マンション売却にかかる費用一覧
マンション売却時の諸費用は、売却価格の5~7%ほどが目安といわれています。内訳は以下のとおりで、状況によっては不要なものもあります。
- 印紙税
- 登記費用
- ローン返済手数料
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
それぞれの内容と金額の目安について、以下にて解説していきましょう。
印紙税
売買契約書に貼る印紙代のことです。税額は売買契約書に記載された取引価格によって異なります。マンションに多い価格帯を抜粋すると、以下のとおり1~6万円が目安になりそうです。
- 500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円
- 1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円
- 5000万円を超え1億円以下のもの6万円
2014(平成26)年4月1日から2024(令和6)年3月31日までに作成された売買契約書に関しては軽減税率が適用され、上記の印紙税額が半分になります。詳しくは国税庁のWebサイトをご覧ください。
なお、2021(令和3)年5月19日公布の「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」により、2022(令和4)年5月18日から売買契約書や重要事項説明書など不動産取引における書面のデジタル化が可能になりました。電子書面には印紙税がかかりません。電子手続きでの書面交付を希望する場合は、不動産会社に確認してみてください。
参考:国土交通省 不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。
参考:インターネットで不動産取引が可能に!2022年改正宅地建物取引業法でオンライン化が進む!
登記費用
マンションなど不動産売却に関係する登記手続きは次の2つです。
- 抵当権抹消登記
- 所有権移転登記
物件購入にローンを利用した場合、物件には抵当権が設定されています。一般的には、売主が売却代金でローンを完済すると同時に抵当権抹消の手続きを行います。この場合の費用の目安は以下のとおりですが、すでに抵当権抹消登記が終わっている場合は不要です。
- 登録免許税:土地・建物それぞれ不動産1個につき1,000円
- 司法書士手数料:1~2万円程度
所有権移転登記は、物件の所有者を売主から買主に変更する手続きです。そして、費用は買主負担となるのが一般的ですので売主の負担が小さいケースがほとんどです。ただ、まれに折半で売主負担を希望されるケースもあります。念のため、どのくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。
- 登録免許税:取引価格×0.02%
- 司法書士手数料:3~5万円程度
ローン返済手数料
売却時にローンを一括返済する場合は、金融機関へ支払う事務手数料が発生します。目安は5,000円から2万円ほどですが、返済額の2%等の手数料がかかるケースや、残額を一括返済にした場合のみ手数料が発生する、といったケースもあります。(残額を一括返済した場合のみに手数料が発生するケースでは、「残り一回分のみ通常の引き落としがなされる形で繰り上げ返済を行う」という猛者もいらっしゃるようです。)金融機関ごとに手続き方法や料金が異なるので、事前に確認するようにしてください。
仲介手数料
仲介手数料は、宅地建物取引業法にて上限額が決められています。仲介手数料の上限額は、売買価格に応じて次の計算式で求められます。
- 200万円以下:売買価格×5%+消費税
- 200万円超400万円以下:(売買価格×4%)+2万円+消費税
- 400万円超:(売買価格×3%)+6万円+消費税
たとえば、マンションが2,000万円で売れたとしたら仲介手数料は72万6,000円です。大きな額ですよね。仲介手数料は、売却活動をサポートした不動産会社に支払う報酬です。仲介業務の内容は、広告作成やポータルサイトなどへの掲載、購入希望者の案内、条件交渉、売買契約書の作成など多岐にわたり、それにかかる人件費や交通費、事務用品費なども含まれています。
しかも、成功報酬という性質上、成約しなかった場合には不動産会社は仲介手数料を請求することができません。そう考えると、高すぎるとはいえないかもしれませんね。
仲介手数料の一部改正に関して
なお、2018(平成30)年1月1日、売主が支払う仲介手数料について一部改正が行われました。
売却価格400万円以下の物件に関しては、最大で18万円+消費税が請求される可能性があります。
増え続ける空き家問題解消を目的としたもので、すべての物件が対象になるわけではありません。もし上限いっぱいの仲介手数料が提示された場合は、根拠を確認するようにしてください。
譲渡所得税
購入時よりも高い値段でマンションが売れた場合、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は、住民税・所得税・復興特別所得税を合わせたもので、物件の所有期間によって以下のように税率が異なります。
- 5年以下(短期譲渡所得):39.63%
- 5年超(長期譲渡所得):20.315%
上記から分かるように、所有期間が5年を1日超えただけでも税率が半分近くになります。売却益が得られそうな場合は、売却のタイミングに注意してください。
計算の仕方に関しては国税庁よりご確認ください。
5年を超えるかの確認は注意が必要
不動産売却時に長期譲渡所得に当たるのか、そうでないかによって税率は半分近くなることに触れました。
それぞれの計算方法は以下になります。
- 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの
- 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの
購入時のタイミングから5年を境にするわけではないことに注意してください。
仲介手数料を抑えるには?
