1. 自営業者の住宅ローン審査のポイント
住宅ローンを組むためには、金融機関の審査を受けなければいけません。自営業者が審査に通過するために押さえておくべきポイントを紹介します。
一定以上の所得があり、安定している
長い期間にわたり返済し続けなければいけない住宅ローンは『所得』が安定していることが重要です。多くの金融機関では直近3年間の損益が黒字であることを基準としています。
所得が安定していることが求められるため、1期だけ高所得であってもそれを基準と考えられることはまずありません。3期の平均か最も低い所得を基準とすることがほとんどです。
例えば、所得・減価償却費・青色申告特別控除額の合計を用い、3年間の平均か直近のどちらか少ない金額を基準として審査する銀行もあります。
起業から年数が経過している
事業を始めてから年数が経過していることも大切なポイントです。確実に返済できる人へ貸し出したいと考えている金融機関は、安定して継続する見込みのある事業かどうかを重視します。
起業したばかりでは継続性の判断ができません。将来の見通しが立ちにくいことから、審査でマイナスに働くこともあります。
中には、起業後『3年間』経過していることを申込の条件として挙げている銀行もあります。起業から間もない場合には、3年間自営業として継続してから申し込むとよいでしょう。
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2. 住宅ローン契約までの準備
自営業者が住宅ローンへ申し込む場合、事前に準備しておくことでスムーズに借入をしやすくなります。ローンについての下調べはもちろん、用意しておくべき書類や資金についても確認しましょう。
金融機関を探してしっかり相談をする
まずは利用する金融機関について調べます。メガバンクやネットバンクは一般的に自営業者への審査が厳しいため、他の金融機関を検討しなければいけない場合もあるでしょう。
おすすめは、事業資金の取引をしている金融機関に相談することです。日ごろから関係が深く、事業内容を理解してくれている金融機関なら、住宅ローンの相談にも柔軟に対応してもらえるかもしれません。
非営利で運営されている信用金庫や信用組合を利用するというのも、一つの方法です。相互扶助を目的として運営されているため、自営業者でも借りやすい傾向があります。
開業1年未満でも申込可能な『フラット35』も、自営業者が利用しやすいプランです。
銀行の自営業者向け住宅ローン商品も
自営業者向けの商品を用意している銀行に相談するのもよいでしょう。開業間もないことや、確定申告の所得金額が少ないことを理由に借入を諦めている人でも、書類以外の情報を考慮しつつ判断してもらえます。
例えば自営業者の中には、経費を計上することで所得が少なくなり、借入が難しくなっているケースもあります。自営業者向け商品であれば、そのような事情も含めた審査が可能です。
また通常の住宅ローンでは対応できない店舗兼住宅の購入に利用できるケースもあるため、事業内容に合わせて相談するとよいでしょう。
必要書類をそろえる
スムーズな手続きのために、必要書類をそろえておくことも大切です。会社員であれば収入確認資料は源泉徴収票1枚でOKですが、自営業は3年分の確定申告書や納税証明書を用意します。
このうち納税証明書は、税務署へ請求し受け取らなければいけません。請求は税務署の窓口・郵送・オンラインのいずれかで行いましょう。発行された納税証明書は、窓口・郵送・電子ファイルのどれかで受け取ります。
請求方法や受け取り方法によっては、数日かかることもあるため、早めに用意しなければいけません。これらに加え、免許証といった本人確認書類や健康保険証なども準備します。
金融機関ごとに用意されている所定の用紙も、記入しておくとスムーズです。
自己資金を多めに用意する
頭金に充てられる自己資金を、できるだけ多めに用意することも意識しましょう。頭金を増やすことで計画的に貯蓄できることをアピールできるため、審査にプラスに働くと考えられるのです。
特に起業後間もないのであれば、継続性をアピールできる3年後まで貯蓄を続けることで、金融機関からの信頼につながりやすくなります。
また借入可能額は、1年間の総返済額が年収の何割を占めるかを示す『返済比率』により計算されます。金融機関ごとに返済比率は異なりますが、35~40%を上限としているところがほとんどです。
