住宅ローンはいくら借りられる?借入できる限度額
住宅ローンの借入では、借りられる金額には上限があり、この限度額は商品によって定められています。一般的な民間金融機関で1億円、フラット35では8,000万円が限度額です。その限度額の範囲内で、金融機関は年齢や年収、その他の条件を参考に借入可能額が決まります。
金融機関の審査基準によっても異なりますが、住宅ローンの借入可能額は年収の約7倍までが目安です。日本住宅支援機構「フラット35利用者調査」(2023年度)では、新築住宅の購入金額は年収の7倍程度となっています。また、新築住宅を購入する20~40代の人の多くは、購入金額の大部分を住宅ローンで準備していることから、住宅ローンの借入可能額を目安を7倍と考えるのは、住宅購入の実態に即しているとも言えます。
住宅種類別|年収に対する住宅ローンの借り入れ目安
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」(2023年度)では、長期固定金利が特徴のフラット35を利用した人の動向が集計されています。
住宅の購入における所要資金は新築マンションの5,245万円が最も高く、次いで土地付新築注文住宅となりました。新築の注文住宅・建売住宅は3,000万円台後半で、新築住宅の平均年収倍率は7倍前後になっています。
中古住宅の所要資金は2,500万~3,000万円程度で、平均年収倍率は6倍未満となりました。そのため、中古住宅は新築住宅と比べると手が届きやすくなっています。
なお、約60~80%が住宅ローンによって資金調達されています。
住宅の種類 |
所要資金 |
平均年収倍率 |
土地付新築注文住宅 |
4,903万円 |
7.6倍 |
新築マンション |
5,245万円 |
7.2倍 |
新築注文住宅 |
3,863万円 |
7.0倍 |
新築建売住宅 |
3,603万円 |
6.6倍 |
中古マンション |
3,037万円 |
5.6倍 |
中古戸建 |
2,536万円 |
5.3倍 |
年収に対する住宅ローンの返済負担率
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査」(2023年10月調査)では、住宅購入者がどれくらいの返済負担率で住宅ローンを利用しているかが調査されました。返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を意味する言葉であり、余裕をもって返済できる返済負担率は25%程度と言われています。
最新のデータでは、変動金利型・固定期間選択型・全期間固定型のすべての金利タイプの利用者で、返済負担率が「15%超20%以内」の利用者が最も多く、10%から25%の範囲の人が約60%を占めており、多くの人が無理なく返済できる返済計画を立てていると言えるでしょう。
返済負担率 |
変動金利型 |
固定期間選択型 |
全期間固定型 |
10%以内 |
10.9% |
9.5% |
13.0% |
10%超15%以内 |
21.4% |
23.0% |
15.7% |
15%超20%以内 |
25.0% |
23.7% |
22.2% |
20%超25%以内 |
20.2% |
21.5% |
15.7% |
25%超30%以内 |
9.8% |
10.6% |
14.8% |
30%超35%以内 |
7.4% |
5.8% |
9.3% |
35%超40%以内 |
3.6% |
4.0% |
5.6% |
40%超 |
1.6% |
1.8% |
3.7% |
返済負担率が25%を超える人に注目してみると、変動金利型・固定期間選択型は約20%であるのに対して、全期間固定型を選んだ人では30%以上を占めています。返済負担率が高い人ほど長期的な金利上昇によるリスクが大きいため、金利変動のリスクを抑えた選択をする傾向がみられます。
返済計画には、住宅ローン以外の支出の状況や、教育費・老後資金・自動車購入費などの将来に必要となるまとまったお金がどれくらい確保できているか影響を及ぼします。無理のない計画を立てることが重要です。
住宅ローンの借入可能額の決まり方とは?