マンション売却にかかる費用のうち、大きな割合を占めるのが仲介手数料です。仲介手数料を抑える方法としては、次の3つの方法が考えられます。
- 個人間で売買する
- 仲介手数料が無料または半額の不動産会社を選ぶ
- 仲介手数料の値引き交渉を行う
実際に仲介手数料を抑えることができるのか、具体的に解説します。
個人間で売買する
不動産の売買には、必ず不動産会社を通さないといけないという決まりはありません。個人間での売買も可能です。その場合は不動産会社の仲介業務が発生しないため、仲介手数料もゼロになります。ただし、あまりおすすめできる方法ではありません。
不動産取引には多額の現金が動くこと、権利関係の手続きなどが複雑であることが理由です。
売主・買主双方に不動産の知識がないと大きなトラブルにつながりかねないため、避けたほうがよいでしょう。
仲介手数料が無料や半額の不動産会社を選ぶ
仲介手数料の減額をセールスポイントにする不動産会社に売却を依頼した場合はどうでしょうか。仲介手数料は成功報酬のため、どれだけ熱心に仲介業務を行ったとしても売買契約が成立しないことには発生しません。
そこで、成約の機会確保のため、つまり客寄せ目的で仲介手数料を値引きするという仕組みです。こうした不動産会社を検討する際は、次の点に注意してください。
- サービスの質
- 仲介手数料以外の費用の有無
- 仲介手数料の減額が売主に適用されるかどうか
仲介手数料は不動産会社にとっての主たる収益です。それを減らすということは、別のところでコストカットをしている可能性があります。
たとえば、宣伝広告が十分に行われていなければ購入希望者がなかなか現れず、売却は難航するでしょう。また、自社の直接の買主にだけ物件を紹介しようとする「囲い込み」を行い、他の仲介会社のエージェントが連れてくる買主に物件を紹介しない・・・という対応をしたり(「売れ残りリスク」が高くなります)、更には仲介手数料以外の名目で利益を得ようとするケースもあるため、注意してください。なお、仲介手数料無料は買主を対象とすることも多く、売主にも適用されるかどうかを確認しましょう。
仲介手数料の値引き交渉を行う
宅地建物取引業法に定められているのは仲介手数料の上限額であり、定額ではありません。つまりは値引き交渉も可能ということです。値引きを成功させるには、以下のような条件を提示しつつ交渉を進めてみてください。
- 専属専任媒介契約を締結する
- (住み替えの場合)転居先も同じ不動産会社で探してもらう
不動産会社に売却を依頼する際、まずは媒介契約を締結します。媒介契約には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があり、不動産会社にとって最も旨味があるのが専属専任媒介契約です。
また、売却と購入を同じ不動産会社に依頼すれば、不動産会社では2案件の仲介手数料を獲得できる可能性があるため、値引きに応じてくれるかもしれません。
買取の場合は仲介手数料が不要
仲介手数料を節約する方法としては、マンション買取も選択肢に含まれます。不動産会社が買主となってマンションを買い取った場合、仲介業務が発生しないため、仲介手数料もかかりません。
マンションを買い取った不動産会社は、リフォームやリノベーションを施したうえで再販を行います。そのため、室内が少々汚れていたり設備が古かったりしても、そのまま買い取ってもらえます。また、売主が見つかるまで売却できない仲介と違い、早期の現金化が可能です。
ただし、買取価格は仲介による売却に比べて低めになります。
