売却活動を始める前に期限や目標を明確にしよう
不動産会社に仲介を依頼して買主を探す場合は、次のような流れで進みます。
- 査定依頼
- 売却依頼(媒介契約締結)
- 広告・販売活動
- 買受申込
- 契約条件の調整
- 不動産売買契約締結
- 決済・引渡し
販売活動を始めてから物件引渡しまでの期間は通常3ヶ月ほど、なかには半年から1年ほどかかるケースもあります。そのため、いつまでに売りたいといった期限を明確にしておくことが大切です。ローン返済中の場合は、完済できるだけの価格で売却するなどの目標も明確にしておく必要があります。期限や目標を決めることで、売却の方法も変わってくるためです。
もし事情があって早く現金化したい場合は、買取という方法も検討するとよいでしょう。買取では上記2~4をスキップできるので、スピーディーな売却が可能です。仲介と買取、それぞれの違いについては後ほど詳しく説明します。
査定は必ず複数業者に依頼しよう
不動産の売却価格は売主が自由に決めることができます。だからと言って、やたらと高額な設定では購入希望者はいつまで待っても現れません。あなたにとっては思い出のつまった大切なマイホームでも、市場に出れば数ある中古住宅のひとつです。立地や築年数、間取り、設備など、さまざまな要素から適正な価格を算出する必要があります。その適正価格を調べる方法が、不動産会社による査定です。
仲介にしろ買取にしろ、査定は複数業者への依頼が基本です。同じ物件でもA社は2,000万円、B社は1,800万円、C社は2,300万円といったように、査定額に数百万円の開きが出ることも珍しくありません。なぜ差があるのかといえば、不動産会社によって得意なエリアや分野、評価方法などが異なるためです。
近年は、インターネット上の不動産一括査定サービスを利用するのが一般的となっています。一回の入力で複数の不動産会社に情報が送られるため、個別に申し込むのと違って手間がありません。申し込みから数日程度で各社から査定結果のメールが届きます。
ただし、ここで得られる査定額は、取引事例などのデータから算出したざっくりとした金額です。より具体的な査定額を知りたい場合は、訪問査定が必要になります。
訪問査定では建物や室内の状況、間取り、日当たりなどを確認して査定額を算出します。この際も一社だけでなく複数業者へ依頼することが大切です、ただし、あまりに数が多いと日程調整や対応が大変になるので、一括査定の結果から気に入った業者を3社ほどに絞り込むとよいでしょう。
仲介と買取の違い
仲介と買取では不動産会社の役割が違います。仲介では買主を見つけるサポートを行うのに対し、買取では不動産会社自身が買主です。不動産会社が関わるという点では同じですが、仲介業務を行わないため、仲介手数料は発生しません。不動産を買い取った不動産会社は、リフォームやリノベーションなどを施したうえで自身が売主となって販売します。
なお、一般的な不動産会社では仲介のみを取り扱うことが多く、買取再販に対応する業者はそれほど多くありません。買取OKと言いながら、実際は買取業者との仲介を行うケースもあります。その場合は仲介手数料が発生するので注意してください。
一括査定サービスには、仲介以外に買取を希望するかどうかの設問も用意されています。仲介か買取かで悩む場合は、両方に対応する不動産会社を選ぶようにしてください。買取保証といって、仲介で買い手が見つからなかった場合に買取に切り替える制度を取り入れている不動産会社もあります。
満足のいく売却にするために、不動産会社には遠慮なく相談することをおすすめします。
仲介のメリット
仲介を利用するメリットは、主に次の3点です。
- 適正価格で売却できる
- 高く売るためのアドバイスが受けられる
- 売却活動のすべてをサポートしてくれる
それぞれ解説します。
適正価格で売却できる
先述のとおり、売却価格は基本的には売主が決めるものです。とはいえ、売却しようとしている不動産にどのくらいの価値があるのか、すぐには分かりませんよね。安く見積もってしまえば損をしますし、高すぎれば売れない可能性があります。
その点、不動産会社に査定をしてもらえば相場がわかるため、適正価格で市場に出すことができます。
高く売るためのアドバイスが受けられる
浴室やトイレなど水回り設備の交換を済ませている場合、状態の良い物件として高めの査定額がつくことが多いようです。ただし、売却のためだけのリフォームはおすすめできません。かかった費用を回収できるだけの金額で売れるとは限らないためです。とはいえ、少しでも高く売るにはイメージアップが必要です。
訪問査定を利用して、高く売るためにやるべきことを尋ねてみるとよいでしょう。ハウスクリーニングなど、あまり費用をかけずに印象をアップする方法があるはずです。その結果、査定額よりも高い価格で売却できるかもしれません。
売却活動のほとんどをサポートしてくれる
広告、内見希望の調整、購入希望者との条件交渉、契約締結の準備など、売却活動のほとんどは仲介を依頼した不動産会社が行います。実は、法律には不動産を売却する際には必ず不動産会社を通さなくてはならないといった定めはなく、個人間の取引も可能です。
しかしながら、高額な現金をやりとりする不動産取引は慎重な行動が求められます。専門的な知識も必要で個人間取引ではトラブルが発生しがちなため、不動産会社の仲介に頼るのが一般的です。
仲介のデメリット
仲介での売却には次のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 仲介手数料がかかる
- 成約までに時間がかかる
どのような点に注意すべきか、以下にて解説します。
仲介手数料がかかる
成約に導いてくれた不動産会社への報酬として、売却価格に応じた仲介手数料が発生します。上限額は以下のとおり宅地建物取引業法で決められていて、これ以上の額を請求されることはありません。
仲介手数料の上限(取引額が400万円を超える場合):物件価格の3%+6万+消費税
