1.住宅リフォームで使える減税制度は多数ある
住宅リフォームが対象となる減税制度は、住宅ローン減税をはじめ複数あります。具体的にどのような制度があるのかチェックしましょう。
ただし要件を満たしていない場合には利用できず、がっかりするかもしれません。そのようなときには、助成金も確認してみましょう。
利用できる減税制度
リフォームで所得税の控除を受けられる制度は3種類あります。住宅ローンの年末残高に応じて控除を受けられる『住宅ローン控除』、5年以上のローンが対象の『ローン型減税』、ローンの有無を問わない『投資型減税』です。
ほかにも『固定資産税の軽減』を受けられる制度もあります。固定資産税の1/3~2/3が基本は1年分、条件を満たすと2年分軽減される制度です。
また『贈与税の非課税措置』もリフォームに関する減税制度です。年に110万円以上の資金を譲り受けると、通常は贈与税が課税されます。しかしリフォーム費用として親や祖父母から譲り受ける場合に限り、条件を満たすことで贈与税がかかりません。
減税制度の併用も可能
複数ある減税制度は、併用できるものがある点が特徴です。例えば所得税と固定資産税の減税は併用できます。条件を満たすなら、あわせて申請するとお得です。
注意が必要なのは、所得税から控除される住宅ローン控除とリフォームの減税(ローン型減税・投資型減税)の併用です。どちらも所得税から控除される制度で、基本的には併用できません。
ただし耐震リフォームで投資型減税を利用するときに限り、住宅ローン減税と同時に利用可能です。またリフォームの減税は対象となる工事が複数あり、ローン型減税内・投資型減税内であれば複数の工事で使えます。
ローン型減税と投資型減税との併用は、耐震工事との組み合わせに限定される点に注意しましょう。
参考:リフォームの減税制度 P.19 税制の組み合わせ|住宅リフォーム推進協議会
自治体の助成金を利用できる場合も
工事の内容によっては、減税制度だけでなく『助成金』を使える可能性もあります。自治体ごとに設定されており、地域によっては小規模のリフォームでも利用可能です。
毎年異なる助成金が始まるため、リフォームを検討するときには管轄の自治体で調べておくとよいでしょう。対象となる工事・性能基準・期間などが細かく規定されている場合も多いため、事業者と相談して進めます。
2.減税の対象となるリフォームの条件
リフォームを行うからといって、全ての工事が住宅ローン減税の対象になるわけではありません。制度の仕組みや対象となるリフォームについて知ることで、正しく制度を利用できます。
住宅ローン減税の仕組み
住宅ローン減税は新築・中古を問わず、ローンで物件を取得するときやリフォームをするときに利用できます。年末ローン残高の1%を10年間にわたり所得税から控除する制度です。
引ききれなかった金額は、住民税からも差し引かれます。また1年間の控除額には上限額がある点に注意しましょう。
『特定取得』で消費税が8%もしくは10%かかっている場合、40万円と定められています。
一方、中古マンションや中古住宅を購入しリフォームする場合、取引相手が個人であれば消費税がかからないため、特定取得に該当しません。そのため控除の上限額は『20万円』が適用されます。
リフォーム目的が条件を満たせば減税の対象
減税の対象となるリフォームか判断するには、リフォームの目的をチェックしましょう。リフォーム費用の1/2以上を使い、居住用部分のためのリフォームをしたときに対象となります。
このとき費用が100万円以上でなければいけません。また工事内容は、下記のいずれかが対象です。
- 増改築や大規模改修・大規模模様替え
- 床・階段・壁の半分以上をリフォーム
- リビング・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸・玄関・廊下の一室の床の工事もしくは壁全部のリフォーム
- 耐震リフォーム
- バリアフリーのリフォーム
- 省エネ化のリフォーム
これらの工事を行ったと証明する『増改築等工事証明書』の取得も必要です。
中古住宅が満たすべき条件に注意
中古住宅の場合『耐震基準』に適合する住宅でなければ、住宅ローン減税の対象にならない点に注意しましょう。築25年以上のマンションや築20年以上の木造住宅は、耐震性を証明する下記いずれかの書類を用意します。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
- 既存住宅売買瑕疵保険付証明書
また『通常の売買』で取得した住宅である点も必要な条件です。例えば親族や特別な関係のある人から取得したり贈与されたりしたケースでは、住宅ローン減税を利用できません。
参考:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
3.ローン型減税の仕組み
『ローン型減税』はローンを利用してリフォームをしたときに使える制度です。確定申告によって所得税が控除される点は、住宅ローン減税と同様の仕組みが採用されています。
年末ローン残高から一定割合の所得税を控除
工事費用の年末ローン残高の2%もしくは1%が、5年間にわたり所得税から控除される仕組みの制度です。借り入れたローンのうち250万円までは2%が差し引かれます。
250万円を超える部分については、1,000万円を上限に1%控除される仕組みです。例えば年末ローン残高が800万円の場合『(250万円×2%)+(800万円-250万円)×1%=10万5,000円』と求められます。
1年間の控除額は12万5,000円が上限のため、5年間で最大62万5,000円の控除を受けられる計算です。ただし控除額より所得税額の方が低い場合、所得税額を上限として控除されます。
対象となる条件
ローン型減税の対象となるのは、返済期間が『5年以上』のローンを借り入れた場合です。さらに対象となる下記4種類の工事をしたときに控除を受けられます。
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
4種類のリフォームにも、それぞれ要件があります。例えば省エネリフォームであれば『工事費用50万円超』であると同時に『天井や壁の断熱改修で省エネ基準をクリア』していなければいけません。
参考:リフォームの減税制度 P.24~29 解説 税制の組み合わせ|住宅リフォーム推進協議会
4.投資型減税の仕組み
リフォームを自己資金のみで行いたいという人もいるでしょう。ローンを使わなくても利用できるのが『投資型減税』です。対象となる工事の種類がローン型減税と異なります。
ローンを組まなくても利用できる減税制度
『投資型減税』の特徴は、ローンを利用しなくても減税される点です。工事ごとに定められている限度額を上限に、工事費用の『10%』が所得税から差し引かれます。限度額は後述の通りです。
リフォームによって住宅の性能が高まるほど、減税額が大きくなります。これらの減税を受けるためには、確定申告が必要です。また控除対象期間は1年のみで、リフォーム後、住み始めた年のみ受けられます。
対象となる条件
対象となる工事は『耐震』『省エネ』『同居対応』『長期優良化』『バリアフリー』の5種類で、それぞれの工事が要件を満たしていることも必要です。下記の通り控除額の上限が異なります。
- 耐震・省エネ・同居対応・長期優良化:25万円
- 省エネ+太陽光発電装置設置:35万円
- 耐震+長期優良化・省エネ+長期優良化:50万円
- バリアフリー:20万円
これらの工事を組み合わせてリフォームする場合もあるでしょう。耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応を同時に行う場合、最大控除額は95万円です。
参考:リフォームの減税制度 P.22~29 解説 税制の組み合わせ|住宅リフォーム推進協議会
5.リフォーム時は減税制度の上手な活用を
リフォームをするときには、住宅ローン減税のほか、ローン型減税・投資型減税といった所得税控除の仕組みが整えられています。さらに固定資産税の軽減や贈与税の非課税も利用可能です。
これらの制度は併用できるものもあるため上手に活用しましょう。ただしどのようなリフォームでも使えるわけではありません。工事の種類や要件が定められているため、減税制度を使うときにはあらかじめ確認が必要です。
制度を活用することで、よりお得にリフォームできます。