住宅ローンの借入可能額は、年齢や年収、勤務先、雇用形態、勤続年数、そして物件の担保価値によって決まります。審査においては返済負担率が重要です。
一般的には、返済負担率が35%を超えてくると審査に通らない例が増えてきます。そのため、返済負担率が35%になる金額を借入可能額と見積もりましょう。その目安が、冒頭で説明した「年収の7倍」です。
ただし、年齢が高い人は借入期間が短くなるため、年間返済額は大きくなります。また、年間返済額の計算には、金利上昇時を想定した3.0~3.5%程度の審査金利を用います。適用金利で概算してしまうと実際の借入可能額とは乖離してしまうことから、この点には注意が必要です。
なお、住宅ローン以外の借入があると、その返済額も返済負担率に反映されます。住宅ローンをなるべく多く借りたい人は、他の借金を先に完済しておきましょう。
ほかにも、勤続年数が短いとこの先の収入の安定性を疑問視されたり、担保価値が低い物件への融資では返済が滞ったときの債権回収に問題が生じたりすることから、このような場合は借入可能額が低くなりやすい傾向があります。
住宅ローンの限度額のシミュレーション
具体例として、35歳で年収600万円の人の限度額と借入可能額をシミュレーションしていきましょう。今回は、借入期間35年(完済時年齢70歳)、審査金利を3.5%、基準となる返済負担率を35%として計算していきます。
まずは、返済負担率35%となる年間返済額を求めるために「年収×返済負担率」の計算を行います。今回の例では年間返済額が210万円のときに、返済負担率は35%になります。つまり、毎月返済額としては17.5万円です。
続いて、毎月返済額が17.5万円となる借入金額を求める必要がありますが、これには比例計算を用います。1,000万円を金利3.5%で35年間借り入れたときの毎月返済額は41,329円ですので、毎月返済額が17.5万円になるのは、借入額が約4,230万円になる場合です。
このように、借入可能額は以下の計算式で求めることができます。
借入可能額の計算方法
この例では、借入可能額は約4,230万円であり、一般的な金融機関での限度額の1億円や、フラット35での限度額の8,000万円を下回っているので、借入可能額までを目安に借りられると推測できます。
なお、他のローンがある場合には、年間返済額からその他のローンの返済額を引いて、その残りを住宅ローンの返済にあてられると考えましょう。
限度額が1億円以上の住宅ローンが組める金融機関はある?
冒頭では一般的な金融機関では借入の限度額が1億円であることを紹介しましたが、近年、東京都心部などの大都市エリアを中心に、1億円を超える物件の売買も増えてきました。これに伴って、1億円以上を融資する金融機関も増えてきています。
一般の住宅ローンとは別に、高額住宅ローンとして上限を2億円あるいはそれ以上にしている場合もあります。モゲチェックの「住宅ローンランキング」や「住宅ローン診断」を利用すれば、そのような金融機関を簡単に調べることができます。高額物件の購入を検討している人は試してみてください。
住宅ローンの限度額は「借りられる額」「無理せず返せる額」に注意
一定以上の年収がある人は、限度額の高い住宅ローンを選ぶことで、より多くの金額を借りることができます。しかし借入額が大きくなると、そのぶん毎月返済額が増え、負担が増加しかねません。住宅ローンは「借りられる金額」で借りる前に、「無理せず返せる額」かどうかを検討する必要があります。
住宅取得後には固定資産税や都市計画税、火災保険料などがかかり、建物の修繕や設備の更新にも費用がかかります。マンションの場合には管理費や修繕積立金も必要です。
また、住宅ローンの返済は長期にわたるため、将来の収入の変動を楽観視しすぎないようにしましょう。例えば、ボーナス(賞与)は勤務先の経営状態の変化によって上下するため、ボーナスをあてにした計画を立てるのは危険です。
さらに、将来に必要になる教育資金や自身の老後資金の準備も進めて行く必要があります。住宅ローンの契約の前に、これらの大きな支出に備えた貯蓄が計画的にできるかどうかを確認しておきましょう。
1番おトクな住宅ローンを見つけるなら、モゲチェック
モゲチェックが提供する「住宅ローン診断」では、年齢や年収、雇用形態などをもとに、豊富な融資データを利用して融資承認確率を算出し、あなたに最適な住宅ローンをご提案します。1億円を超える借入や、年収の7倍を超える借入で、住宅ローンの審査に不安を覚える方はぜひ、「住宅ローン診断」を活用してみてください。また、購入する物件が決まる前に、自身の借入可能額を把握することにも利用できますので、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
住宅ローンには限度額があり、一般的な金融機関では1億円、フラット35では8,000万円が限度です。しかし、近年は1億円を超える融資が可能な金融機関も多くなりました。
また、住宅ローンの借入可能額は年収の7倍程度が目安です。しかし、年齢や勤続年数、物件の担保価値により、金額は下がる可能性があります。借入可能額は返済負担率をもとに計算できますので、購入物件選びの前に自身の借入可能額がどれくらいかを検討してみましょう。