1.現在の住宅ローン控除を整理
住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除は、住宅購入に際し住宅ローンを借り入れた人が受けられる税控除で、年末の住宅ローン残高の1%分が10年間にわたり毎年所得税から控除されます。
年末残高の上限は原則4,000万円なので、1%分となると年間最大で40万円の控除を受けることができます。
また、所得制限があり、合計所得金額が3,000万円以下である必要があります。
適用期間は原則10年ですが、2019年に消費税が8%から10%に増税されたタイミングで、特例により13年に延長されていました。
住宅ローン控除の主な内容
・適用期間は原則10年
・住宅ローン年末残高の上限は原則4,000万円
・所得は3,000万円以下
参考:国土交通省 住宅ローン減税制度利用の要件|すまい給付金
問題点は「逆ざや」
住宅ローン控除制度では1%の税控除を受けられますが、長引く低金利によって1%以下の住宅ローン金利を使う人が増えたことで、支払う利息よりも税控除の方が上回る「逆ざや」が問題視されてきました。利息支払いよりも控除の恩恵が大きくなるため、不要な住宅ローンの利用に繋がっているとの指摘が相次いでいたのです。
また、納税額の大きい高所得者層ほど「逆ざや」の恩恵を受けやすい制度設計になっていたことも、改正の一因になったと見られます。
2.改正で住宅ローン控除はどう変わるか
住宅ローン控除の主な改正内容
住宅ローン控除は2022年度税制改正で、主に以下の内容に変わります。
・控除率を年末残高の1%から0.7%へ引き下げ
・適用期間は新築住宅で原則13年へ延長、中古住宅は10年で据え置き
・住宅ローン年末残高の上限は現在の4,000万円から3,000万円に引き下げ
・所得制限は「3,000万円以下」から「2,000万円以下」へ引き下げ
・省エネルギーや脱炭素など、住居の環境性能の高さに応じて税を優遇
その他、
といった住宅ローン控除2年目以降の手続きが簡素化される内容も盛り込まれます。
改正で控除額はどうなる?
今回の改正で、原則1年あたりの最大控除額は以下のように減少します。
住宅ローン残高 の上限 |
控除率 |
1年間の 最大控除額 |
|
改正前 |
4,000万円 |
1% |
40万円 |
改正後 |
3,000万円 |
0.7% |
21万円 |
※控除を全額享受できる十分な所得があり、認定住宅等に該当しない場合
現行の「1%、10年間」は、控除を最大限利用できるほどの納税額のある高所得層に有利な仕組みとされてきました。今回「0.7%、13年間」と改正されたことで毎年の控除が減少し高所得層が受ける恩恵は減る一方で、環境性能によっては期間が延びるため、中低所得層はトータルの控除額が増える可能性もあります。
住宅の環境性能や入居時期も要チェック
今回の改正では、省エネや脱炭素など、住宅の環境性能の高さに応じて税優遇に差が付きます。
控除の対象となる住宅ローン残高の上限は、
・長期優良住宅や低炭素住宅といった「認定住宅」で5,000万円
・太陽光発電などでエネルギー消費を実質ゼロとする「ゼロ・エネルギー・ハウス」で4,500万円
・省エネ基準に適合した住宅では4,000万円
・これらの基準に満たない住宅は3,000万円
となります。
入居する年でも差がつくため、これから新築住宅の購入を考えている人は、環境性能と入居時期を確認すると良いでしょう。
3.自分の条件と照らし合わせて確認を
住宅ローン控除制度は、2022年から内容が大きく変わります。
購入予定の住宅で控除額がどのようになるか、環境性能や入居時期と合わせて確認しましょう。
今後も住宅ローン控除は条件が変わる可能性があります。毎年のように条件が修正されている制度だからこそ、最新情報のチェックが欠かせません。
住宅ローン控除制度を含め、モゲチェックでは今後も住宅ローンに関するニュースを引き続き発信していきます。
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