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65歳定年は今後どうなる?日本の将来と定年制の行方を解説

  • 最終更新日: 2024年11月27日

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現在は65歳定年が原則義務化されていますが、将来的にはさらに、定年年齢が引き上げられることが予想されています。収入や貯金が少ない人は、長く働くことを前提とした人生設計を行う必要があるでしょう。65歳定年の現状と未来について解説します。

目次
  • 1. 定年制度の歴史と現在
    • もともとは55歳が定年だった
    • 2013年に定年が65歳に引き上げ
  • 2. 65歳定年制の背景とこれから
    • 年金支給年齢の引き上げに関係
    • 継続雇用制度について
    • 将来的には70歳が定年になる?
  • 3. 海外の定年制度は
    • アメリカは定年がない
    • 韓国は定年採用するなら60歳以上
    • シンガポールも定年の引き上げを予定
  • 4. 70歳まで働く社会はやって来るのか
    • 少子高齢化による労働力の減少
    • 医療費増大で財政を圧迫
  • 5. 高齢になっても元気に働くには
    • 健康寿命を伸ばす
    • 定年後を見据えた資産づくり
    • 仕事以外にも生きがいを見つける
  • 6. しっかり準備をして長い人生を充実させよう

1. 定年制度の歴史と現在

かつては55歳を定年とするのが主流でしたが、現在は法律により65歳まで引き上げられています。繰り返し実施された法改正による、定年制度の変遷を見ていきましょう。

 

もともとは55歳が定年だった

現在確認されている日本最古の定年制度は、1887年に東京砲兵工廠の職工規定で定められた、55歳を定年とする制度とされています。当時は多くの企業が、定年を55歳としていました。

その後、1986年の『高年齢者雇用安定法』の改正により、60歳を定年とすることが企業の努力義務として課されます。さらに、94年の法改正で60歳未満の定年が禁止されたことにより、日本の定年は60歳で定着しました。

60歳未満定年制の禁止は、98年に施行されています。これらの法改正が行われた背景には、平均寿命の延伸や出生数の減少があります。

 

2013年に定年が65歳に引き上げ

2000年代に入ると、65歳定年制の実現に向け、高年齢者雇用安定法は何度か改正されました。13年の改正では、段階的に希望者全員を65歳まで雇用することが、企業に義務づけられています。

具体的には、『65歳までの定年引き上げ』『定年制の廃止』『65歳までの継続雇用制度の導入』のいずれかを実施しなければなりません。

21年4月からは、企業の義務である65歳までの雇用確保に加え、70歳までの就業確保を努力義務とする改正法が施行されています。定年の引き上げに関する動きは、これからも活発化することが予想されます。

 

参考:

高年齢者の雇用 雇用する上でのルール 1. 65歳までの雇用機会の確保|厚生労働省

改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されます|厚生労働省

 

 

2. 65歳定年制の背景とこれから

法律により定年が65歳まで引き上げられた背景について解説します。定年が70歳になる時期も、そう遠くないでしょう。

 

年金支給年齢の引き上げに関係

現在の日本では、原則として65歳から年金が支給されます。支給時期を遅らせたい場合は、70歳まで延ばすことも可能です。

しかし定年が60歳のままでは、年金を受け取れない期間が発生します。ブランクをなくす意味で、年金支給開始時期の65歳まで働けるように制度を整えていると考えられます。

少子高齢化が進む中、将来的に予想される年金の財源不足は深刻な問題です。働く高齢者が増えることで全体の年金支給額を抑えられるため、年金の財源確保につながるでしょう。

 

継続雇用制度について

現在は、定年の引き上げ・定年の廃止・継続雇用制度の導入のうち、いずれかを実施することが、高年齢者雇用安定法により企業に義務づけられています。

この中の『継続雇用制度』とは、雇用している高齢者が定年後も引き続き働くことを希望した場合、65歳まで継続雇用しなければならないことを定めた制度です。希望者全員を対象とする必要があります。

継続雇用制度では、再雇用制度と勤務延長制度のどちらかで雇用しなければなりません。雇用条件は、原則として企業側が設定できます。

 

参考:高年齢者の雇用 雇用する上でのルール 1. 65歳までの雇用機会の確保|厚生労働省

 

将来的には70歳が定年になる?

