1.注文住宅購入時の住宅ローンの特徴
注文住宅を住宅ローンで購入するときには、支払いのタイミングが複数回ある点に注意しましょう。また、工事費全てを住宅ローンへ組み込めない可能性がある点も考慮し、工事を発注する必要があります。
ローン実行前に複数回支払いが必要
建売住宅やマンションを購入するときには、多くの場合、既に住宅が完成している状態で購入します。住宅の引き渡しと同時にローンが実行されるタイミングで、全費用を支払えばOKです。
一方、注文住宅は土地を購入してから建物を建てます。そのため土地の手付金や仲介手数料などの諸費用、建物の工事にかかる費用などは、住宅の引き渡し前に支払うタイミングが複数回やってきます。
このタイミングでは融資がまだ実行されていないため、必要な資金を確保しておかなければいけません。
金融機関からの入金は住宅完成時
注文住宅を建てる場合、ローン実行のタイミングは『建物完成時』です。そのため融資実行前に必要な支払いは、自己資金やつなぎ融資・分割実行などで用意しなければいけません。
順調に手続きが進んでいても、資金を用意できなければ全てストップしてしまいます。ローンを組めるかどうかだけでなく、支払いのタイミングで資金を確保できるかも考えておく必要があります。
工事費全ては住宅ローンに組み込めない
工事の発注方法によっては、住宅ローンに組み込めない費用が発生する点に注意しましょう。建売住宅なら価格に含まれるものも、注文住宅では『別途工事費』として扱われる可能性があります。
例えば、地盤調査費・冷暖房工事費・外構工事費・水道やガスの給排水工事費などが代表的です。これらの費用を住宅ローンに組み込むには、住宅の建築を行う工務店やハウスメーカーに一括で依頼します。
『請負契約書』に記載されている費用であれば、住宅ローンで問題なく融資を受けられるはずです。ただし一括で依頼することにより、高額になる費用もあります。
費用を節約しようと別途工事費に分類される工事を他社へ依頼すると、住宅ローンには含められません。
2.土地購入費用の支払いタイミング
土地は高額のため、全ての費用を一括で支払うことはまずないでしょう。手付金を支払い、その後残金を支払うのが基本的な流れです。具体的にはどのようなタイミングで、何の費用を支払うのでしょうか?
売買契約締結時に手付金の支払い
まず支払いが発生するのは『売買契約締結時』です。このタイミングで『手付金』を支払います。金額は土地の購入代金に対し5~10%が一般的です。
手付金は『土地を買います』という買い手の意思を示す証拠金としての役割を持ちます。また順調に手続きが進み、無事に売買が成立すると、土地の金額と相殺され頭金としての役割も果たす費用です。
万が一、買主都合で契約をキャンセルする場合には、キャンセル料として売主に渡るため、手付金が戻ってくることはありません。
土地代金の決済
売買契約締結時に支払っているのは手付金のみです。残りの土地代金は『引き渡し直前』に全て支払います。手付金を差し引いた『残金』を、指定された口座へ振り込む方法が一般的です。
残金を一括で支払う方法のほか、中間金を支払う方法もあります。決済より早いタイミングで残金の一部を支払い、その残りを引き渡し直前に支払うケースです。
3.住宅建築に関する費用の支払いタイミング
土地の購入代金とは別に、住宅の建築費用の支払いも必要です。ローン実行前に調査や工事は始まるため、まとまった資金の確保が欠かせません。どのタイミングで資金を用意しておけばよいか、正しく把握しておくと安心です。
調査・プランニングにかかる費用
住宅はすぐに建て始めるわけではありません。まずは土地の『調査』を実施します。敷地の測量や周辺状況・地盤調査・法的な制限などの調査です。費用は5~10万円かかります。
あわせて『プランニング』も必要です。会社によってはプラン作成費を請求されるかもしれません。依頼する業者によって金額が異なるため、よく比較して会社を選びます。
工事費用は複数回に分けて支払い
調査が終了しプランが固まると、実際の工事に入ります。工事費用は複数回に分けて支払うのが一般的です。例えば『工事契約請負時』『着工時』『上棟時』『引き渡し直前』のタイミングで支払います。
契約時に10%、その他のタイミングで30%ずつ、というように支払い額が設定されます。全てのタイミングで支払えば、工事費用の支払いは完了です。
4.そのほかにかかる費用
土地や建物の代金以外にも、注文住宅を購入するには費用がかかります。仲介手数料や登記費用などの諸費用です。現金で用意しておくのが原則の費用のため、いくらぐらいかかるのかあらかじめ知っておくと資金を確保しやすくなります。
注文住宅新築にかかる諸費用
注文住宅を建てるときに必要な諸費用として代表的なものは下記の通りです。
- 地鎮祭費用
- 上棟式費用
- 設計費用
- 建築確認申請費用
- 登記費用
- 司法書士費用
- 水道加入料金
- 各種税金
