1.地震保険の仕組み
地震保険とは具体的にどのような保険なのでしょうか。保険の仕組みや加入する必要性など、まずは基礎知識を把握しましょう。
地震保険の必要性
火災保険では、火災以外に水災・風災・雪災などの自然災害による損害も補償の対象となります。しかし、地震を起因とする建物や家財の損害は補償されません。地震による被害に備えるためには、地震保険への加入が必要です。
マンションなど耐震性に優れた建物に住んでいる場合も、加入を検討したほうがよいでしょう。特に高層階は地震で大きく揺れやすいため、建物自体は無事でも家財が損害を受けてしまう恐れがあります。
地震による火災は火災保険の補償対象外になるのもポイントです。地震の揺れでストーブが倒れ、火が燃え広がり火災が発生した場合、火災保険では補償を受けられません。
火災保険では水災補償を受けられますが、地震が原因で起こる津波での被害は補償を受けられないことも覚えておきましょう。
単独での加入はできない
地震保険は火災保険と一緒に加入する必要があります。火災保険に加入済みの場合は、後から追加契約できます。
地震保険は、民間の保険会社ではまかないきれない損害を、政府が再保険する形で成り立っている保険です。火災保険とセットにすることでコストを抑える仕組みになっています。
地震発生がたとえ1回であったとしても、地震による被害は広範囲にわたる甚大なものになりかねません。現在、政府が支払うべき再保険金は約12兆円に設定されており、この金額は過去の大地震クラスが発生しても対応可能な金額とされています。
建物と家財の両方またはいずれかを選択可能
火災保険の場合、補償の対象は建物と家財です。『建物のみ』『家財のみ』『建物と家財』の三つのうち、いずれかのパターンを選択できます。
地震保険も火災保険と同様、上記3パターンから補償の対象を選択可能です。火災保険で選択したパターンと合わせる必要はないため、さまざまな組み合わせでリスクに備えられます。
住宅に地震被害が及んだ場合、建物の再建と家財の再購入のどちらにも費用を必要とする可能性が高くなります。地震保険に加入するなら、建物と家財の両方を対象にする方向で検討しましょう。
2.地震保険で補償される家財の範囲
地震保険の補償対象にできる家財とは何か、具体例を交えて紹介します。該当しないものを覚えておけば、より分かりやすくなるでしょう。
家財の具体例
家財とは、建物の中にあるもののうち、外に運び出せるもの全般を指します。食器類・電気器具類・家具類・身の回りの品・衣類寝具類が、家財の5分類です。それぞれの代表品目には以下のようなものがあります。
- 食器陶器類:食器・調理器具・陶器置物・食料品
- 電気器具類:冷蔵庫・洗濯機・テレビ・パソコン・電子レンジ・掃除機
- 家具類:机・いす・食器棚・たんす
- 身の回りの品:書籍・靴・かばん・カメラ・レジャー用品
- 衣類寝具類:衣類・ベッド・布団
各品目には、家財全体の損害に占める構成割合が定められています。価値の高いものが損害を受けても、構成割合を超えた補償は受けられません。
家財に含まれないもの
設備・什器・商品など、業務に関連する動産は家財に含まれません。1個または1組の価格が30万円を超える高額な貴金属や美術品も補償の対象外です。
家財に含まれないものには、ほかにも通貨・有価証券・切手・印紙・自動車・設計書・動物や植物・データなどがあります。家財に該当するものでも、建物の外に持ち出しているものは補償の対象となりません。
ただし、自動車・高額な貴金属・美術品など、特約をセットすることで損害を補償されるものもあります。
3.家財の補償に関する注意点
家財補償では、保険金額の全額が支払われるわけではありません。保険金額の範囲も、火災保険を基準として少なめに設定されます。
全額が補償されるわけではない
家財を補償の対象とする場合、契約時に保険金額が定められます。ただし、家財が損害を受けても、保険金額の全額が補償されるわけではありません。実際に支払われる保険金の割合は、損害の程度により異なります。
家財の損害額が時価の80%以上である場合は、損害の程度が『全損』となります。損害額が時価の60%以上80%未満なら損害の程度は『大半損』、30%以上60%未満なら『小半損』、10%以上30%未満の場合は『一部損』です。
全損のケースでは、保険金額の100%が支払われます。大半損の場合に支払われる保険金は60%、小半損が30%、一部損なら5%です。ただし、それぞれ時価を限度とします。
保険金額の範囲が決まっている
地震保険の保険金額は、建物と家財のどちらも、火災保険の保険金額の30~50%に設定されます。建物の保険金額の上限は5,000万円、家財については1,000万円です。
他の保険会社でも地震保険契約を交わしている場合は、その保険金額を差し引いた金額を設定します。重複保険が判明した際は、上限額などを基準として適正額に修正されます。
地震保険は、被害からの完全復旧を目的とする保険ではありません。あくまでも被災者の生活の安定をサポートするために、政府が再保険するものであることを理解しておきましょう。
地震発生から10日以内の損害が対象
地震保険の補償を受けられるのは、地震発生日の翌日から10日以内に損害を受けた財産です。10日以上経過した後に被害が発生しても、補償対象にはなりません。
保険会社に連絡してもすぐに調査してもらえるとは限らないため、被害状況を写真に収めておきましょう。証拠を残しておけば家の中を片付けられます。
なお、保険金の請求期限は法律で原則3年間と定められています。ただし、保険会社によっては請求期限を短く設定しているケースもあるため、できるだけ早めに連絡しましょう。
4.地震保険選びのポイント
地震保険はどのような点に着目して選べばよいのでしょうか。保険への加入を検討する際に気を付けたいポイントを解説します。
割引制度がある
地震保険には、築年数や耐震性能に応じた割引制度が設けられています。割引制度の種類は、建築年割引・耐震等級割引・免震建築物割引・耐震診断割引の四つです。
それぞれに適用条件が定められており、条件をクリアしていれば保険料が最大50%割り引かれます。ただし、複数の制度の適用条件にあてはまるケースでも、割引率が最も高い一つの制度しか適用できません。
四つの割引制度は、いずれも保険会社に関係なく、条件を満たしてさえいれば適用を受けられます。お得に保険を利用できる仕組みとして覚えておきましょう。
保険会社による差はない
政府と民間保険会社が共同で運営する地震保険は、保険料や補償内容はどの保険会社でも同じです。加入を検討する場合、基本的には『加入するかどうか』のみを考えればよいことになります。
地震保険は火災保険とセットで加入する保険です。加入を希望するなら、火災保険を軸に選ぶことをおすすめします。
保険会社によっては、火災保険の特約に地震保険の上乗せ補償を用意しているケースもあります。地震保険自体の補償は手厚くできないため、火災保険の特約をチェックするのもおすすめです。
5.万が一に備えるには地震保険が重要
地震保険に加入すれば、地震に起因するリスクに備えられます。建物の損害だけでなく、家財が受ける被害を考慮することも大切です。
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があります。保険会社ごとに保険料や補償内容の差はないため、加入する場合は火災保険を比較して選びましょう。
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水災被害のリスクが小さい地域だと保険料が安くなるため、特に河川や海から離れているエリアに住んでいる人におすすめな商品といえるでしょう。もちろん、地震保険とセットで申し込むことも可能です。