1.来月のフラット35の金利はどうなる?
2023年10月のフラット35の金利は1.860%、フラット20の金利は1.360%と、いずれも9月から0.06%上昇すると予想します。
この予想は、フラット35を運営する住宅金融支援機構が2023年9月21日に発表した「貸付債権担保第197回住宅金融支援機構債券」(以下、機構MBS)の発行条件に基づき、モゲチェックが予想したものです。
7月28日に日銀が金融政策を修正した影響で、長期金利(10年国債利回り)が上昇基調となっています。長期金利は住宅ローン固定金利と密接な関係にあり、フラット35をはじめとする固定金利には10月も上昇圧力がかかりそうです。
日銀による7月の金融緩和政策の修正は解釈がやや難しい内容ではありますが、基本的には固定金利に影響するものであり、モゲチェックとしては変動金利には特段影響がないと考えています。固定金利の代表格であるフラット35が上昇することで、変動金利の魅力が高まる状況であると考えています。
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日銀の金融緩和修正を解説。住宅ローン金利への影響を考える(2023.7)
図1 フラット35の金利推移
図2 機構MBSの発行条件とフラット金利予想
2023年9月 | 2023年10月 | 差 | |
機構MBS利率 | 1.02% | 1.08% | +0.06% |
対国債スプレッド | 0.39% | 0.35% | -0.04% |
フラット35金利 | 1.80% | 1.86%(予想) | +0.06% |
フラット20金利 | 1.32% | 1.38%(予想) | +0.06% |
参照元:
2.フラット35の予想方法について
ここではモゲチェックがフラット35金利をどのように予想しているか解説します。
通常、フラット35の金利は機構MBSの利率によって決定されます。住宅金融支援機構が機構MBSで金融市場から資金調達し、その資金を住宅ローン利用者へのローン貸し出しに振り向けるためです。そして機構MBS利率は、長期金利(10年国債利回り)の動きに連動します。
そのため、
-
長期金利が上がり、機構MBS利率が上がると、フラット35金利が上がる
-
長期金利が下がり、機構MBS利率が下がると、フラット35金利が下がる
という動きになるのが通例です。モゲチェックではこの通例に則り、フラット35の金利予想を立てています。
図3 フラット35と機構MBSの関係
3.フラット35を取り巻く金利市場の状況
現在、世界的にはインフレ・物価上昇を抑制するための利上げ(政策金利の引き上げ)を行っている最中です。こうした中、フラット35に影響を及ぼす長期金利は4月以降0.4%台で推移していましたが、日銀が7月28日に長期金利の上限設定を引き上げるという内容で金融政策を一部修正したことで、現在はおよそ10年ぶりとなる0.7%台に水準を切り上げて推移しています。
こうした状況を受け、10月のフラット35金利は9月に続いて2ヶ月連続の上昇となりそうです。
>>日銀の政策修正についての解説はこちら
日銀の金融緩和修正を解説。住宅ローン金利への影響を考える(2023.7)
図4 長期金利
2022年以降の世界的なインフレ進行・金利上昇の中、日銀の金融緩和政策の先行きを巡っては植田総裁の発言を含め不透明感の強い状況となっています。モゲチェックでは引き続き世界的な景気見通しや金融政策の状況を踏まえ、住宅ローン金利に関する情報を発信していきます。
いかがでしたか。
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フラット35ってどんな住宅ローン?
特徴やメリット・デメリットを解説
| フラット35とは?
住宅金融支援機構と全国300以上の金融機関が提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」です。
住宅ローンの利用者が返済できなくなったときに住宅金融支援機構から金融機関に保険金を支払うタイプのフラット35である「保証型」、住宅ローンの債権を住宅金融支援機構が金融機関から買い取るタイプのフラット35である「買取型」と大きく2つに分かれています。
| フラット35の審査の特徴
フラット35は住宅金融支援機構が提供元となっている公的な色合いのある住宅ローンで、さまざまな人が利用しやすいよう設計されています。
年収や雇用形態といった申込人の属性に対する審査は柔軟で、例えばパート・アルバイトや派遣社員といった非正規雇用の方や、業歴の浅い自営業者や法人役員、また転職直後で勤続が浅い方でも利用しやすくなっています。また、団信の加入が必須ではないため、健康上の理由で団信審査に落ち民間金融機関の住宅ローンを組めなかった方も利用しやすいでしょう。
一方で、購入する物件そのものに対する評価は民間金融機関よりも厳しい傾向があります。例えば建築物が適法であることを証明する「検査済証」が交付された物件でないとフラット35は利用できません。その他にも接道義務や住宅の規格、耐久性、耐震性などの基準が設定されています。
<フラット35の主な特徴>
- 返済額が変わらない!
- 全期間固定金利なので、毎月の返済額が急に変わることはありません。返済計画や生活設計をしやすくなっています。
- 繰り上げ返済手数料が無料
- 余計な費用をかけずに繰り上げ返済を進めることが可能です。
- 本人の属性に対する審査が柔軟
- 明確な条件が公表されているので、さまざまな人が利用しやすい設計となっています。非正規雇用の方や
- 団体信用生命保険への加入が任意
- 健康上の理由で民間金融機関のローンを組めなかった人は、団信に加入しない選択肢をとることができます。
- 物件に対する基準に注意
- 物件の性能評価が民間金融機関よりも厳しい傾向にあります。
- 金利水準は高め
- 全期間固定金利なので金利水準が高めです。民間金融機関の変動金利に比べると、返済総額が高くつくリスクがあります。
| 保証型が向いている人は?
フラット35の保証型は、住宅購入時に自己資金を1割以上入れる方に向いており、より低金利で35年固定金利を使うことできたり、「買取型」にはない充実した団信保障を利用することができます。
例えばフラット35で14年連続シェアNo.1(※)のARUHIは自己資金の割合に応じて多種多様な金利プランを用意しています。
※2010年度-2023年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2024年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
| 買取型が向いている人は?
フラット35の買取型は、自己資金を抑えてなるべくフルローンを組みたいという方に向いています。
| フラット35のポイント制とは?
取得する住宅の設備・エリア等に応じて金利を引き下げる制度で、2022年10月に開始されました。
太陽光発電・省エネといった住宅性能や管理・修繕、エリアに応じて1~4ポイントが付与され、最大で10年間・0.5%の金利引き下げを受けることができます。詳細は各社公式サイトにてご確認ください。
| フラット35をもっと比較したい方には
フラット35は保証型や買取型、さらに保証型の中にはさまざまな商品を各社が用意しており、比較が難しくなっています。
モゲチェックではフラット35を比較できる特設ページを用意しているので、フラット35を組みたい方はぜひご覧ください。