1. 2人暮らしでかかる生活費は
同棲カップルや夫婦での生活にかかる平均的な費用を、総務省の資料を用いて解説します。
家計の見直しでは、生活費を2タイプに分けて考えた方がよいことも覚えておきましょう。
生活費は固定費と変動費に大別できる
家計を見直して節約に取り組む際は、生活費を固定費と変動費に分けて考えれば、手を付けるべき費目がより分かりやすくなります。
固定費とは期間ごとの支払い額がほぼ一定の費用です。家賃・水道光熱費・通信費・保険料・ガソリン代を除いた自動車関連費・年会費・新聞購読費などがあてはまります。
同じ期間でも使用量などに応じて変化する費用が変動費です。食費・電話代・消耗品費・ガソリン代・交際費・娯楽費・被服費などが該当します。
固定費を削減できれば継続的な節約につなげられますが、削減の困難さがネックとなります。変動費の見直しはストレスを溜めやすいものの、成功すれば大幅な節約が可能です。
支出の平均は約25万円
総務省の『家計調査報告』では、2人以上の世帯における消費支出の平均額が分かります。令和3年2月分の消費支出の平均は、1世帯あたり約250,000円です。
費目別に見ると、最も金額が多いのは約72,000円の食費です。以下、約36,000円の交通・通信費、約27,000円の水道光熱費と続きます。
この調査は2人以上の世帯を対象としているため、2人暮らしに限れば平均額はより少なくなると考えられます。250,000円を一つの目安とし、超えてしまうようなら支出を見直しましょう。
参考:家計調査報告 2021年(令和3年)2月分 P.2|総務省
2. 状況別、2人暮らしの生活費の目安
生命保険文化センターが実施した調査では、2人以上の勤労者世帯における年代別の消費支出が分かります。このデータを参考にして、2人とも働いている場合の生活費の目安を、状況別に紹介します。
20代同棲カップル
結婚を意識した20代のカップルが同棲する場合、1カ月の生活費の目安は以下のように考えるとよいでしょう。
家賃 | 90,000円 |
食費 | 40,000円 |
水道代 | 4,000円 |
電気代 | 7,000円 |
ガス代 | 4,000円 |
交際費・娯楽費 | 30,000円 |
通信費 | 20,000円 |
その他(雑費・日用品費など) | 20,000円 |
貯金 | 20,000円 |
生命保険料 | 18,000円 |
合計 | 253,000円 |
将来のことも考えて、結婚前から月々20,000円程度の貯金を意識しましょう。お互いに別々の住宅に住むより、同棲した方が1人あたりの家賃を抑えられる点もポイントです。
参考:世帯主の年代別にみた2人以上の勤労者世帯の消費支出|公益財団法人 生命保険文化センター
子どものいない30代夫婦
夫婦共働きで子どもがいない場合の、生活費のモデルケースは以下のとおりです。
家賃 | 120,000円 |
食費 | 50,000円 |
水道代 | 4,000円 |
電気代 | 7,000円 |
ガス代 | 4,000円 |
交際費・娯楽費 | 35,000円 |
通信費 | 20,000円 |
その他(雑費・日用品費など) | 30,000円 |
貯金 | 30,000円 |
生命保険料 | 22,000円 |
合計 | 322,000円 |
30代になると、ある程度健康に気を付ける必要があるでしょう。20代に比べ、食費を多めに設定しています。貯金額も月々30,000円は欲しいところです。
住宅費の理想額は、年収の2~3割とされています。30代はマイホームを検討する時期でもあるため、ローンを組む際は月々の返済額が120,000円以内に収まるようにしましょう。
参考:世帯主の年代別にみた2人以上の勤労者世帯の消費支出|公益財団法人 生命保険文化センター
老後を意識しだした40代夫婦
子どもがいない共働き夫婦なら、40代を迎えても家計に大きな変動はないでしょう。生活費の目安を以下に紹介します。
家賃 | 120,000円 |
食費 | 60,000円 |
水道代 | 4,000円 |
電気代 | 7,000円 |
ガス代 | 4,000円 |
交際費・娯楽費 | 40,000円 |
通信費 | 20,000円 |
その他(雑費・日用品費など) | 35,000円 |
貯金 | 35,000円 |
生命保険料 | 22,000円 |
合計 | 347,000円 |
30代の生活費と比較し、最も意識したいポイントは貯金です。収入に余裕がある場合や、貯金が全くない場合は、貯金額を多めに設定するとよいでしょう。
40代からの貯金は、老後資金に直結する蓄えといえます。子どもがいない分、老後に面倒を見てくれる人も少なくなるため、介護費なども考えておく必要があります。
参考:世帯主の年代別にみた2人以上の勤労者世帯の消費支出|公益財団法人 生命保険文化センター
3. 2人暮らしがうまくいく家計管理法
共働きの2人がお金のことで悩まずに生活するためには、お互いに協力しながら家計を管理するのがポイントです。生活費と貯蓄を分ける考え方や、理想の分担方法を解説します。
基本は2人で家計を管理する
2人暮らしの生活費を上手に回していくためには、お互いが家計を把握している状態を作るのが理想です。貯蓄額や収支の流れをオープンにすれば、1人で家計を管理するよりうまくいくでしょう。
それぞれが自由に使えるお金を持っている状態では、無駄遣いが発生してお金が貯まりにくくなります。どちらかに万が一のことがあっても、どこにお金があるのか分からなければ、急な出費に対応できない状況にも陥りかねません。
