1. 月々の返済金額の決まり方
住宅ローンは借入金額・金利・返済期間により、月々の返済金額が決まる仕組みです。2種類ある返済パターンのうち、どちらを選ぶかによっても異なります。
借入金額や金利で決まる
住宅ローンの月々の返済金額は、借入金額・金利・返済期間の組み合わせを考慮して決定します。
借入金額が多いほど、また金利が高いほど、返済金額は多くなるのが基本です。返済期間を長く設定すれば、月々の返済金額は少なくなります。
月々の返済金額に12を掛けた年間返済額は、借入可能額を算出する際の参考値となります。一般的に、年間返済額が年収の25%を超えるのは避けるべきでしょう。
例えば、年収600万円の場合、年間返済額の上限は6,000,000円×25%=1,500,000万円です。30年返済でローンを組みたいなら、総返済額は1,500,000万円×30年=45,000,000万円と計算できます。この金額から利子分を差し引いて、借入可能額が算出されます。
返済パターンによっても異なる
住宅ローンの返済パターンには『元利均等返済』と『元金均等返済』の2種類があり、月々の返済金額はどちらを選ぶかによっても異なります。
元利均等返済とは、毎月の返済額が完済時まで一定の返済方法です。返済が進むにつれて元金の割合を増やし、利息との合計額を一定に保ちます。
元金均等返済は、毎月の元金返済額を一定にし、借入残高に応じた利息を上乗せする返済方法です。返済開始時の返済額が最も多く、返済が進むにつれて減っていきます。
元利均等返済は、金利に変動がなければ月々の返済金額が変わらないことから、多くの住宅ローン利用者に選ばれている返済方法です。
2. 月々どれくらいの返済が必要か計算してみよう
月々の返済金額・元金・利息は、エクセルの関数を使って簡単に計算できます。金利や残債方式の仕組みも理解しておきましょう。
金利、残債方式の仕組み
金利とは、元金に対して支払う利息の割合です。金利は適用期間により年利・月利・日歩に分けられますが、一般的には年利で表示されています。
利息額を割り出す計算式は『元金額×利率×借入期間』です。ただし、分割返済の場合は『借入残高×利率×借入期間』の計算式で利息額を算出します。借入残高を基準に利息を計算する方式が『残債方式』です。
毎月の利息を計算する場合は、月利の利率を使わなければなりません。月利は年利を12で割ることで算出できます。
エクセルを使って簡単シミュレーション
月々の利息額や返済金額を手計算で求めるのは手間がかかります。元利均等返済の返済額・元金・利息額は、エクセルの関数を使って算出しましょう。
月々の返済金額は『=PMT(利率,期間,現在価値,将来価値,支払期日)』とセルに入力します。利率は月利、期間は返済期間の合計月数、現在価値は借入額です。将来価値は完済するなら0です。支払期日には、月末払いなら0、月初払いなら1を入力します。
月々の支払金額の元金分は『=PPMT(利率,期,期間,現在価値,将来価値,支払期日)』をセルに入力します。期は、返済回数の何回目なのか、その数字を記入する項目です。
月々の支払金額の利息分は『=IPMT(利率,期,期間,現在価値,将来価値,支払期日)』を入力します。
3. ボーナス併用払いの仕組みと注意点
ボーナス時に月々の返済額を増やせる、ボーナス併用払いの仕組みを解説します。メリットやデメリットもチェックしておきましょう。
月々の返済額を抑えてボーナスで補填
ボーナス併用払いとは、月々の返済と並行して、ボーナス払いが可能な月にまとまった金額を支払うタイプの返済方法です。
月々の返済額がボーナス時に増えるのではなく、毎月返済する通常のローンとボーナス時のみ返済するローンの、2本の住宅ローンを並行して進めるイメージです。
一般的に、ボーナス払いできる金額の総額は、住宅ローン総返済額の40~50%を上限に設定されています。ボーナス併用払いを利用することで、月々返済する通常ローンの総額が減るため、返済期間を短くしなければ毎月の返済額を安く抑えられます。
ボーナス分を遅れて支払うため利息が膨らむ
月々返済する方のローンでは、毎月少しずつ元金が減るため、返済が進むにつれて利息も少しずつ減っていきます。しかし、ボーナス時に返済する方のローンでは、次回の返済まで間が空くことになり、その分利息が高くなります。
