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不動産売却後は「ふるさと納税」で節税を!計算方法と注意点を解説

  • 最終更新日: 2024年11月27日

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ふるさと納税といえば、返礼品をもらえるお得な制度というイメージも持つ人は多いでしょう。じつは不動産売却時の税金対策にも役立ちます。ふるさと納税は寄付のはず…不動産売却とどう関係するの?と疑問に思う人もいるかもしれませんね。そこでこの記事では、不動産売却で利益が出たときにこそ有効な、ふるさと納税の賢い利用方法について解説します。

*お時間のない方へ、今保有している物件がどのくらいで売却できそうか知りたい方はINVASEでは買取・仲介の両方から売却活動をお手伝いさせていただいております。少しでも売却について検討されているのであれば無料カウンセリング売却編をご利用ください。

目次
  • 不動産売却益の節税にふるさと納税をおすすめする理由
  • 譲渡所得税がいくらになるのか計算してみよう
  • ふるさと納税の控除上限額(目安)を確認しよう
  • 上限額の違いをシミュレーションしてみよう
  • 不動産を売却する年のふるさと納税の注意点
  • ふるさと納税は所得の多い人・多いときにおすすめの節税方法

不動産売却益の節税にふるさと納税をおすすめする理由

なぜ不動産売却益の節税にふるさと納税がおすすめなのか。その理由は、所得税の課税方法やふるさと納税の仕組みにあります。

 

不動産売却時の譲渡所得は申告分離課税

所得税の課税方法は、大きく分けて次の2種類です。

 

【総合課税】

  • 対象:給与所得、事業所得など
  • 所得区分によって税率が異なる累進課税制度

総合課税は他の所得と合算して税額を計算されます

 

【分離課税】

  • 対象:退職所得、山林所得、譲渡所得(不動産、株式)など
  • 所得の種類ごとに独自の税率

分離課税は他の所得とは分けて税額を計算されます

 

上記のとおり、不動産売却時に生じる譲渡所得は、給与など他の所得と分けて税額を計算します。その結果、納める税金が通常の年よりも高額になる可能性があります

 

ふるさと納税は所得の多い人ほどお得な制度

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付をすることで税金が控除されるお得な制度です。たとえば3万円を寄付した場合、自己負担分2,000円を差し引いた残りの2万8,000円は、所得税・住民税から控除されます。

 

節税効果もさることながら、返礼品が楽しみでふるさと納税を行っている人も多いでしょう。多額の寄付に対しては、自転車やパソコンなどの高額商品を送ってくれる自治体もあります。実質2,000円の負担で手に入るのですから、かなり嬉しい制度ですよね!

 

全額控除の対象となるふるさと納税額には限度額が設けられています。所得が多いほど上限が引き上げられる仕組みです。売却益で所得が増えたときは、いつもより上限額が増える可能性があるということ。これまでは上限額オーバーが気になって申し込めなかった返礼品も、上限額引上げのタイミングならお得に入手できるかもしれません。

 

譲渡所得税がいくらになるのか計算してみよう

所有する不動産を購入したときよりも高く売れれば、その差額が売却益(譲渡所得)ということになります。ただし、税法上の計算はかなり複雑。ふるさと納税の控除上限額にも関係することなので、なるべく正確な数値を把握しておきたいところです。また、どのくらいの税金が課されるのかも気になりますよね。注意点を押さえながら、手順をおって譲渡所得税を計算してみましょう。

 

売却益(譲渡所得)を計算する

はじめに売却益(譲渡所得)を計算します。

 

【譲渡所得の計算式】

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費  - 譲渡費用

  • 取得費:購入価格に諸経費やリフォーム費用などを加え、減価償却をした額
  • 譲渡費用:仲介手数料など売却のために発生した諸費用
  • 減価償却費:建物部分のみ

 

【減価償却費(定額法)の計算式】

建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

償却率(住宅用かつ非事業用の場合)

木造:0.031

軽量鉄骨(骨格材3mm以下):0.036

軽量鉄骨(骨格材3mm超4mm以下):0.025

鉄筋コンクリート造:0.015

 

購入価格がわからない場合は、売却価格の5%として計算してください。

 

参考>>No.3258 取得費が分からないとき

 

課税譲渡所得を計算する

次に課税譲渡所得を計算します。

 

【課税譲渡所得の計算式】

課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除

 

特別控除には次のような種類があります。それぞれに適用を受けるための要件があるので、国税庁のWebサイトで確認してください。控除額が大きいため、この段階で非課税になるケースがほとんどです。その場合、所得の増加がないので、ふるさと納税の控除上限額が引き上げられることはありません

  • マイホームの売却:譲渡所得から最高3,000万円まで控除
  • 相続した家の売却:譲渡所得から最高3,000万円まで控除
  • 公共事業のための売却:譲渡所得から最高5,000万円まで控除

 

参考

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

No.3552収用等により土地建物を売ったときの特例

 

