1. 3人家族の生活費について
夫婦と子ども1人という3人家族では、通常どのくらいの生活費が必要なのでしょうか?平均的な生活費とともに、生活費の分類も確認します。
生活費の平均は約26万円
総務省が実施した2019年の調査によると、3人家族の平均的な生活費は『約260,000 円』でした。この生活費は住居費や自動車の購入費用のほか、贈与金・仕送り金を除いた金額です。
家賃や住宅ローン・マイカーローンなどを支払っているなら、それらをプラスします。すると1カ月に必要な費用のおおよその目安を計算可能です。
生活費は2種類に分けられる
生活費は大きく『固定費』と『変動費』に分けられます。固定費は常に同じだけかかる費用です。例えば下記の費用は固定費に分類されます。
- 住居費(家賃・住宅ローン)
- 水道光熱費の基本料金部分
- 通信費の基本料金部分
- 各種保険の保険料
- その他のローン
- 定期購入や定期支払いの費用(ジムの会費・スマホアプリの月額課金・ジムの会費など)
一方、変動費は月ごとに金額が変わる費用です。例えば食費・日用品費・娯楽費・交際費・交通費などがあります。
2. 子どもの成長と生活費の関係は
夫婦2人の暮らしから子どもが生まれ3人家族になると、生活費にはどのような変化が現れるのでしょうか?子どもの成長に伴い生活費がどのように変化するか見ていきましょう。
出産までにかかる費用
子どもは出産までにも費用がかかります。妊娠が判明すると病院に通い検診を受けなければいけません。しかし妊娠は病気ではないため、健康保険の対象外です。
公的な補助を利用しても、検診の内容によっては1回に10,000円前後かかるケースもあります。出産費用も同様です。出産育児一時金の420,000円が充当されますが、差額分は自己負担しなければいけません。
平均的な正常分娩の費用は505,759円のため、85,759円の支払いが必要です。このほかに入院準備の費用もかかります。
加えて、生まれてくる子どものベビーグッズも必要です。用意するアイテムには、肌着やおむつといった小物類はもちろん、チャイルドシートやベビーカーなど高額なものもあります。
参考:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度) P.1|公益社団法人 国民健康保険中央会
生まれたときの1年間の支出は?
内閣府の調査によると、出産後1年間に子どもにかかる費用は『930,000円』程度といわれています。内訳は下記の通りです。
- 生活用品費:222,491円
- 子どものための預貯金や保険:221,193円
- お祝いや行事の費用:159,354円
- 食費:111,126円
- 衣類・雑貨の費用:88,513円
- レジャー費用:53,375円
- 保育費:51,453円
消耗品であるミルクやおむつは定期的な購入が必要ですし、お七夜やお宮参りなどお祝いに関する費用も発生します。
0歳児ではまだ学校にかかる費用は発生しません。しかし将来必要な教育費にかかる費用の積み立てが始まっていることは、預貯金や保険に約220,000円費やしていることから推測可能でしょう。
参考:平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査報告書 P.22|内閣府
子どもの成長とともに生活費も増える
生活費は子どもの成長とともに増えていき、小学1年生では1,112,082円かかります。5年生に上がると1,200,000円台になり、中学1年生では1,500,000円台です。中学3年生の1年間では平均で1,611,802円かかっています。
ほとんどの費目で必要な費用は上がっていきますが、特に増加するのが学校外教育費です。進級や受験をきっかけに、塾や習い事にかけるお金が増えています。
またある程度子どもが大きくなると、楽しめる場所が増えることから、レジャーや旅行に関する費用も成長に従い増加傾向です。
参考:平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 P.22,23|内閣府
3. 生活費の節約はまず食費から
子どもが生まれ3人家族になると、徐々に生活費が増えていくと分かりました。そこで役立つのが節約です。まずは取り掛かりやすい食費の節約についてチェックしましょう。
食費を1週間ごとに分割する
食費の節約をするには、まず予算を『1週間』ごとに分けることです。例えば60,000円で1カ月の食費をやりくりするとしたら、まず60,000円から米代と外食費を差し引きましょう。
ここでは仮に米代5,000円、外食費10,000円とします。計算するとその他の食費に使えるのは45,000円です。4週で割ると1週間の予算は11,250円と求められます。
予算が決まったら、毎週の食費が予算内に収まるように買い物をするだけです。節約していることを意識するよりは、「どうすれば目標をクリアできるか?」とゲームのように取り組むと実践しやすいでしょう。
節約を始めたばかりはシンプルな方法が継続しやすいものです。食費のみの管理であれば、比較的成果を感じやすいでしょう。
食材はまとめ買いをする
食材の『まとめ買い』も節約のポイントです。特売に合わせて特定の食材だけ購入する方法もありますが、棚に並ぶさまざまな商品を見ているとつい無駄遣いをしてしまいます。
一度の無駄遣いはほんの数百円でも、1カ月分合わせると数千円の無駄につながることもあるでしょう。そのため買い物の回数は最小限に減らし、予算内で必要なもののみ計画的に購入します。
食品は賞味期限もあるため、目安として1週間分をまとめ買いするのがおすすめです。まとめ買いで送料無料になるネットスーパーを利用してもよいでしょう。
チラシのセール価格で購入できますし、たくさん購入すれば家まで無料で運んでもらえるため便利です。