ボーナス払いなしのケースに比べ、一部分の金額を遅れて返済するイメージです。その分の利息が膨らんでしまうことはデメリットといえるでしょう。
ただし、ボーナス併用払いが総返済額に与える影響は、それほど大きくありません。ボーナス併用払いを選択できる状況であれば、月々の返済額を抑えられるボーナス併用払いの方が、メリットは大きいでしょう。
4. 無理のない住宅ローン計画
月々の返済に負担をかけたくないなら、実際に返済できる金額から借入金額を決めましょう。金利に影響を与える融資率についても解説します。
実際に支払える金額から購入予算を決める
住宅の購入予算を決める際は、実際に支払える毎月の返済額から逆算して決めるのがよいでしょう。借入可能額の大まかな目安は、毎月の返済額を約340倍すると計算できます。
例えば、月々8万円支払えるのであれば、借入可能額の目安は8万円×約340=約2720万円です。
毎月の返済額を考える場合は、現在住んでいる住居にかかる家賃や積み立て貯蓄と、購入後の住居にかかる管理費や固定資産税なども考慮する必要があります。
頭金として使えるお金を把握することも重要です。頭金を増やせば毎月の返済額を減らせますが、諸費用や生活予備費に負担がかからないよう、ある程度は手元に残しておきましょう。
融資率は9割以下に抑えよう
住宅ローンの利用を検討している人の中には、住宅金融支援機構が運営する固定金利ローン『フラット35』の利用を考えている人もいるでしょう。
フラット35でローンを組む場合は、融資率に注意する必要があります。融資率とは、住宅購入価格に対する借入金額の割合です。フラット35では、融資率が9割を超えると、融資率が9割以下の場合に比べ、高い金利が適用されます。
借入金額の1割以上の頭金を用意できれば、融資率は9割以下になるため、より低い金利で利用できるのです。ほかの金融機関でも、融資率の条件が設定されている場合は注意しましょう。
5. 利息を節約したい場合
月々の返済額を考える場合、利息の高さが気になる人も多いでしょう。利息を節約するために有効な方法を紹介します。
返済期間の調整や繰り上げ返済を行う
ローン契約時の返済期間をより短く設定することで、利息を減らすことが可能です。返済期間は1年単位で短くできるため、毎月の返済額に負担がかからない程度に短縮しましょう。
返済期間を設定する際は、ライフプランを考慮することが大切です。家計に余裕があるなら長めに、リタイア時に貯蓄が増えるようなら短めに設定するとよいでしょう。
退職金などの一時金で繰り上げ返済したい場合は、『返済期間短縮型』と『返済額軽減型』の2種類から選べます。
返済期間短縮型は、毎月の返済額は変わらず期間のみ短くなるため、高い利息軽減効果を得られることがメリットです。返済額軽減型は、毎月の返済額は減らせますが、返済期間短縮型に比べ利息軽減効果は低くなります。
低金利の金融機関で借り入れ、借り換え
利息を節約する方法としては、低金利の金融機関を選ぶ方法も効果的です。金利が低い金融機関の住宅ローンなら、月々の返済額をより抑えられるでしょう。
返済中のローンが高いと感じる場合は、借り換えを行うのも一つの方法です。より金利が低いローンに借り換えれば、返済総額を大幅に減らせる可能性もあります。
ただし、現在は超低金利時代に突入しており、これ以上金利が下がる可能性は低いといえるでしょう。逆に、今後金利が上昇した場合、変動金利を選択していれば返済負担が増えることになります。
今後の金利上昇リスクも考慮し、金利の低さだけにこだわらず、総合的な視点から自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
6. 意外と膨らむ利息について事前に把握しておこう
住宅ローンの月々の返済金額は、元金と利息の合計で算出される金額です。返済期間が長いほど、また金利が高いほど、利息額は増加します。
返済期間を短くしたり、繰り上げ返済を行ったりすれば、利息を節約できるでしょう。自分に合ったローンを選ぶためには、仕組みや計算方法などをしっかりと理解しておくことが重要です。
変動金利・固定金利の違いとは?
