大きく受けます。一般には、年収に占める年間返済額(返済負担率)が30~35%程度が審査の基準です。金利2.0%・35年返済の条件で、返済負担率が30%になる借入額の目安は以下の表のとおりです。
年収 |
借入可能額の目安 |
200万円 |
1,500万円 |
300万円 |
2,250万円 |
400万円 |
3,000万円 |
勤続年数は最低何年必要?金融機関別の条件比較
勤続年数の要件は金融機関によって大きく異なります。勤続年数が短くても申込可能な金融機関もありますが、審査は厳しくなることが予想されます。
銀行 |
勤続年数の要件 |
三菱UFJ銀行 |
1年以上 |
みずほ銀行 |
3か月以上(転職後、試用期間を除く) |
三井住友銀行 |
3か月以上(給与明細3か月分が必要) |
横浜銀行(標準型金利プラン) |
正社員として3年以上 |
関西みらい銀行 |
1年以上 |
福岡銀行 |
1年以上 |
auじぶん銀行 |
申込可能(職歴書が必要) |
SBI新生銀行 |
申込可能 |
ソニー銀行 |
申込可能 |
パート・アルバイトの住宅ローンにおすすめ「フラット35」
パート・アルバイトでは住宅ローンを組むことが難しいことは多いのですが、審査基準がゆるい「フラット35」であれば、借りられる可能性があります。フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による住宅ローンで、全国の300を超える金融機関で提供されています。フラット35には次のような特徴があります。
・年収、雇用形態、勤続年数の制限なし
・借入期間は最長35年
・金利は長期固定金利
・保証人・保証会社が不要
・団体信用生命保険(団信)への加入は任意
雇用形態に制限がないため、パート・アルバイトでも住宅ローンを組める可能性はあります。審査で最も重視される項目は、年収に占める返済額の割合(返済負担率)で、基準は、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上の場合は35%以下です。
しかし、フラット35を利用する際にも主に次の3つの注意点があります。
・固定金利の安心感がある一方で、金利は高め(2025年9月時点で約1.9%)の設定となっているため、返済負担が大きい
・団信への加入が任意であり、団信に加入しない場合には保障がないため、万一の際には物件を売却しなければならないリスクがある
・物件が耐震基準や省エネ基準に適合している必要がある
◆参考◆フラット35の特徴やメリット・デメリットについてはこちらで詳しく解説!
パート・アルバイトが避けるべき住宅ローンの落とし穴
これまでに説明したように、パート・アルバイトは収入や雇用形態が不安定になりやすく、そもそも住宅ローンの借入には不利な属性です。そのため、審査ではさらに不利になるような要因を作らないことが重要です。
例えば、転職直後の場合には、申し込みが可能な金融機関であっても、現実的には役職や年収が大きく上がる条件でなければ、審査に落ちるリスクは高くなります。また、自動車ローンや教育ローンなどを抱えている場合にも、金融機関は返済を不安視するでしょう。過去に借入の返済が遅延したことがあれば、個人信用情報機関にその事実が登録されているため、承認は絶望的であるともいえます。
申込みのタイミングで失敗しないための注意点
パート・アルバイトの人が住宅ローンを申し込むのであれば、同一の勤務先で最低でも勤続1年、できれば3年程度にわたって安定した収入を得ている実績を作ってから申し込むほうがよいでしょう。物件についても、技術水準や築年数などが融資対象になるかどうか、融資できる場合でも借入希望額を満たせるかどうかの見通しをあらかじめ相談しておくほうが望ましく、金融機関にあらかじめ相談してから購入物件を選ぶほうが安心であるといえます。
複数の金融機関に同時申込みするリスクと対策
パート・アルバイトの住宅ローン審査は一般的に厳しいことから、審査落ちに備えて複数の金融機関に同時に申し込みを行うこと自体は賢明な方法です。しかし、申し込み件数が数十件などとあまりにも多いと、金融機関から不安視される要因になります。
住宅ローンの申し込みは個人信用情報に収載されることから、金融機関は申込者が他にどの金融機関に申し込んでいるかを知ることができます。あまりに多いと、何らかの問題を抱えていると判断され、審査期間が延長したり、融資金額の上限が下げられるといった融資条件の悪化のリスクが生じる可能性があります。
