キャッシュフローとは
キャッシュフローとは現金の流れのことをいいます。一定期間内の収入と支出の動きそのものを指すこともありますし、収入から支出を差し引いた残りの金額のことを表すこともあります。キャッシュフローが把握できていないと健全な経営ができません。
たとえば、入金日が1~2カ月先の取引では、どれだけ売上をあげようとも現金が手元に入るまでに期間があり、その間は手持ちの資金でやりくりすることになります。手持ちの資金が枯渇すれば黒字倒産にもなりかねません。
身近なものでたとえると、家計簿を考えるとわかりやすいのではないでしょうか。給料がいついくら入るのか、家賃や通信費などの固定費をいくら支払うのか、食費などの変動費にいくらぐらいかかるのか、最終的に手元にどのくらいの現金が残るのか。こうしたことを考えるのがキャッシュフローです。
不動産投資においてのキャッシュフローとは
不動産投資においてのキャッシュフローは家賃収入と経費の差を意味します。賃貸経営で大切なことは、安定した家賃が得られること、家賃のなかで経費をまかなえることです。そのうえで手元に残る現金をどれだけ多くするかを考えていかなくてはなりません。
キャッシュフローが重要視される理由
不動産投資でキャッシュフローが重要視される理由として、主に次の2つがあげられます。
- 事業継続
- 事業拡大
それぞれを具体的に解説します。
事業継続
投資用物件の購入には不動産投資ローンを利用し、家賃収入のなかから返済していくのが不動産投資の一般的なやり方です。しかしながら、運用中には入居者がつかず空室となったり滞納があったりして、家賃収入がゼロになることも起こりえます。その場合には、手持ち資金をローンの返済に充てるしかありません。
十分な手持ち資金がなければ自己資金を充てることになり、生活費にも影響します。また、給湯器やエアコンなど住宅設備の故障により、突発的な修繕が必要になることもあります。投資用物件の修繕はオーナーの責任で行わなくてはなりません。この際にも十分な資金がなければ自己資金から捻出することになるでしょう。
資金繰りが苦しくなれば物件を手放すしかありません。つまり、投資の失敗を意味します。
事業拡大
少しずつ物件数を増やし、最終的には家賃収入だけで生計をたてたいと考えている人も多いでしょう。月々のキャッシュフローがプラスであり手元に十分な現金が残れば、それを元手にして次の物件を購入することも可能です。
不動産投資の魅力のひとつは、少ない資金で資産を殖やせること、いわゆるレバレッジ効果を活かせることです。
ワンルームマンション1室から物件を増やしていき、1棟アパートやマンションのオーナーになることも夢ではありません。
キャッシュフローの計算方法
キャッシュフローの計算方法は次のとおりです。
- 家賃収入-(ローン返済+経費)
不動産投資で経費として認められる費用項目には次のようなものがあります。
- 固定資産税などの税金
- ローンの金利
- 管理委託費
- 火災保険などの保険料
- 修繕費
- 管理費、修繕積立金(マンションの場合)
- 司法書士や税理士への報酬
- 仲介手数料
- 不動産事業にかかった費用(交際費、通信費など)
運用中の物件について計算する際は、ローンの金利が経費に含まれていることに注意してください。計算式のローン返済部分には元本のみの金額を入れるか、経費からローンの金利を除外して、二重にならないようにして算出しましょう。
購入検討中の物件についてはすべてが未定ではありますが、想定家賃から次の割合でローン返済と経費を算出し、計算してみてください。キャッシュフローの目安を知ることができます。
物件の収益性をチェックするには
キャッシュフローがプラスになる物件が必ずしも収益性が高いというわけではありません。収益性を判断するには、次の2つの指標を参考にしてください。
- 利回り
- イールドギャップ
それぞれどういったものかを解説します。
利回り
利回りは物件情報などにも記載されているため、ご存じの人も多いでしょう。投資の世界では、投資金額に対して年間にどれくらいの利益が得られるかを割合で示したものです。不動産投資における利回りには表面利回りと実質利回りの2種類があり、物件情報に記載されるのは表面利回りのほうです。
イールドギャップ
イールドギャップとは投資利回りと長期金利の差を示す割合です。不動産投資の場合、同じ利回りならローンの金利が低いほうが、反対にローン金利が同じなら利回りの高いほうが投資効率が高く、レバレッジ効果が大きいと判断されます。
平均はどれくらい?パターン別の目安
不動産投資における利回りの平均値はどの程度なのでしょうか。表面利回りについて言うと、平均値としての目安は5%前後となります。
もちろん、利回りの相場は立地や築年数、物件種別などによっても変わります。都会と地方を比べた場合、利回りは地方の方が高めです。
都心のワンルームマンションやアパートであれば表面利回りの相場は5%前後、最低ラインは3%、理想ラインは7%前後と見ておきましょう。
地方のマンションやアパートは、利回りが10%を超えるケースも少なくありません。ただし、空室リスクが都会よりも高いため、相場の利回りだけで判断しないのが賢明です。
フルローンだとどうなる?
