1. リフォームローンの基本を知ろう
リフォームローンについて詳しく知るために、まずは基本的な特徴をチェックしましょう。住宅ローンとの違いやリフォームローンの種類も紹介します。
リフォーム用途のみに使えるローン
古くなった住宅の修繕や、家族構成に合わせて間取りを変更したいときに利用できるのが「リフォームローン」です。例えばキッチンやトイレの設備機器の交換・屋根や外壁の修繕・子ども部屋の分割などに使えます。
リフォームでも大掛かりになれば数百万円の予算が必要です。希望によっては必要な費用が10,000,000円を超える場合もあるでしょう。大きな金額を一度に用意しきれない際に活用できます。
住宅ローンとの違いは
住宅ローンもリフォームに利用可能です。ただし借入時の条件はリフォームローンと違います。下記の表のようにリフォームローンの方が、借入限度額は低く、金利は高く、返済期間の上限は短いのが一般的です。
申込から審査結果が分かるまでの期間が、最短で数日と短いことも特徴といえます。
リフォームローンの場合、借入時に手数料がかかる商品、と手数料が金利に含まれている商品があるため、借入を検討する際はよく確認しましょう。
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リフォームローン |
住宅ローン |
借入限度額 |
1,000万円程度 |
1億円程度 |
金利 |
約3%〜5% |
固定:約2.0%~2.8%、 変動:約0.6% |
返済期間 |
最長15年程度 |
最長35年〜50年程度 |
初期費用 |
商品により必要 |
必要 |
審査期間 |
最短数日 |
最短1〜2週間 |
有担保タイプと無担保タイプがある
購入する住宅を担保にするのが必須の住宅ローンに対し、リフォームローンは有担保と無担保を選べます。住宅を担保に入れる有担保タイプの方が、借入限度額が大きく、低金利で利用可能です。
有担保タイプが有利な条件で利用できるのは、万が一債務者が返済不能となった場合には、担保になっている住宅を売却し金融機関が資金を回収できるからです。金融機関にとっては、より低リスクの貸付といえます。
そのため借入限度額が高くても金利を低く設定できますし、長期間の借入も可能です。
2. リフォームローンのメリット
住宅のリフォームに使えるリフォームローンには、どのようなメリットがあるのでしょうか?代表的なメリットをチェックしましょう。
住宅ローンより審査が緩い
まず挙げられるメリットは、住宅ローンより『審査が緩い』点です。審査ではまず年齢がチェックされます。借入時の年齢が20~70歳で、完済時に80歳未満であれば問題ありません。
また2,000,000~3,000,000円の安定した収入があることもチェックポイントです。さらに勤続年数が1~2年以上あればよいでしょう。自営業であれば、2年以上継続して事業による収入があればOKです。
加えて個人信用情報に問題がなければ、審査に通過する可能性が高いでしょう。
抵当権設定費用を払わなくていい
担保を設定する住宅ローンでは、抵当権設定のための諸費用を払わなければいけません。一方リフォームローンは有担保タイプと無担保タイプを選択でき、無担保タイプであれば抵当権の設定は不要です。
数万円かかる抵当権の設定費用が不要のため、支払うのは借りた金額と利息のみです。また抵当権設定がない分、必要な書類が少ないため、手続きの手間削減にもつながります。
住宅ローンと併用できる
借入期間が最長50年となり、金利が住宅ローンに合わせた設定になる点も、一体型の特徴です。ほとんどのケースで、住宅ローンとリフォームローンを別々に契約するより低金利で借りられます。
3. リフォームローンのデメリット
審査や抵当権設定・住宅ローンの併用といった面でメリットのあるリフォームローンですが、メリットばかりではないという点も把握しておきましょう。代表的なデメリットも押さえた上で検討することが大切です。
住宅ローンより借入限度額が低い
デメリットとして代表的なのは『借入限度額の低さ』です。金融機関や収入によって異なりますが、10,000,000円程度が限度額というケースが多いでしょう。無担保タイプではさらに低く、およそ5,000,000円までになる可能性もあります。