たとえば3,000万円で売却できた場合は、上限96万円+消費税を仲介手数料として不動産会社に支払うことになります。契約時と引渡し時(決済時)の2回に分けるのが通例となっていますが、現金での支払いとなるため、手持ち資金がない場合には注意が必要です。
成約までに時間がかかる
不動産は売りたいと思ってすぐに売れるものではありません。先述のとおり、引渡し・決済に至るまでいくつものステップがあり、スムーズに進んだとしても2~3ヶ月かかるのが一般的です。すでに住み替えて空き家になっていたとしても、所有している間は維持費がかかります。特に、売却代金でローン完済を予定している場合は要注意です。
売却までのローン返済と新居のローンや家賃が重なり、家計への負担が重くなります。こうしたことからも、売却活動は期限や目標を決めることが重要だとお分かりいただけるでしょう。
買取のメリット
買取のメリットとしては、主に以下の3点があげられます。
- 仲介手数料が不要
- 瑕疵担保責任がない
- 早く現金化できる
それぞれ解説します。
仲介手数料が不要
買取の場合は不動産会社が買主となるので、仲介業務が発生しません。そのため、仲介手数料も無料となります。ただし先述のように、買取に対応していない不動産会社が買取業者を紹介するようなケースでは仲介手数料が発生することに注意してください。買取を行っている不動産会社は数が限られていますが、一括査定サービスを利用すれば簡単に見つかります。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)がない
通常の不動産売買では、物件引渡し後に欠陥や不具合などの瑕疵が見つかった場合、売主がその修繕責任を負います。買取の場合、不動産会社が買主であることや、リフォーム・リノベーションを前提とした購入であることから、売主側の瑕疵担保責任は免責となるのが一般的です。
早く現金化できる
仲介による売買と違い、買取では広告を出して購入希望者を募る手間がありません。買主となる不動産会社と条件面で折り合えば、すぐに売買契約締結・決済へとスムーズに進みます。多くは1ヶ月以内で完了するので、早く現金化したい場合におすすめの方法です。
買取のデメリット
買取のメリットを紹介しましたが、一方で次のようなデメリットがあることにも注意してください。
- 仲介での売却よりも価格が下がる
- 物件によっては買取不可のケースも
それぞれ以下にて解説します。
仲介での売却よりも価格が下がる
物件を買い取った不動産会社では、リフォームやリノベーションによって付加価値をつけ、相場に近い金額で再販を行います。販売できる状態にするまでコストがかかるため、買取価格は相場よりも低い金額になるのが一般的です。目安は相場の70%ほどですが、築年数や状態によってはそれよりも低くなるケースもありますし、高く買い取ってもらえるケースもあります。まずは査定で確認しましょう。
物件によっては買取不可のケースも
築年数がかなり古い物件や事故物件など、仲介では買い手がつきにくい物件でも、買取なら引き取ってもらえる可能性があります。ただし、再販が難しいと判断されて買取を断られるケースもあるので注意してください。たとえば、再建築不可の物件、需要が少ない僻地の物件、老朽化が激しくて修繕コストがかかりすぎる物件などです。しかしながら、買取不可の基準は不動産会社によって異なるため、諦めずに複数業者に相談することをおすすめします。
媒介契約は3種類!その違いとは?
仲介を依頼したい不動産会社が決まったら、まず媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3種類があり、どれを選ぶかは売主の自由です。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの違いや注意点について、簡単に説明します。
一般媒介契約
一般媒介契約では複数業者との契約ができるため、より多くの購入希望者に出会える可能性があります。自分で買主を見つけて個人間取引をすることも可能です。その場合、仲介手数料は発生しませんが、仲介業務に要した費用を請求されることがあります。また、依頼先を公表する明示型の一般媒介契約では、公表していない不動産会社で成約した際に他社から営業経費を請求されることがあるので注意してください。
専任媒介契約
専任媒介契約では、契約締結の翌日から7日以内にレインズ(不動産流通標準情報システム)への登録が義務付けられているため、物件情報のスピーディーな拡散が期待できます。また、売主に対して2週間に1回以上の状況報告が義務付けられているので、販売状況を把握したい人におすすめです。
専任媒介は一社のみとの契約となり、他社への依頼はできません。もし他社で成約した場合は、違約金が請求されるので注意してください。個人間取引は可能ですが、先述のとおり経費の支払いが発生する可能性があることは覚えておきましょう。
専属専任媒介契約
レインズへの登録は契約締結の翌日から5日以内、売主への報告は1週間に1回以上と、不動産会社に課される義務は専任媒介よりも重くなります。売主への制約も厳しくなり、他社への依頼はもちろん個人間取引もできません。それだけに、熱意をもって販売活動にあたってくれることが期待できます。信頼できる不動産会社に売却を任せたいという人におすすめです。
不動産売却では期限や目標を明確にすることが大切
早く売りたいのか、高く売りたいのか。それによって選ぶべき売却方法が変わってきます。仲介では希望に近い価格で売れる可能性が高いものの、成約までに3ヶ月以上の日数がかかります。買取では相場より安い金額になりますが、1ヶ月程度での現金化が可能です。どちらも選びかねるという場合は、期限を決めて仲介から買取に切り替えるという手もあります。売却をスムーズに進めるために、まずは期限や目標を明確にするところから始めることが大切です。
最後に、今保有している物件がどのくらいで売却できそうか知りたい方はINVASEでは買取・仲介の両方から売却活動をお手伝いさせていただいております。
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