譲渡所得税額を計算する

譲渡所得による所得税の税率は、以下のとおり所有期間によって異なります。ちなみに、2013(平成25)年1月1日から2037(令和19)年12月31日までは、復興特別所得税を含む税率となっています。

  • 所有期間5年以下(短期譲渡所得):30.63%
  • 所有期間5年超(長期譲渡所得):15.315%
  • 10年超のマイホーム:10.21%

 

【譲渡所得税額の計算式】

譲渡所得税額 = 課税譲渡所得 × 税率

 

ふるさと納税の控除上限額(目安)を確認しよう

いよいよ控除上限額の確認です。ふるさと納税を行う時点では、その年の所得は確定していません。前年の所得を参考に控除上限額の目安を計算してみましょう。前年の源泉徴収票または住民税通知書をご用意ください。

 

給与や事業所得などから住民税所得割額を計算する(総合課税分)

ふるさと納税の控除上限額の基準となるのが、給与などの収入から各種控除を差し引いた所得控除後の金額です。源泉徴収票や住民税通知書に記載されているので、金額をチェックしてください。計算式は以下のとおりで、税率は全国一律10%です。

 

【住民税所得割額(総合課税分)の計算式】

住民税所得割額(総合課税分) = 所得控除後の金額 × 10%

 

不動産譲渡所得から住民税所得割額を計算する(分離課税分)

分離課税分の住民税の税率は、売却した不動産の所有期間によって異なります

 

  • 所有期間5年以下(短期譲渡所得):9%
  • 所有期間5年超(長期譲渡所得):5%
  • 10年超のマイホーム:4%

 

【住民税所得割額(分離課税分)の計算式】

住民税所得割額(分離課税分) = 課税所得 × 税率

 

上限額の目安を計算する

ふるさと納税の控除上限額を求める計算式は以下のとおり。次の段落で具体的な数値を入れて試算してみましょう。

 

【ふるさと納税の控除上限額の計算式】

控除上限額 = 個人住民税所得割額 × 0.2 ÷(0.9 - 所得税の税率 × 1.021) + 2,000円

 

個人住民税所得割額は、総合課税分と分離課税分の合計です。所得税の税率は所得によって変わるので、国税庁のWebサイトで確認してください。

 

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

 

上限額の違いをシミュレーションしてみよう

売却益の有無によってふるさと納税の上限額にどのくらいの差が出るのか、次の条件でシミュレーションしてみましょう。

 

【条件】

  • 譲渡所得:1,000万円
  • 売却物件の所有期間:7年
  • 住民税所得割額(分離課税分):1,000万円×5%=50万円

 

【年収(所得控除後の金額)500万円の場合】

  • 所得税率:20%
  • 住民税所得割額(総合課税分):500万円×10%=50万円
  • 不動産譲渡所得あり

(50万円+50万円)×20%÷(90%-20%×1.021)+ 2,000円≒28万9,400円

  • 不動産譲渡所得なし

(0円+50万円)×20%÷(90%-20%×1.021)+ 2,000円≒14万5,700円

 

【年収(所得控除後の金額)800万円の場合】

  • 所得税率:23%
  • 住民税所得割額(総合課税分):800万円×10%=80万円
  • 不動産譲渡所得あり

(50万円+80万円)×20%÷(90%-23%×1.021)+ 2,000円≒39万2,800円

  • 不動産譲渡所得なし

(0円+80万円)×20%÷(90%-23%×1.021)+ 2,000円≒24万2,500円

 

【年収(所得控除後の金額)1,000万円の場合】

  • 所得税率:33%
  • 住民税所得割額(総合課税分):1,000万円×10%=100万円
  • 不動産譲渡所得あり

(50万円+100万円)×20%÷(90%-33%×1.021)+ 2,000円≒53万4,800円

  • 不動産譲渡所得なし

(0円+100万円)×20%÷(90%-33%×1.021)+ 2,000円≒35万7,200円

 

こうして比べてみると、ふるさと納税の上限額が譲渡所得によって大幅に増加することは明らかです。せっかく利益が出たのに、税金で持っていかれるのは面白くないですよね!かといって納税義務を無視することはできません。せめてもの抵抗に、少しでも税負担を軽くするために、ふるさと納税を積極的に活用してはいかがでしょうか。

 

不動産を売却する年のふるさと納税の注意点

不動産を売却したら、その翌年に確定申告を行う必要があります。そのため、売却を検討している間のふるさと納税には、気をつけなくてはならないことがいくつか発生します。特に、会社員や公務員など確定申告をする機会が少ない人は注意してください。ここでは不動産を売却する年のふるさと納税の注意点として、以下の3点について解説します。

  • ワンストップ特例制度を利用しない
  • 提出書類はまとめて保管
  • 売却損でも確定申告は必要

 

ワンストップ特例制度を利用しない

ふるさと納税で税額控除を受ける方法に、確定申告とワンストップ特例制度があります。ワンストップ特例制度とは、控除に必要な申告の手続きの一部を寄付先の自治体が代行してくれる制度です。手続きは簡単で、ふるさと納税を行うときに「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付先の自治体に提出するだけで終わります。ただし、ワンストップ特例制度を利用できるのは次の条件を満たしている人に限られています。

