1.来月のフラット35の金利はどうなる?
2023年3月のフラット35の金利は1.960%、フラット20の金利は1.800%と、いずれも2月から0.08%上昇すると予想します。
この予想は、フラット35を運営する住宅金融支援機構が2023年2月16日に発表した「貸付債権担保第190回住宅金融支援機構債券」(以下、機構MBS)の発行条件に基づき、モゲチェックが予想したものです。
なお、昨年10月以降フラット35金利は前例に沿わない動きが続いています。「2.最近のフラット35の異例の動きについて」で詳しく解説します。
モゲチェックでは最近の日銀の金融政策をめぐる金利市場の動向から、
・変動金利は今後も安定した低金利が続く
・固定金利は当面、高水準が続く可能性が高い
と考えています。今後も固定金利の代表格であるフラット35の動向に注目し発信していきます。
なお、変動金利が上がらないと予想する理由については、以下の記事でも解説しています。ご興味ある方はお読みください。
>>変動金利が上がらないと予想する理由は?解説記事はこちら
日銀新総裁に植田氏が就任へ。金融政策・住宅ローン金利への影響は?(2023.2)
住宅ローン変動金利はいつ何%へ上がる?2050年までの金利予想
図1 フラット35の金利推移
図2 機構MBSの発行条件とフラット金利予想
|
2023年2月 |
2023年3月 |
差 |
機構MBS利率 |
1.01% |
1.09% |
+0.08% |
対国債スプレッド |
0.59% |
0.59% |
- |
フラット35金利 |
1.88% |
1.96%(予想) |
+0.08% |
フラット20金利 |
1.72% |
1.80%(予想) |
+0.08% |
参照元:
2.最近のフラット35の動きについて
通常、フラット35の金利は機構MBSの利率によって決定されます。住宅金融支援機構が機構MBSで金融市場から資金調達し、その資金を住宅ローン利用者へのローン貸し出しに振り向けるためです。そして機構MBS利率は、長期金利(10年国債利回り)の動きに連動します。
そのため、
-
長期金利が上がり、機構MBS利率が上がると、フラット35金利が上がる
-
長期金利が下がり、機構MBS利率が下がると、フラット35金利が下がる
という動きになるのが通例です。モゲチェックではこの通例に則り、これまでフラット35の金利予想を行ってきました。
図3 フラット35と機構MBSの関係
しかし2022年10〜2023年2月はこの通例を外れる動きが続いています。
今回発表された2023年3月の機構MBS利率は0.08%の上昇でした。過去の例を踏襲し3月のフラット35も0.08%上昇と予想しますが、日銀の後任人事や新総裁体制での金融政策運営はまだまだ不透明な状況が続いていることから、実際に年が明けて3月金利が発表されるまでは不透明感の強い状況が続きます。
3.フラット35を取り巻く金融政策・日銀の状況
フラット35は「長期金利→機構MBS利率」という経路で決定されていますが、そのベースとなる長期金利は従来、「0%からプラスマイナス0.25%」の範囲での値動きとなるよう日銀がコントロールしていました。この変動許容幅を「0%からプラスマイナス0.50%」へと拡大したのが昨年12/20の日銀の政策修正であり、大きなニュースとなりました。実際にこの直後に長期金利は0.5%へと急上昇し推移しています。
図4 長期金利の動向
そしてその日銀は黒田総裁の任期が4月に満了となる予定であり、2月14日には経済学者の植田和男氏を新総裁とする人事案を政府が国会提出しました。
植田氏が今後どのような金融政策運営を行っていくかはまだ不透明であるものの、過去のインタビューからは「当面は現在の金融政策を維持するものの、将来的な金融政策修正を模索する」可能性があります。
「将来的に日銀が政策修正し長期金利が上がる可能性がある」という思惑は金利市場で今後もくすぶり続けると思われ、結果的に固定金利は高水準での推移・高止まりが続く可能性が高いと考えています。
現在は日銀の動向が世間の注目の的となっていますが、日本国内に留まらず海外の金融・経済情勢も踏まえ、今後も住宅ローン金利に関する情報を発信していきます。
>>日銀の総裁交代についての解説はこちら
日銀新総裁に植田氏が就任へ。金融政策・住宅ローン金利への影響は?(2023.2)
いかがでしたか。
モゲチェックでは今後も住宅ローンに関するニュースを引き続き発信していきます。
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