特徴やメリット・デメリットを解説
住宅ローンの基本的な金利タイプで、年2回(4/1と10/1)見直しされることから変動金利と呼ばれています。
金利の急変動で利用者が困らないよう、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や月々の返済が25%以上増えないようにする「125%ルール」を設定している金融機関も多く存在します。固定金利に変更するオプションが付帯しており、金利上昇時には固定金利に切り替えることも可能です。
| 変動金利のメリット・デメリット
メリット:銀行間の低金利競争が激しく金利水準が低いため、月々の返済額を抑えることができます。
デメリット:将来金利が上がり、月々の返済額が増えるリスクがあります。対策として、金利が低いうちにしっかり貯蓄をして万が一の金利上昇に備えると良いでしょう。
| 5年ルール・125%ルールとは?
5年ルールとは、変動金利が上がっても月々の返済額を5年間一定とするルールです。5年ルール有りの場合、最初の5年間は変わらず、6年目から返済額が増えることになります。5年ルール無しの場合、翌月や翌々月から返済額が増えます。
金利が上がっても返済はすぐには増えず、5年間は変わらないというメリットがある一方、6年目になるまでは本来より低額での返済となり、完済時に未払利息が発生する可能性がある点がデメリットとなります。
125%ルールとは、5年ルールを適用している金融機関で返済額が増える際、今までの返済額の1.25倍を上限とするルールです。例えば従来の月々の返済が10万円の場合、返済がどれだけ増えても12.5万円が上限となります。
返済額が増えても上限値があるのがメリットとなる一方、5年ルール同様に本来よりも安く返済が進むため、予定通りに残高が減らず完済時に高額返済が必要となる可能性がある点がデメリットです。
| 変動金利の推移・相場は?
変動金利はバブル崩壊以降、ほぼ一貫して低下傾向を続けてきました。しかし2024年になって日銀のゼロ金利解除により、変動金利が遂に引き上げられることとなりました。いよいよ「金利のある世界」に突入したことになります。しかしながら、依然としてネット銀行を先頭に、変動金利が顧客獲得競争の主戦場という状況は続いています。
| 固定金利とは?
文字通り金利が変わらないのが固定金利です。フラット35のような全期間固定金利のほか、5年、10年など一定期間の金利を固定する固定期間選択型もあります。
| 固定金利のメリット・デメリット
メリット:返済額が変わらない安心感があります。変動金利より金利水準は高いものの、一定期間または全期間の返済額が変わらないため、長期の返済計画や生活設計を立てやすいことが特徴です。
デメリット:金利水準が高く、返済額が多くなります。返済中に大規模な金利上昇が起こらない限り、変動金利を使った場合に比べて固定金利を使う方が多額の返済となるでしょう。また固定期間選択型の場合、6年目や11年目など固定期間が終了するタイミングで、当初固定期間よりも高い金利に切り替わることが多いこともデメリットです。
| どんな人が変動金利・固定金利に向いている?
少しでも返済額を抑えたい方やコストパフォーマンスを重視する方には変動金利がオススメです。日本銀行の金融緩和政策や住宅ローン業界の競争激化を踏まえ、モゲチェックでは変動金利は今後も低金利が続くと予想しています。
一方、固定金利は金利や返済額が変化するリスクをなくしたい方に向いています。例えば最初の10年間が子どもの教育費がかさむ時期と重なるなど、住宅ローンの返済額が増えることをどうしても避けたい方には10年固定金利がオススメです。
| 変動金利・固定金利の利用割合
変動金利を選ぶ人の割合が年々増え続け、全体のおよそ7割とほとんどの住宅ローン利用者が変動金利を選んでいます。また、固定期間選択型は2割、全期間固定型は1割であり、年々減少しています。
(出所:独立行政法人住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」より)
| モゲチェックのオススメは?
モゲチェックでは低金利政策が長期化する可能性が高いとの見通しや、住宅ローン業界で顧客獲得競争が激しくなっていることから、変動金利では安定した低金利が続くと予想しています。
迷った方はまず変動金利から検討することをオススメします。最新情報は住宅ローンランキングでチェック!