大規模リフォームとなると10,000,000円以上かかる場合もあるため、資金が不足するかもしれません。
金利が高め
住宅ローンの金利は変動金利が0.6%前後、固定金利が2%台であるのに対し、リフォームローンの金利は『3~5%』と高めに設定されています。ほんの数%の違いであれば、大した差ではないように見えるかもしれません。
4. リフォームローンの金利は3タイプ
リフォームローンには3種類の金利があります。どのタイプにもメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴を把握して選びましょう。
変動金利型とは
『短期プライムレート』という市場金利の指標に合わせ、1年に2回金利が変わるのが『変動金利型』です。低金利が続く間は返済が進みやすい一方、金利が上昇すると返済の負担が大きくなるリスクも抱えています。
金利は年に2回変わりますが、返済額が見直されるのは5年ごとです。急激に金利が上昇すると、毎月の返済額が利息分に満たないケースも起こり得ます。返済し続けても元金が減らず、利息が増え続けてしまうのです。
変動金利型を選ぶのに向いているのは、金利の負担を減らし短期間での返済を計画している人や、金利上昇時には借り換えを検討している人です。
全期間固定金利型とは
一方『全期間固定金利型』では、ローンの返済開始から終了まで金利が変わりません。契約時に支払い額が確定するため、市場金利が上昇しても返済額は一定です。
ただし市場金利が低下した際にも返済額は変わらないため、金利低下によるメリットを受けられません。支払い額が一定になるため、長期間かけて返済する計画を立てている人に向いています。
固定金利期間選択型とは
当初は固定金利で契約し、固定金利期間終了後に変動金利へ切り替わるのが『固定金利期間選択型』です。固定金利期間終了後に再び固定金利を選択できるプランもあります。
最初の固定金利期間には金利優遇措置が設けられているケースが多く、通常より低い金利が適用されるでしょう。ただし市場金利の状況によっては、固定金利期間終了後に金利が大幅に上がる可能性があります。
返済し始めの時期に余裕を持たせたい人や、今後昇給が確定している人に適した金利タイプです。
5. リフォームローン審査の気になるポイント
借入を受けるには、審査に通過しなければいけません。リフォームローンの手順や審査基準について解説します。
審査は仮審査と本審査がある
リフォームローンの審査には、住宅ローンと同様に『仮審査』と『本審査』があります。実際に融資を受けるには、両方の審査に通過しなければいけません。
仮審査には金融機関のウェブサイトに設置されている専用フォームや、郵送で申し込みましょう。借入希望金額・返済希望期間・申込者の情報などを記入し申し込むと、3~4日を目安に審査結果を知らされます。
問題なく仮審査に通過すると、本審査用の書類が郵送されてきます。書類に必要事項を記入し、本人確認書類や源泉徴収票などの必要書類とともに返送するか、金融機関の窓口へ提出しましょう。
正式な審査結果は3営業日前後で届くのが一般的です。
重要視される審査基準は三つ
審査で重要視される基準は『完済時の年齢』『健康状態』『借入時の年齢』の3点です。この中で最も大切なのが完済時の年齢で、80歳までと定められています。完済時に80歳を超える返済計画では、審査に通過できません。
借入時の年齢も基準が決まっています。70歳以下でないと契約できない点に注意しましょう。また有担保タイプのリフォームローンでは、借入額が高額になる傾向があります。
そのため万が一のときに金融機関が資金を回収できるよう、『団体信用生命保険(団信)』への加入が義務付けられているケースが多いでしょう。団信の加入には健康状態の告知が必要です。
団信の審査に通過できないと、ローンの契約もできません。
審査に通りにくい人の特徴は
リフォームローンの審査に通過するには『勤続年数』と『年収』が、ある程度必要です。目安として勤続年数1~2年以上、年収2,000,000~3,000,000円以上でないと、審査に通過しにくいかもしれません。