パート・アルバイトでも審査に通りやすくなる方法・ポイント
パート・アルバイトで住宅ローンを借りたい場合、審査を有利に進めるにはどのような方法があるでしょうか? ポイントとなる考え方を説明していきます。
融資条件を事前に検討する
金融機関による住宅ローンの審査基準は非公開となっていますが、住宅ローンの申込条件として、どのような人を融資対象にしているかはあらかじめ公開されています。
金融機関が提示している年収や雇用形態、勤続年数に関する条件を満たしていない場合には、申し込んでもそもそも審査の対象になりません。金融機関によって条件が異なりますので、申し込む前に確認するようにしましょう。また、フラット35には雇用形態などの条件がないため、フラット35を提供している金融機関から選択するのが現実的な方法と言えます。
頭金を用意する
物件価格のうち、住宅ローンを利用せずに現金で支払う分を頭金といいます。頭金を入れると、住宅ローンの借入額を減らせることと、万一返済できなくなって物件を売却する場合に残債割れのリスクが減ることから、審査を有利に進めることができます。また、フラット35を利用する場合には、物件価格の1割を超える頭金を用意できれば、より低金利で借りることもできます。
一方、手元資金が少なくなりすぎてしまうと、突発的な支出が生じた際に困ることがあるため、頭金を入れる場合でも生活費数か月分の資金は手元に残しておきましょう。
ほかの借入を完済する
返済負担率の計算には、住宅ローンの返済だけでなく、自動車ローンや教育ローン、カードローンなどの借入も含まれます。また、スマートフォンなどの携帯端末代金の分割払いやクレジットカードのリボ払い、キャッシングといったものもローンと同等の取り扱いになり、審査に影響を与えます。そのため、あらかじめこれらのローンを完済しておけば、返済負担率を下げることができ、審査へ有利にはたらきます。
フラット35では雇用形態による制限はありませんが、一般的に高収入を得るのが難しく、また収入の安定性という点で不利になりやすいパート・アルバイトの場合は、返済負担率がなるべく低い状態で審査を受けるのが重要です。
信用情報に傷をつけないための注意点と確認方法
パート・アルバイトかどうかによらず、過去の借入で延滞・滞納を起こしていないことは重要な審査事項です。クレジットカード利用額や、携帯端末の割賦販売(毎月の通信料金と合わせて端末代金を支払う方法)の口座引き落としが残高不足などで行えず、延滞・滞納の取り扱いになると、その情報は個人信用情報機関に5年間登録されてしまいます。審査時に、金融機関は個人信用情報を照会しますので、延滞・滞納を起こさないことが大切です。
自分の信用情報の登録内容は、CICやJICC、KSCなどの個人信用情報機関に対して開示手続を行えば確認することができます。開示方法は主にインターネットと郵送が利用可能であり、信用情報開示申込書(インターネット申し込みの場合はWebフォーム)、本人確認書類、500~1,500円程度の手数料などが必要です。
開示を請求すれば、郵送の場合でも1週間~10日間ほどでその内容を確認することができます。
配偶者の収入を合算して借入額を増やす
配偶者が正社員などの住宅ローンを借りやすい属性であれば、配偶者を申込者とし、自身は収入合算者として住宅ローンの審査を受ける方法があります。これを収入合算といい、収入合算者は連帯保証人になる必要がありますが、金融機関によっては申込者よりも要件がゆるく、パート・アルバイトでも収入の半分程度を合算できることがあります。
収入合算を行うと、審査時の年収を大きくすることができますので、借入額を増やせるというメリットがあります。一方で、配偶者が連帯保証人になり、主債務者と同じ責任のもとに返済を行う義務が生じるというデメリットがあります。また、団信は主債務者のみを対象とするため、例えば夫が主債務者、妻が収入合算者の場合には、妻に万一のことがあった場合でも、夫の住宅ローンの返済負担がなくなることがないという注意点があります。
なお、フラット35では雇用形態に関係なく収入合算者として申し込むことができます。しかし、収入の全額が合算できるわけではないため、合算額に関する金融機関の規定を把握しておく必要があります。
母子家庭(シングルマザー)や共働きの場合、住宅ローンは何がおすすめ?