できるだけおやつを手作りする
おやつ代も1カ月分をまとめると大きな出費です。子どもがいると10,000円以上かかることもあります。節約を意識するなら『手作りおやつ』に挑戦するのもおすすめです。
手作りといっても難しいことは必要ありません。手軽に使えるホットケーキミックスを使ってもよいですし、食べ盛りの子どもなら、好きな具を入れておにぎりを作っておいてもよいでしょう。
4. さらに生活費をうまく下げるには
さらに節約したいと考えているなら、食費以外の費目も見直しましょう。家庭によっては大きく節約できるケースもあります。
格安SIMで通信費をダウン
通信費の節約には『格安SIM』の利用を検討しましょう。MVNOは格安SIMを展開している事業者のことで、大手キャリアの回線を借りてサービスを提供しています。
大きな設備投資が不要な分、安価な通信料金でサービスの利用が可能です。そのため格安SIMを活用できれば、通信費の大幅な節約ができます。
例えば仕事に利用するため、スマホとタブレットの2台持ち、かつ大量のデータ通信が必要な場合、大手キャリアのプランでは10,000円を超える場合も珍しくありません。
一方、格安SIMであれば、SIMロックフリーの端末を用意することで料金を1台分にできます。通話をよくする人も、格安SIMの大容量プランへの切り替えで、制限を気にすることなく無料通話アプリを使用可能です。
水道光熱費を削減するコツ
水道光熱費の節約も実施しましょう。水道代の節約には『節水シャワーヘッド』が役立ちます。普段と同じように使っていても自然と水量を抑えられるため、無理なく節水可能です。
電気代の節約には『待機電力』を削減します。スイッチ付きのコンセントタップを使用すると不要な電源をすぐに落とせて便利です。
エアコンの使い方を見直すのもよいでしょう。電気は電源を入れるときに消費量が増えるため、エアコンは一定の温度でつけっぱなしにするのがお得です。夏は26度、冬は20度で長時間運転するだけなので簡単にできます。
ガス代は『都市ガス』を選ぶと低く抑えられます。物件に左右されるため、引っ越しの際によくチェックしましょう。
家賃の見直しや引っ越しも
家賃は固定費の中でも金額の大きな費用です。契約更新のタイミングで家賃の減額交渉をしてみましょう。ただし交渉を成功させるには、明確な理由がなければいけません。
周囲の同等の物件と比較して明らかに家賃が高い・物件の前に建物が建ち日当たりが極端に悪化したなどの事情があれば、交渉の余地があります。
また引っ越しを検討してもよいでしょう。現在住んでいる家の中で不要な設備や条件があるなら、それらを外して探します。地域が少し変わるだけで家賃を大幅に削減できるかもしれません。
加えて子どもの成長に合わせて、ぴったりサイズの物件を選ぶことも重要です。本当に必要な広さを選べば家賃を抑えやすくなります。
5. 効率的にお金を増やすポイント
生活費の増加に備え、お金を増やすことも重要です。ここでは効率的に貯めつつ、投資としてお金を増やせる可能性がある方法を紹介します。
天引きで貯金する仕組みを活用する
1カ月生活し余った分を貯金しようと思うと、なかなか貯まりません。手元に余裕資金があると思うと、予定していなかった出費につながりやすいからです。
そこで貯金をするなら『天引き』で貯まる仕組みを利用しましょう。勤め先の企業に財形貯蓄制度があるなら、まずはそれを活用します。貯蓄分を引かれた金額が給与として振り込まれるため、確実に貯まる方法です。
企業に財形貯蓄制度がないなら、金融機関の『自動積立貯金』を利用します。毎月同じ日に設定した金額が引き落とされるため、何もせず自動的に貯められます。
つみたてNISAを始める
『つみたてNISA』を始めるのもよいでしょう。投資にはリスクがありますが、つみたてNISAはリスクを抑えやすいのが特徴です。
毎月決まった金額を投資することで、価格が高いときには購入量が少なくなり、安いときには多くなります。その結果、自動的に投資のリスク分散が可能です。
1年間に購入できる上限金額が400,000円と決まっているため、投資に多くの資金をかけ過ぎる心配もありません。初心者が投資を始めるのにぴったりの方法です。
20年間は分配金や売買益が非課税になるのもメリットといえます。始めるときには、まず金融機関でNISA口座の開設が必要です。その口座へ積み立てた資金を使い投資信託といった金融商品を購入します。
個人向け国債で低リスク投資
できるだけリスクを低く抑えつつ投資をするなら『個人向け国債』が適しています。国債は国が資金調達のために発行する債券です。そのため国債の購入は国へお金を貸すことを意味します。
株には元本割れのリスクがありますが、国債には元本割れのリスクがほとんどありません。国が破綻する事態にならない限り、安心して購入できる金融商品です。
加えて10,000円から10,000円単位で購入できるため、まずは試してみたいという人でも手軽に利用できます。購入に手数料がかからない点も、投資初心者が利用しやすいポイントです。
6. 生活費を見直して資産作りを始めよう
3人家族の生活費は約260,000円です。ここに家賃や各種ローンをプラスした金額が、1カ月にかかります。加えて子どもにかかる費用は、成長とともに増加するという調査結果もあります。
そこでまずは節約を意識しましょう。食費や通信費・水道光熱費・家賃などを見直すことで生活費を抑えられます。同時にお金を増やす工夫も必要です。先取貯金やつみたてNISA・個人向け国債を利用し資産を形成しましょう。
子どもの成長とともに増える生活費にも、適切な資産形成で対応可能です。
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