また年収に対して借入希望額が高過ぎるケースでも、契約は難しいでしょう。『返済負担率』は、リフォームローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンなど他のローンと合わせた総額で計算されます。
例えば年収4,000,000円であれば、返済負担率は35~40%の設定が一般的です。1カ月120,000~130,000円までを上限に借りられます。毎月100,000円の住宅ローンを返済中であれば、リフォームローンとして借りられるのは20,000~30,000円が上限です。
希望額を借りるには、他のローンを完済しなければいけません。
6. 返済方法は主に二つ
返済の仕方にも種類があります。主な2種類について特徴を知っておけば、最適な方法の選択に役立ちます。
毎月の返済額が一定になる元利均等返済
『元利均等返済』は、リフォームローンの返済の仕方として選択する人が多い方法です。毎月の返済額が一定のため、返済計画を立てやすいのがポイントといえます。
ただし返済し始めの時期は利息分の支払いが大部分を占め、元金の減り方が少ないため、なかなか返済が進みません。利息の負担が大きくなり、総返済額が膨らむのがデメリットです。
元金残高により金利が変わる元金均等返済
元金の返済額を一定にした金額に利息をプラスして返済するのが『元金均等返済』です。元金が早く減っていくため、元利均等方式と同じ金額を同じ期間借りた場合、元金均等返済の方が総返済額を抑えられます。
ただし返済し始めの頃は、月々の返済額が大きくなりがちです。資金に余裕がない場合には負担が大きいと感じるでしょう。
7.住宅ローンとのおまとめ借り換えおすすめ3選
現在住宅ローンをすでに利用している方は、リフォーム代金を合算する形で住宅ローンの借り換えを行うことも可能です。
この場合はリフォーム代金分も住宅ローンの低金利を使うことになり、現在の住宅ローンの金利次第では、実質的にリフォームが無料でできるといったケースもあります。
例えば、A銀行で住宅ローンのみで借り換えたときに借り換えメリット額(総返済額の削減額)を300万円見込める場合、300万円程度のリフォーム代金を上乗せしてA銀行で借り換えを行っても、借り換えの前後で総返済額の差額があまり出ません。これは実質的に無料でリフォームできたことになります。
このように、実質的にお得にリフォームできる場合がありますので、現在住宅ローンを利用している方はリフォーム費用を合算しての住宅ローン借り換えを検討してみてください。
以下、リフォーム代金を合算して住宅ローン借り換えができる、低金利のおすすめ商品をチェックしてみましょう。
PayPay銀行
業界最低水準の低金利が魅力的な銀行です。手続きを簡略化できるのも特徴です。書類提出や契約手続きが、全てインターネットで完結できます。マンションでの借り換えなら、物件書類の提出は不要です。
団信のプランも充実しています。ペア連生団信の取り扱いもあります。
住信SBIネット銀行
【スゴ団信】という団信保障が手厚い人気の銀行です。一部繰り上げ返済の手数料も無料です。総返済額を減らすための繰り上げ返済を、手数料を気にせず何度でも行えます。
。全疾病保障を付帯させる場合金利の上乗せがありません。
ネット銀行の強みを生かし、金利も業界最低水準を実現しています。諸費用負担を抑えたい人や、団信の保障をより充実させたい人におすすめです。
8. リフォームローンの特徴を理解しよう
リフォームローンは住宅の修繕をする際に利用できるローンです。住宅ローンと比較して審査の難易度は低めですが、その分、借入限度額が低く、金利は高く、借入期間は短い傾向があります。
住宅に抵当権を設定する有担保タイプのほか、無担保での借入も可能です。無担保タイプの方が金融機関にとってはリスクが高いため、金利が高めに設定されます。
また中古住宅を購入しリフォームするときには、住宅ローン一体型のリフォームローンも利用可能です。加えてさまざまな金融機関から優遇金利のある商品が展開されています。
各商品の特徴を知った上で、自分に合ったリフォームローンを検討することが大切です。