これらの費用を支払うタイミングは、それぞれ異なります。ただしどの費用も原則として現金で支払う費用です。諸費用の支払いに備え、ある程度の自己資金を手元に残しておかなければいけません。
目安は10〜12%
諸費用の金額は、土地と建物の費用総額の『10~12%』が目安です。2,500万円の土地に2,000万円の建物を建てる場合、費用総額は4,500万円です。この場合450~540万円が諸費用の相場といえます。
ただしこれらの費用には、引っ越し費用・家具や家電の費用などは入っていません。引っ越しを機に新しい家具や家電に買い替えたいと考えているなら、目安の金額より多く必要になる可能性があります。
目安を考慮しつつ、何にどれだけ予算を割くか検討すると、諸費用の合計額を把握できます。
住宅ローン契約に関わる費用
住宅の購入時には住宅ローンを利用するのが一般的です。住宅ローンを契約すると、土地や建物の購入に必要な諸費用のほか、下記のような住宅ローン契約に必要な費用も発生します。
- 印紙税:金銭消費貸借契約書に添付
- 事務手数料:金融機関に支払う費用
- 登記費用・司法書士費用:抵当権設定登記を実施するための費用
- 保証料:保証会社を利用するための費用
- 団体信用生命保険料:契約者の死亡や高度障害に陥ったときにローン残高が保険金で相殺される保険
- 火災保険料:ローン契約の条件として加入する火災保険の保険料
代表的な諸費用のほか、利用するローンによってはその他の費用がかかる場合もあります。例えばフラット35では『適合証明書』の交付手数料が必要です。
5.自己資金が足りない場合の選択肢
ローンが実行される前に支払いのタイミングがやってくる費用は、原則として現金で支払います。ただし自己資金でまかないきれない場合には『つなぎ融資』や『分割実行』の利用を検討しましょう。
両者の違いを比較し、総返済額が安く収まる方を選べるとお得です。
つなぎ融資を受ける
住宅を建てるときの着工金や中間金を支払うのが難しいときには『つなぎ融資』を検討しましょう。着工金や中間金は、工事費用の30%が目安です。総費用が2,000万円であれば、1回に約600万円も支払わなければいけません。
契約時に200万円、着工金に600万円、中間金に600万円必要な場合には、ローン実行前に1,400万円用意する必要があります。この金額を自己資金のみで負担するのは大変です。
仮に負担できたとしても、諸費用の支払いに必要な資金が不足するかもしれません。ここで『つなぎ融資』を使えば、必要な資金を一時的に立て替えられます。
分割実行を利用
『分割実行』を利用できる金融機関なら、住宅ローンの実行を複数回に分けることが可能です。例えば土地の引き渡し時に1回、建物の完成時に1回というタイミングで、2回に分けて資金を受け取れます。
建物の完成より前に融資を受けられるため、ローン実行前の支払いにも対応しやすいでしょう。ただし、金融機関ごとにルールが異なる点には注意が必要です。
「どの時点の金利が適用されるのか?」「返済の始まるタイミングはいつか?」「契約は都度結ぶ必要があるか?」など、事前に金融機関の情報を集め、自分に合う借り方ができるプランを選びましょう。
つなぎ融資と分割融資を比較
自己資金が不足するときの対策として代表的なつなぎ融資と分割融資は、それぞれの特徴を比較検討して選ぶことが大切です。つなぎ融資は住宅ローンより金利が1~2%高く、総返済額が大きくなる可能性があります。
一方、分割融資は住宅ローン減税の対象です。ただし土地と建物の抵当権設定を個別に行わなければいけません。また住宅に適用される登録免許税の減税措置の対象外になる点にも注意しましょう。
どちらにもデメリットがあることに加え、金融機関ごとに契約内容の違いがあるため、どちらを選ぶとよいかは一概には判断できません。契約するプランに合わせ、総返済額を計算し、費用の安い方を選ぶとよいでしょう。
6.注文住宅は資金計画をしっかり立てよう
注文住宅を購入するときには、ローン実行前に支払いのタイミングがやってくる費用が複数あります。あらかじめ必要な費用を把握し、資金計画を立てましょう。
自己資金で費用を支払いきれない場合もあります。そのようなときには、つなぎ融資や分割融資の利用を検討するのがおすすめです。どちらがお得かはケースによって異なるため、総返済額を計算して比べる必要があります。
また土地の購入や建物の工事費用、これらに伴う諸費用、ローンの契約に必要な費用のほかにも、引っ越し費用や家具家電の買い替え費用も必要です。
どれだけ資金が必要かは家庭によって異なるため、事前に計画を立てておくと安心です。
注文住宅ではハウスメーカー等への支払いが複数になるため、分割融資に対応した銀行での住宅ローンが望ましいです。
分割融資はSBI新生銀行やりそな銀行、地方銀行などの金融機関が対応しているので、検討してみてください。
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