1. マンションの管理費で知っておきたいこと
マンションの管理費には地域差があることを押さえておきましょう。タワーマンションの管理費が高い理由についても解説します。
地域によって管理費には差がある
マンション管理費の平均額は、地域により差があります。中国・四国地方が最も低く、次いで北海道と九州・沖縄地方、関東地方と近畿地方の順に高くなっています。
最も高いのは北陸・中部地方、その次が東北地方です。地価が高い東京がある関東地方を、これらの地域が上回っています。
主要都市圏を比較しても、東京圏より名古屋圏や京阪神圏の方が高めです。東京圏は管理費が低めのワンルームや小規模家族向けマンションが多いため、平均額も低くなる傾向があります。
参考:平成30年度マンション総合調査結果 管理組合向け調査の結果 P.176|国土交通省
タワーマンションは管理費が上がる
タワーマンションは、一般的なマンションに比べ管理費が高くなる傾向があります。高層の建物に特化したエレベーターや、高層建築物に設置が義務付けられている非常用エレベーター・ヘリポートの高額な維持費が原因です。
多くのタワーマンションには、魅力を向上させるための共用設備や施設が備わっています。一般的なマンションにはないこれらの維持費も、管理費が上がる理由の一つです。
24時間有人管理やクリーニングといった、タワーマンション特有のサービスにかかる人件費も、管理費に含まれています。建物だけでなく、入居者の快適さを維持するためにも、高額な管理費が必要になるといえるでしょう。
2. 気になるマンション管理費の相場は
国土交通省が実施した管理組合向けの調査から、1カ月あたりのマンション管理費の相場が分かります。エリア別・総戸数別・完成年次別に、平成30年度の平均相場を紹介します。
エリア別の相場
管理費のエリア別平均相場が最も高い地域は、16,947円の北陸・中部です。続いて東北が16,550円となっており、両地域は関東より高い数値を示しています。
次に高いのが、16,240円の近畿と16,096円の関東で、ほぼ同水準です。北海道の15,190円と九州・沖縄の15,057円も、同じような金額となっています。
管理費の平均が最も低いのは、14,590円の中国・四国です。日本全体では約14,500~約17,000円と、約2,500円の金額差の中に収まっています。
参考:「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 P.176|国土交通省
総戸数別の相場
管理費を総戸数別に見ると、20戸以下が19,237円と最も高額です。小規模になるほど、マンションの管理にかかる費用を少人数で負担しなければならないため、管理費が高くなってしまいます。
その他の規模は、15,000~17,000円の間に収まる金額です。301~500戸の物件のみ、17,703円と高めの金額を示しています。
規模が大きいマンションは、小規模物件に比べ管理費が低めです。ただし、タワーマンションは低層型より金額が上がります。
参考:「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 P.175|国土交通省
完成年次別の相場
国土交通省の資料では、完成年次別の平均相場も分かります。マンションが新しくなるほど、管理費も高くなっているのが特徴です。
平成27年以降に建てられたマンションが最も高く、平均相場は19,897円です。昭和44年以前の10,341円に比べ、2倍近くになっています。
年次が上がるごとに高くなる理由として、人件費の増加が挙げられます。水道光熱費・火災保険料の値上がりや設備・サービスの増加も、高額になる原因です。
参考:「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 P.175|国土交通省
3. 管理費が低いマンションの条件とは
管理費を安く抑えたマンションには、安いなりの理由があります。物件選びのコツとして、費用が安いマンションの見分け方を覚えましょう。
管理人が常駐していない物件
管理人の人件費は、管理費に含まれるのが基本です。日勤の管理人がいたり、巡回管理されていたりするマンションは、管理費を抑えられます。
一方、24時間常駐の管理人がいるなら、管理費も高額になるでしょう。人件費が2倍以上になるケースも考えられます。
管理人が常駐している物件は、防犯やサービスの面でそうでないマンションに勝ります。定期的な清掃により、建物がきれいに保たれやすい点も特徴です。
戸数が多い、建物が低層
管理費が安い物件探しでは、建物の構造にも注目しましょう。戸数が多いマンションや低層のマンションは、金額を下げられる傾向があります。
戸数が少なければその分、管理に必要な費用を少人数で支払わなければならないため、金額が高くなりがちです。また建物が高層の場合、低層マンションにはない設備の維持費が余計にかかります。
特にエレベーターがない物件は、費用を安く抑えられる傾向があります。ただし、売却時に評価を高めにくいという点には注意が必要です。
テナント収入があるマンション
物件によっては、建物の一部をテナントとして貸し出したり、敷地内の駐車場やルーフバルコニーなどを居住者にレンタルしたりしているケースがあります。
これらの賃料は管理組合が一括徴収し、管理費から差し引いた残りの分を、区分所有者に負担してもらうのが一般的です。駐車場の使用料として1台につき月に数万円徴収している場合は、管理費が大幅に安くなっている場合もあります。
ただし、テナントなどの収入を積立金として貯めている場合もあるため、収入があるからといって必ずしも管理費が安いとは限りません。
4. 管理費の相場を知って適正か見極めよう
管理費は地域ごとに相場が異なります。物件の総戸数や完成年次の違いで差が出ることも特徴です。
管理人が常駐しているマンションや高層マンションは、管理費が高額になる傾向があります。相場や傾向を理解した上で、適正な金額かどうか見極めましょう。