フルローンで物件を購入する場合、利回りにどのように影響するでしょうか。フルローンで購入することによって利回り自体が上がることはありませんが、運用期間中の空室時のリスク度合いや自己資金利回りを確認するようにしましょう。
例えば表面利回り5%、金利1.9%、物件価格2,000万円の中古区分マンションをフルローンで購入する場合と頭金を200万円入れた場合で月々の返済額を比較すると以下になります。
- フルローンの場合の月々返済額:65,229円
- 頭金200万円の場合の月々返済額:58,706円
月々返済の差は6,523円となります。
物件価格が大きくなるほど月々返済額の差は大きくなること、また空室時の自己負担も大きくなるため自己資金を当てておくことで借入金額を下げておくことは一つの戦略になります。
頭金を入れた場合は自己資金利回りを確認する
頭金を入れている場合には、入れた頭金に対して年間どの程度の利益が出ているかも確認するようにしましょう。
先程の事例でいうと年間の期待家賃収入は100万円(2,000万円×5%)となります。そのうちローン返済や管理費などの費用を差し引いた利益が10万円だとすると、頭金200万円を入れた場合の自己資金利回りは以下になります。
自己資金利回り=10万円/200万円=5%
つまり、自己資金を回収するために20年必要になるということです。
物件規模や利回りによって自己資金利回りが数十%を超えることもありますので頭金を入れるかどうかは何年で回収できるかを見越して検討しましょう。
ただし、一棟物件ではそもそも頭金17〜27%(諸費用込み)で必要になるケースが多いため一棟物件の場合には頭金を入れる前提でシミュレーションをするようにしましょう。
利回りの計算方法
表面利回りと実質利回り、それぞれの計算方法は以下のとおりです。
- 表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
- 実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100
計算式からもわかるように、表面利回りには経費などの支出が反映されません。より実態に近い利回りを算出するには、実質利回りでの計算が必要です。
しかしながら、物件を購入する前に実質利回りを算出するのは難しいため、物件選びの際には表面利回りを参考にするとよいでしょう。表面利回りの相場は新築か中古か、さらに都市部か地方かで異なります。次の数値を参考にしてみてください。
- 新築:都市部3~4%、地方6~7%
- 中古:都市部7~8%、地方10%程度
マンション投資の利回り相場に関して解説した記事もありますので気になる方はご覧ください。
>>マンション投資の利回りの相場とは?気をつけたい高利回りの落とし穴
イールドギャップの計算方法
イールドギャップは次のようにして算出します。
・ イールドギャップ(%)=利回り-ローン金利
より正確に収益性を図るには実質利回りで計算したいところですが、実質利回りがわからない場合には表面利回りで計算しても構いません。ただし、中古物件は新築物件に比べて表面利回りが高めになることに注意してください。中古物件は比較的安く購入できるため表面利回りは高くなるものの、新築と違って修繕費などのコストがかかります。表面利回りで計算する場合は3~4%ほど、実質利回りで計算する場合は1~2%ほどをイールドギャップの目安と考えるとよいでしょう。
次のような条件でシミュレーションしてみましょう。
- 物件価格:2,000万円
- 購入時諸費用:200万円
- 年間家賃収入:150万円
- 年間経費(ローン返済含む):60万円
- ローン金利:2%
この場合の表面利回りと実質利回り、それぞれのイールドギャップは以下のようになります。
- 表面利回り:150万円÷2,000万円×100=7.5%
イールドギャップ:7.5%-2%=5.5%
- 実質利回り:(150万円-60万円)÷(2,000万円+200万円)×100=約4.1%
イールドギャップ:4.1%-2%=2.1%
キャッシュフローのマイナスをプラスにするには