2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保を義務とした上で、65歳から70歳までの就業機会確保の努力義務が新設されています。

70歳までの定年引き上げ・定年廃止・70歳までの継続雇用制度の導入は、65歳までの場合と同様です。これらに加え、70歳まで業務委託契約を締結するなどの制度も、導入するよう努めなければなりません。

これまでの流れを考えると、将来的には70歳定年制の義務化が予想されます。年金受給開始時期も、定年年齢の引き上げに合わせて、65歳から70歳になると考えておいたほうがよいでしょう。

 

 

3. 海外の定年制度は

他の先進国では、定年をどのように定めているのでしょうか。アメリカ・韓国・シンガポールを例にとり、定年制度や年金制度を紹介します。

 

アメリカは定年がない

多くの先進国には定年がありますが、定年制を廃止している国もあります。アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドには、定年がありません。

アメリカを例にとると、『ADEA(雇用における年齢制限禁止法)』により、年齢を理由に40歳以上の人を雇用上差別することが禁止されています。ただし、州の警察官や消防士など、定年が規定されている職種も一部あります。

アメリカの年金制度は、『OASDI』と呼ばれる1階建ての所得比例年金です。会社員や一定所得以上の自営業者を対象としています。かつて原則65歳であった支給開始年齢は、2027年までに、段階的に67歳へ引き上げられる予定です。

 

参考:

アメリカの雇用における年齢制限禁止法について P.9|厚生労働省

2020年 海外情勢報告 P.20-21|厚生労働省

 

韓国は定年採用するなら60歳以上

韓国では、『雇用年齢差別禁止及び高齢者雇用促進に関する法律』により、雇用上の年齢による差別が禁止されています。募集・採用・賃金・福利厚生・昇進・解雇など、雇用における全ての段階で、年齢を理由とした差別が認められていません。

定年を定める場合は、60歳以上に設定する義務が課されています。定年を60歳未満に定めても60歳定年とみなされ、年齢を理由に60歳未満で解雇された労働者は訴えを起こすことが可能です。

韓国の社会保障制度は、日本と同じ国民皆保険・国民皆年金制度を採用しています。年金支給開始年齢は、2013年から5年ごとに1歳ずつ引き上げられており、2033年には65歳となる予定です。

 

参考:

主要各国の年金制度の概要|日本年金機構

2018年 海外情勢報告 P.240|厚生労働省

2020年 海外情勢報告 P.2|厚生労働省

 

シンガポールも定年の引き上げを予定

急速な高齢化が進み、65歳以上人口の割合が急増しているシンガポールでは、高齢化への対応が課題となっています。2019年には、定年と再雇用年齢を段階的に引き上げる方針が発表されました。

現在62歳となっている定年は、22年に63歳、30年までには65歳へと引き上げられます。再雇用年齢は、現行の67歳から22年に68歳、30年までには70歳に引き上げられる予定です。

シンガポールには、日本のような年金制度がありません。法的機関である積立基金『CPF』から年金が支給されます。

CPFの加入義務者は、シンガポールで雇用される国民または永住者、一定以上の収入がある自営業者と外国籍のシンガポール人船員です。支給開始年齢は、65~70歳の間で選べます。

 

参考:

2019年 海外情勢報告 P.10|厚生労働省

2020年 海外情勢報告 P.2|厚生労働省

 

 

4. 70歳まで働く社会はやって来るのか

定年を延長することで、労働力の減少や医療費の増加といった問題の解決につながると考えられています。どのようなことなのか、以下で詳しく解説します。

 

少子高齢化による労働力の減少

定年の延長は、年金支給年齢だけを意識しているわけではありません。少子高齢化で労働力が減少傾向にあることも大きく影響しています。

近年、多くの企業は深刻な人手不足に悩まされているのが実情です。少子化により現役世代の人口がさらに減少すると、国全体の経済活動はますます鈍化します。

現役世代は消費の担い手でもあります。少子化で国内消費が伸び悩むと、企業は内需拡大のための新規投資を控えるため、経済成長率も低下しかねません。

このような状況の中で、新たな働き手として期待されているのが高齢者です。体が動く間はできるだけ働いてもらうことで、労働力問題の解消につながると考えられています。

 

医療費増大で財政を圧迫

少子高齢化により、年金・医療・介護などに要する社会保障費は年々増え続けています。高齢化による国民医療費の増加は、特に深刻な問題です。

厚生労働省の資料によると、令和元年度における75歳以上の医療費の割合は、全体の39.1%です。金額は17兆円となっており、年を追うごとに増えています。

定年を延長し高齢者に長く働いてもらうことで、社会保障財政の担い手に回ってもらう効果が期待されています。働き続ければ健康維持につながり、結果として医療費が減ることも、定年延長で期待されている効果です。