お互いの収入や貯蓄を洗いざらい開示し、節約や貯蓄に対する認識を共有できれば、2人で協力しながら家計を管理できます。それぞれが個別に管理している状態なら、まずは意識を変えることから始めてみましょう。
生活費の口座と貯蓄の口座を分ける
お互いの収入を効率よく家計に回す方法としては、生活費用と貯蓄用の口座を作るのがおすすめです。それぞれの給与口座から、二つの口座に毎月一定額を入金します。
貯蓄用の口座にはお互いの収入から決まった金額を先に入れ、残った分からそれぞれの小遣いを残して、生活費用の口座に入金しましょう。生活費は余裕を持って入金するのがポイントです。
貯蓄が苦手な場合は、思い切って定期預金口座を開設するのも一つの方法です。お互いの口座から、決められた金額が自動で移行されるため、貯蓄分をないものと考えられます。
金額の割り振りは、2人の収入に応じて決めるとよいでしょう。この方法を採用すれば、小遣いを確保しやすくなる上、自動で貯金できる仕組みも作れます。
共働きで理想的な生活費の分担方法は
2人暮らしにおける生活費の分け方には、分担割合を決めてお金を出し合う方法と、それぞれが負担する項目を決める方法の2パターンがあります。
分担割合を決める方法は、毎月決まった金額を出し合うため、公平性を保てる点がメリットです。ただし、お互いが自由に使えるお金を残し過ぎると、貯蓄ができなくなる恐れがあります。
それぞれが負担する項目を決める方法は、各自の努力次第で大きな節約につながる可能性があります。項目の分け方によっては、不公平感が生まれやすい点に注意が必要です。
どちらを選ぶにしても、2人できちんと話し合い、お互いが納得できる方法を選びましょう。状況に応じてルールを調節することも大切です。
4. 生活費を節約してお金を残すコツ
できるだけ多くのお金を収入から貯蓄に回したいなら、生活費を削減する必要があります。見直すことで節約につなげやすいポイントを覚えておきましょう。
食費や固定費の見直しは大前提
変動費の中でも大きな割合を占めるのが食費です。さまざまな工夫を凝らして食費を削減すれば、大幅な節約につなげられます。
例えば、使い回しがきく食材を中心に使うことで、食材が余りにくくなるでしょう。ジャガイモやキャベツなど、複数の料理を作れる食材を積極的に使うのがおすすめです。
生活費を効率よく節約するには、固定費の見直しも欠かせません。毎月一定額を出費する固定費は、一度削減できれば継続的な節約を見込めます。
固定費のうち負担割合が大きい家賃は、賃貸物件に住んでいるなら引っ越しにより削減が可能です。エアコンの温度を一定に保つように心掛ければ、節電の効果を期待できます。
趣味をお金に変える
自分の好きなことにお金がかかっているなら、趣味でお金を稼げば生活費の負担を軽減できます。無理に取り組む副業と違い、ストレスが溜まりにくい点もポイントです。
小物やアクセサリーを手作りするハンドメイドが趣味の人は、自分の作品をお金に変えられます。フリマアプリを活用すれば、販路で悩む必要もありません。
文章を書くことが好きなら、ブログ運営やライターの仕事でお金を稼ぐのも一つの方法です。コツコツと取り組めば、趣味の範囲を超えてまとまった収入を得られる可能性もあります。
本当に必要な保険を厳選する
固定費の一つである保険は、適当に選んでしまうと生活費を圧迫しかねません。保障内容をきちんと確認し、自分たちにとって本当に必要な保険を厳選することが重要です。
共働きの夫婦なら、どちらかが亡くなってもすぐに生活が苦しくなることはないでしょう。大きな死亡保障が組み込まれた保険を選ぶ必要はありません。
住宅ローンを組み団信に加入している場合も、契約者の死亡時に団信から支払われる保険金で、残りのローンを完済できます。
保険とは、万が一の際に多額のお金が必要になったときのための備えです。さまざまなケースをイメージしながら、必要な分だけまかなえる保険を選びましょう。
5. 2人暮らしでやりくりを続けるには
生活費の節約や、貯金を2人で頑張り続けるためのコツを解説します。ごほうびを設定したり、休日の過ごし方を工夫したりするのがポイントです。
たまには無理のない贅沢をする
生活費を切り詰めながら2人暮らしを続けていると、お互いにストレスが溜まりやすくなります。ストイックに頑張り続けるだけでなく、ストレスを発散できる機会も設けましょう。
無理のない範囲で贅沢をするルールを決めておけば、節約や貯蓄など本来の目標とは別の目標ができるため、よりやる気が出ます。2人で食事や旅行に行くなどのごほうびを設定するのがおすすめです。
ただし、贅沢をするルールは、事前にきちんと決めておく必要があります。『少し頑張ったから』『いつもより忙しかったから』などの理由で贅沢をすると、単なる散財につながりかねません。
休日の過ごし方を工夫する
2人で節約に取り組んでいる間は、休日もお金がかからない過ごし方を意識するのがポイントです。工夫次第で、節約しながら楽しい時間を過ごせます。
遊びに出かける場合は、ランチ代を節約するために、お弁当や飲み物を持参するのがおすすめです。自宅で昼食をとってから外出するのもよいでしょう。
お互いに体を動かすのが好きなら、お金がかからないジョギングやスポーツで楽しむ方法もあります。図書館で読書をしたり、自宅で動画や音楽を楽しんだりと、節約につながる過ごし方を見つけてみましょう。
6. 節約と消費のバランスを考えて暮らそう
2人暮らしの場合、上限250,000円を目安にやりくりできれば家計が楽になります。年代別の生活費の目安も参考に、できる範囲で節約しながら過ごすのがポイントです。
2人で家計を管理したり、生活費と貯蓄の口座を分けたりすれば、より上手にお金を扱えます。たまには贅沢もしつつ、節約と消費のバランスをうまくとりながら過ごしましょう。