購入を予定している物件のキャッシュフローがマイナスだったとしたらどうしますか。購入をやめて他の物件を探すのが手っ取り早い方法ですが、すでに手付金を入れているなど契約に向けて話が進んでる場合はそう簡単ではありません。マイナスのキャッシュフローを少しでもプラスにするために、購入前にできる方法として次の3つがあります。
- 頭金を多めに入れる
- 金利の低いローンを利用する
- 入居率の高い管理会社を選ぶ
キャッシュフローを大きくするには、収入となる家賃を高めに設定するか、支出となる経費を抑える必要があります。ただし、家賃を高めに設定して入居者がつかなければ家賃収入は得られません。そこで、なるべく経費を抑える努力をしましょう。
頭金を多めに入れて借入額を少なくすることや、より金利の低いローンを利用することなどで毎月の返済負担が軽減できるとともに経費も抑えられます。もし現時点で高い金利で借り入れしている場合には、借り換えによって金利を下げることもローン期間の見直しをすることも可能です。
また、もしこれから不動産投資を検討している方は不動産投資ローンの金利水準についても予め知っておくと良いでしょう。下記記事に詳しくまとめていますので気になる方はご覧下さい。
参考>>不動産投資ローンはどの銀行がオススメ?金利や審査基準を比較
また、空室リスクを防ぐために、入居率の高い管理会社に管理業務を委託するのも有効です。1年でも入居期間を長くできるように入居者のためにできることを行い空室にしない工夫を実践するとともに、更新や空室で募集する際に家賃を安易に下げないようにすることでキャッシュフローを維持していくことができます。
キャッシュフローがマイナスにならない物件を購入する
そもそも運用をする前からマイナスキャッシュフローの物件を購入しないことも一つの手です。例えば、新築物件と中古物件を比較すると新築物件の方が価格が高くなり利回りも低くなってしまいます。結果的にキャッシュフローがマイナスもしくはプラスマイナスゼロとなる傾向にあります。
もちろん新築物件であっても頭金を多く入れる、もしくは繰り上げ返済によってキャッシュフローの改善をすることはできますが、今後の事業拡大を見越してどのように運用するかを検討しておくと良いでしょう。
中古物件はローン条件に注意する
中古物件の場合は、築年数によってローンの年数が大きく変わります。物件ごとの法定耐用年数は、こちらです。
- 木造:22年
- 鉄骨造(厚さ3mm以下):19年
- 鉄骨造(厚さ3~4mm以下):27年
- 鉄骨造(厚さ4mm超):34年
- 鉄筋コンクリート/鉄筋鉄骨コンクリート造(RC):47年
国税庁のWebサイトでも確認するようにしてください。
銀行ごとに築年数と不動産投資ローンの期間については考え方が異なります。また昭和56年の1981年以前か以後によって耐震基準も変わります。1981年以前の物件ですと旧耐震物件になるため期間はおろか、不動産投資ローン活用のハードルも大きく上がります。
一方で例えばRC造りで築37年の物件ですと耐用年数が残り10年になるため不動産投資ローンで35年借り入れすることも難しくなるでしょう。
中古物件でも、特に築古物件は表面利回りが高くなる事が多いですが、その分不動産投資ローンの金利が上がり、貸出期間も短くなることからキャッシュフローの悪化が起こり得ることからローン条件に注意しましょう。
まとめ 安定したプラスのキャッシュフローを保つことが大切
今回は、キャッシュフローの意味や重要性、計算方法などについて解説しました。
キャッシュフローは投資が順調かどうかを確認するための数値です。プラスのキャッシュフローがキープできれば安心して賃貸経営が継続できますし、不動産投資事業の規模を拡大していくこともできます。反対にマイナスが続くようであれば、早めにプラスに転換させる必要があります。マイナスを補うために自己資金を充てるようでは、いずれは自身の生活にも影響します。月々のキャッシュフローを把握し、より多くの現金を残せる運用方法を考えていきましょう。
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