これまでに説明したように、パート・アルバイトでは選択肢は限られますが、住宅ローンを組める可能性があります。パート・アルバイトの母子家庭や、共働きの場合にも、フラット35はオススメです。
共働きの場合には、収入合算だけでなく、ペアローンの利用も検討しましょう。審査は厳しくなり手数料が多少増えるものの、収入合算に比べてメリットが多くなります。
特徴 |
収入合算 |
ペアローン |
借入額の審査に用いられる収入 |
収入合算者は半分程度の収入とみなされる |
全額が評価の対象 |
住宅ローン控除 |
収入合算者は控除を利用できない |
2人も利用可能 |
団信 |
収入合算者は団信の対象外 |
それぞれの借入額に対して保障 |
手数料 |
契約1本分で済む |
契約が2本になるためやや高くなる |
審査の厳しさ |
比較的ゆるい |
単独ローンと同等の厳しさ |
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母子家庭(シングルマザー)におすすめの住宅ローン
金融機関によって審査基準は異なりますが、一般的に住宅ローンの審査では、家族構成が一定程度は考慮されるものの、それが審査結果に重大な影響を与えることはありません。そのため、母子家庭(シングルマザー)の世帯の場合でも、それ自体が住宅ローンの借入の障害になることは考えにくく、収入や雇用形態、勤続年数、年齢などの条件に問題がなければ、両親のいる家庭や父子家庭と同様に住宅ローンを組むことができます。
母子家庭への公的支援としては、18歳までの子どもを扶養しているひとり親に支給される児童扶養手当や、就業経験に乏しい母親を支援する母子家庭自立支援給付金、ひとり親家庭を対象とした自治体による医療費軽減制度などがあります。これらを受給していることが、住宅ローンの審査に影響することはなく、不動産を所有しても受給し続けることは可能です。しかし、これらの給付は収入ではないことから、審査にプラスにはたらくことがない点には注意が必要です。
母子家庭では母親が正社員ではなく、パート・アルバイトである割合が高いため、収入額やその安定性が低くて住宅ローンの審査承認を得るのが難しかったり、そもそも住宅を購入しようとする人が少なかったりすることから、母子家庭の多くは賃貸住宅に住んでいます。
フラット35は審査基準に雇用形態を含まないため、パート・アルバイトでも申込可能です。十分な収入がある場合には、フラット35の利用を検討してみましょう。
共働きの場合はペアローンや収入合算がおすすめ
共働きの場合には、配偶者と協力してペアローンもしくは収入合算を利用する方法があります。単独で住宅ローンを借りるよりも審査で有利になったり、借り方によっては住宅ローン控除や団信をそれぞれが利用したりすることができます。特に、ペアローンは住宅ローン控除を2人分利用できたり、団信の保障の対象になるなど、経済的メリットが大きくなります。
収入合算 |
ペアローン |
|
メリット |
・審査に比較的通りやすい ・手数料が安い |
・収入の全額が評価の対象になる ・住宅ローン控除を2人分利用できる ・それぞれが団信に加入できる |
デメリット |
・収入合算者の収入のうち、考慮されるのは50%程度であることもある ・収入合算者は住宅ローン控除が利用できない ・団信は主債務者のみが対象 |
・単独ローンと同等の審査が行われる ・手数料がやや高くなる |
パート・アルバイトの場合に利用できる可能性が高いのは、収入合算による住宅ローン契約です。一般的に、収入合算者は収入の全額を審査対象にすることはできず、多くの金融機関では半分程度の金額で審査されることになります。
一方、ペアローンは1つの物件に対して2人がそれぞれ住宅ローンを借り入れる形になりますので、借入可能額がより大きくなります。これまではフラット35ではペアローンの取り扱いがなく、パート・アルバイトでは申込みが難しい場合がほとんどでした。しかし2024年10月からフラット35でもペアローンの取り扱いが開始されたため、パート・アルバイトでもペアローンを組める可能性は高まりまっています。ペアローンを検討する場合には、フラット35を候補の1つに入れてみましょう。
◆参考◆ペアローンと収入合算の違いや選び方を詳しく知りたい方はこちら
住宅ローンのペアローンとは?収入合算、単独との違いやメリット・デメリットを解説
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まとめ
住宅ローンの審査では収入の安定性を評価するため、パート・アルバイトが住宅ローンを組むのは難しいことも多くあります。ただし、申込者の雇用形態を問わないフラット35なら、パート・アルバイトでも住宅ローンを利用できる可能性は高まります。
配偶者がパート勤めをしているなら、収入合算の利用を検討するのもおすすめです。審査をより有利に進めるために、頭金を用意したりほかの借入を完済したりする方法も有効です。
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