  • 確定申告を行う必要がない給与所得者であること
  • ふるさと納税先の自治体が5カ所以内であること

 

確定申告の機会が少ない給与所得者にとって便利なシステムですが、不動産譲渡所得の申告や医療費控除、住宅ローン控除などの申告は確定申告が必要です。すでにワンストップ特例制度で寄付先自治体に寄付金控除申請を提出していたとしても、確定申告を行った時点で無効になってしまいます。そのため、申請済みの内容を改めて申告しなくてはならず二度手間です。確定申告が予測されるときはワンストップ特例制度の利用を控えておいたほうが、後の手続きがスムーズかもしれません。ちなみに、申請が無効になった際の寄付先自治体への連絡は不要です。

 

提出書類はまとめて保管

ふるさと納税の確定申告に必要なものは、以下の5点です。

  • 寄附金受領証明書または特定事業者の寄付証明XMLファイル
  • 通帳またはキャッシュカード(所得税の還付を受け取る口座を確認するため)
  • 印鑑
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカード関連書類

 

寄付のたびに送られてくる寄附金受領証明書は、ひとまとめにして保管しておきましょう。なお、2021(令和3)年分からe-taxで確定申告する場合、寄付証明XMLファイルの提出があれば寄附金受領証明書は不要です。確定申告時期になって慌てることのないよう、提出する書類は早めの準備をおすすめします。

 

売却損でも確定申告は必要

確定申告が必要なのは売却益が出たときだけではありません。売却損のときこそ確定申告をしないと、さらに損をしてしまいます。売却損(譲渡損失)には損益通算が認められていて、損失がその年の所得と相殺できるため、所得税・住民税が減額あるいは非課税になります。その年の所得で相殺しきれない場合には、翌年以降最長3年間にわたり損失を繰り越して控除することが可能です。これを譲渡損失の繰越控除といい、適用には確定申告が必要です。

 

先述のとおり、確定申告をするとワンストップ特例制度での寄付金控除申請は無効になります。改めての申告が必要になり手間がかかるので、売却を検討している間はワンストップ特例制度の利用を控えるのが無難です。

 

ふるさと納税は所得の多い人・多いときにおすすめの節税方法

ふるさと納税が全額控除対象になる金額には、所得に応じた上限額が設けられています。上限を超えた部分は控除の対象にはならないので、限度内に収めるのが一般的です。マイホームなどを売って売却益が出たときは所得が増え、上限額が引き上げられる可能性があります。

そのタイミングを狙ったふるさと納税は、高級食材や家電など気になっていた返礼品をもらえるチャンスです。もちろん上限額の範囲内なら、自己負担2,000円のみ、残り全額が所得税や住民税から控除されます。所得の多い人・多いときには特におすすめの節税方法といえるでしょう。

最後に、今保有している物件がどのくらいで売却できそうか知りたい方はINVASEでは買取・仲介の両方から売却活動をお手伝いさせていただいております。

少しでも売却について検討されているのであれば無料カウンセリング売却編をご利用ください。

 

 

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WRITER

著者: INVASEメディア編集部

株式会社MFS

 

INVASEはモゲチェックの姉妹サービスです。不動産投資のサービスを展開しており、お客様の状況に合わせた様々なサービスを提供しています。 INVASEメディア編集部では、「お客様の状況に合わせ、より最適な不動産投資の環境をご提供」をモットーに、不動産投資家にとって役立つコンテンツを提供しています。コンテンツはINVASEメディア編集部、執行役員渕ノ上とマーケティングマネージャー池田が担当しております。

SUPERVISOR
supervisor

中山田 明

株式会社MFS代表取締役CEO

プロフィール

外資系投資銀行で日本初の住宅ローン証券化を手掛け、その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事してきた、日本における住宅ローンファイナンスのプロフェッショナル。フラット35を取り扱うSBIモーゲージ(現:SBIアルヒ株式会社)ではCFOを歴任。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくMFSを創業。「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」世界の実現を目指す。

趣味は登山で、テントを背負って槍ヶ岳や剱岳、海外ではキリマンジャロやキナバル山に登頂。

経歴

  • 1991年3月 東京大学経済学部学部 卒業
  • 1991年4月〜 三井物産株式会社 入社
  • 1993年7月〜 モルガン・スタンレー、ベア・スターンズなど外資系投資銀行を歴任
  • 2000年8月〜 株式会社新生銀行(現:SBI新生銀行)キャピタルマーケッツ部部長
  • 2011年8月〜 SBIモーゲージ株式会社(現:SBIアルヒ株式会社)CFO
  • 2014年10月〜株式会社MFS創業

主な保有資格

貸金業務取扱主任者

登壇実績

  • 2021年9月 金融DXサミット(日本経済新聞主催)等 登壇実績多数
bg
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