そこで、仲介と買取どちらが自分にとってメリットがあるのか、しっかり考えることが大切です。マンションの場合は所有している間にかかる維持費も考慮すべきでしょう。誰も住んでいなくても月々の管理費や修繕積立金の支払いは続きますし、固定資産税の納税義務も発生します。
万一に備えて、火災保険や地震保険も継続しておきたいところです。こうした維持費は長期になるほど負担となり、家計を圧迫しかねません。すでに住み替え済みで空き家になっている自宅マンションや、長期間空室となっている収益用マンションなどは、買取を検討したいケースといえます。
買取価格は市場価格の6~8割程度
マンション買取の場合、価格は市場の6~8割程度になるのが一般的です。買取を行う不動産会社では、最終的に物件を再販売して利益を得ます。
そのため、その物件に需要があるか、どのくらいのリフォームやリノベーションが必要か、いくらくらいで販売できるかなどを考えながら買取価格を算出します。
つまり、より利益を出すには安く買い取る必要があるのです。
一方、売却仲介ではより高額で売れたほうが、不動産会社が受け取る仲介手数料も多額になります。そのため、売主・買主双方の条件を折り合わせながら、なるべく高く売却できるよう努力してくれます。
仲介手数料を支払ってもなるべく高く売却するか、市場価格よりも安くなるものの、仲介手数料不要の買取を選ぶかは、依頼する側の考え方次第です。
ちなみに、仲介での売却をスタートし、購入希望者が見つからない場合には買取に対応してくれる不動産会社もあります。選択肢のひとつとして覚えておくと、業者選びの際に役立つかもしれません。
複数の業者に査定依頼しよう
売却仲介・買取のどちらを選択するにしても、物件の査定は複数の業者に依頼することが大切です。査定のポイントは業者によって異なり、査定額に数百万円の差がつくこともあります。一社のみの査定では、満足のいく結果にはならないかもしれません。また、売却仲介の契約を獲得するために、市場相場よりも高い価格で売却仲介の査定金額を提示する悪質な業者もいますので注意が必要です。
インターネット上の一括査定サービスを利用すれば、複数の不動産会社に同時に査定申し込みができて便利です。最終的に依頼先を決めるときは査定額の妥当性だけでなく、実績や評判、サービス内容なども比較して、信頼できる不動産会社を選ぶようにしてください。
なお、買取はすべての不動産会社で行っているわけではありません。今のところ、買取専門の一括査定サービスは存在しないため、買取再販会社や買取業者などのキーワードで検索する必要があります。少し手間はかかりますが、なるべく多くの情報を集め、信頼できそうな買取業者を3社程度に絞って査定依頼しましょう。
なお、INVASEであれば弊社での買取金額と仲介金額の双方をお出しし売却に関してご検討頂くことができます。
マンション売却にかかる費用は売却価格の5~7%を目安に考えよう
マンション売却にかかる費用の目安は、売却価格の5~7%ほどになるのが一般的です。不動産会社に支払う仲介手数料は、諸費用のなかでも負担割合が大きくなりがちですが、条件次第で値引きに応じてくれることもあるので相談してみましょう。
不動産会社に物件を買い取ってもらう場合は仲介手数料がかかりません。(ただし、前述のように、買取価格は市場の6~8割ほどになることに注意してください。)
マンションを所有している間は維持費がかかるため、売却と買取とでは最終的にどちらがメリットが大きいかを考える必要があるでしょう。
最後に、今保有している物件がどのくらいで売却できそうか知りたい方はINVASEでは買取・仲介の両方から売却活動をお手伝いさせていただいております。
少しでも売却について検討されているのであれば無料カウンセリング売却編をご利用ください。