頭金を多く用意できれば、返済比率の上限に近い借入ができるかもしれません。また融資額を抑えることにつながり、計画的な返済がしやすいでしょう。
他にも金融機関は様々なポイントを見ています。希望額を通すコツはこちら:住宅ローン審査の基礎知識。希望額で通すコツ、落ちた場合の対策も
3. 審査のマイナスになる要素を解消する
事前準備ができたとしても審査にマイナスに働く要素が多いと、借入ができなかったり、借入金額が想定より少なかったりする場合があります。そこで、申込前にマイナス要素を取り除くことが重要です。
税金や健康保険料の滞納をしない
住宅ローンの審査をするときには、納税証明書を必ず提出します。税金を滞納している場合には必ず支払いを済ませましょう。健康保険料を滞納している場合にも、きちんと支払った上で申し込みます。
銀行や保証会社は税金や健康保険料の滞納を重く考えるため、滞納が分かると審査に通ることはありません。返済が滞り物件を売却して代金を回収するとなった際には、未納分の税金が優先されるからです。
また少額であったとしても、滞納をする人に高額のローンを貸し出したいと考える金融機関はありません。税金や健康保険に未納があると、何かあれば滞納する人と判断されてしまいます。
他の借入や支払い状況の確認
借入や返済の状況をチェックすることも大切です。申込時には、1年間に返済するローンの総額が年収に占める割合である『総返済負担率』が重視されます。
住宅ローンはもちろん、自動車ローンやキャッシングなどの返済額も考慮し、借入額が決まるのです。他の借入が多過ぎる場合、借入できない事態や、借入可能額が希望に満たないケースもあるでしょう。
また金融機関は個人信用情報機関へ問い合わせ、利用履歴や返済状況を確認します。それにより返済が滞っていることや、自己破産といった事故の履歴が判明すると、審査に通過できません。
申込前には、他の借入の状況を正しく把握することが大切です。
4. 自営業も審査に通りやすい住宅ローンは?
住宅ローンの種類によっては、自営業者が利用しやすいものもあります。審査に通過しやすい商品を選ぶことで、スムーズに借入をできる可能性が高いでしょう。
申込要件が年齢と国籍、収入のフラット35
全期間固定金利の『フラット35』は、自営業でも利用しやすいプランの一つです。申込に必要な条件は、満70歳未満であることと、日本国籍を持っていることのみのため、多くの自営業者が申し込めます。
また、審査時にチェックされるのが直近1期分の所得のみという点も特徴です。3期分確認される他の住宅ローンと異なり、1期分のみのため、開業から間もない人でも審査に通過する可能性があります。
この1期分の所得が年収4,000,000円未満なら30%、年収4,000,000円以上なら35%という総返済負担率以内に借入金額がおさまっていれば、利用できる可能性が高いでしょう。
不動産担保ローンも視野に入れる
『不動産担保ローン』の利用を検討するのもよい方法です。住宅ローンと同じように不動産を担保に利用するローンですが、不動産の担保評価と収入を総合的に見て審査するため、自営業者が利用しやすいローンといえます。
用途が住宅に限定されないため、賃貸併用住宅にも利用可能です。また団信への加入が不要なタイプを選べば、保険料を比較して民間の生命保険への加入も選べます。
ただし金利は住宅ローンより割高な上、頭金を多く用意しなければいけない点にも注意が必要です。状況に応じてうまく利用するとよいでしょう。
5. 自営業者のマイホーム計画は事前準備が鍵
収入の安定性を重視して審査される住宅ローンは、自営業者が利用しようとすると難易度が高まるといわれています。大切なのは事前準備を念入りに行うことです。
借りられる可能性が高い金融機関を探し、必要書類をそろえ、頭金をできるだけ多く用意します。また税金や他のローンの支払い状況を確認する点も重要です。滞納があると判明すると、審査でマイナスに影響します。
自営業者が利用しやすいフラット35や不動産担保ローンを検討するのも、一つの方法です。計画的に準備することで、希望のマイホームを購入できるでしょう。
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