 

参考:令和元年度 医療費の動向 (表1-1)P.1|厚生労働省

 

 

5. 高齢になっても元気に働くには

できるだけ長く働き続けるためには、健康寿命を延ばすことが大切です。老後を見据えた資産形成や、生きがいを感じられる老後生活も意識しましょう。

 

健康寿命を伸ばす

できるだけ長く働くためには、体が健康でなければなりません。長生きを目指すだけでなく、健康寿命を延ばすことも重要です。

健康寿命とは、平均寿命から介護状態の期間を引いた期間です。男性に比べ女性のほうが、平均寿命と健康寿命の差が大きいのも特徴です。「寝たきり」の期間に着目すると、欧米より6年も長いとの報告もあります。

健康寿命を延ばすためには、生活習慣病の予防・適切な食生活・適度な運動・十分な睡眠などを意識する必要があります。今のうちからこれらを習慣化しておくとよいでしょう。

 

参考:健康寿命(けんこうじゅみょう)|厚生労働省

 

定年後を見据えた資産づくり

定年を延ばして働けば、定年後のための資産も形成しやすくなります。老後は何かとお金がかかる一方、年金だけでは生活をまかないきれない可能性が高いため、お金を増やしておくのに越したことはありません。

ただし、現在は超低金利の時代であり、預貯金だけでお金を増やすのはほぼ不可能です。より高い利回りを期待できる、投資信託や株式への投資を選択肢に入れてみましょう。

早い段階からコツコツと積立を行うのもおすすめです。長期投資でゆっくりと増やすようにすれば、定年を延ばした後も収入を積立金に回せるため、よりお金が貯まりやすくなります。

 

仕事以外にも生きがいを見つける

趣味など熱中できることを見つけて自分の生きがいにできれば、老後がより充実したものになります。生きがいは健康面に好影響を与えやすいこともポイントです。

さまざまな調査によると、生きがいを持っている人はそうでない人に比べ、より長生きできるという結果が出ているようです。

生きがいを感じながらポジティブに生活できれば、ただ長生きするだけではない豊かな老後を送れます。仕事ができる間は、仕事を生きがいにしてもよいでしょう。

 

 

6. しっかり準備をして長い人生を充実させよう

日本の定年は基本的に65歳ですが、将来はさらに年齢が高くなる可能性があります。少子高齢化による労働者の減少や医療費の増加が、定年延長の大きな理由です。

年金を受給できる時期も遅くなっている中、これからの時代はできるだけ長く働くことが重要になっていきます。健康寿命を延ばすなどの意識を持ち、充実した老後を送れるように準備しておきましょう。

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WRITER

著者: モゲチェックメディア編集部

株式会社MFS

 

モゲチェックは住宅ローンのポータルサイトです。 金融機関や不動産会社出身の住宅ローンのプロ&テクノロジー集団が運営し、公平・中立な立場で住宅ローン情報をお届けします。

SUPERVISOR
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中山田 明

株式会社MFS代表取締役CEO

プロフィール

外資系投資銀行で日本初の住宅ローン証券化を手掛け、その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事してきた、日本における住宅ローンファイナンスのプロフェッショナル。フラット35を取り扱うSBIモーゲージ(現:SBIアルヒ株式会社)ではCFOを歴任。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくMFSを創業。「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」世界の実現を目指す。

趣味は登山で、テントを背負って槍ヶ岳や剱岳、海外ではキリマンジャロやキナバル山に登頂。

経歴

  • 1991年3月 東京大学経済学部学部 卒業
  • 1991年4月〜 三井物産株式会社 入社
  • 1993年7月〜 モルガン・スタンレー、ベア・スターンズなど外資系投資銀行を歴任
  • 2000年8月〜 株式会社新生銀行(現:SBI新生銀行)キャピタルマーケッツ部部長
  • 2011年8月〜 SBIモーゲージ株式会社(現:SBIアルヒ株式会社)CFO
  • 2014年10月〜株式会社MFS創業

主な保有資格

貸金業務取扱主任者

登壇実績

  • 2021年9月 金融DXサミット(日本経済新聞主催)等 登壇実績多数
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