1. 住宅ローン借り換えの基本をおさらい
住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンから、途中で全く別のローンに変更することです。
日銀による利上げが続き借入中の住宅ローン金利が上昇する中、少しでもお得な住宅ローンへ借り換えることを検討する人が増えています。
借り換えは金利差に注目
借り換え検討のため様々な銀行の現在の住宅ローン金利を見た時、もしかしたら当初住宅ローンを借りた時の金利よりも高かったり、あまり変わらないように感じてしまうかもしれません。
しかし、日銀による利上げの影響で、変動金利で住宅ローンを借入中の方の適用金利は大きく上昇しています。銀行によって異なりますが、多くの方が0.25%〜0.4%程度借入中の住宅ローン金利が上昇しています。
借換後の住宅ローンとの金利差が最低でも0.3%あれば借換メリットが出る可能性があります。当初借り入れした時の金利ではなく、必ず最新の適用金利を確認するようにしましょう。
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2. 住宅ローン借り換えのメリット
借り換えをすることで、どのような恩恵を受けられるのでしょうか。主なメリットについて詳しく解説します。
ローンの返済額を減らせる
現在のローンより金利が低いローンへ借り換えられれば、利息額が減るため総返済額を減らせます。老後のための資金も、より多く残せるようになるでしょう。
残りの返済期間が同じなら、総返済額が減れば月々の返済額も減ることになります。毎月のローン返済で家計を圧迫している状況であれば、月々の返済が減ることは大きなメリットです。
返済期間を延ばせる借り換えでも、毎月の支払額を減らせます。ただし、この場合は総返済額が増えてしまう可能性がある点に注意が必要です。
長期の固定金利に切り替えることも可能
住宅ローン変動金利は長きにわたって低金利の状況が続いています。
一般的に固定金利は変動金利より金利が高めです。
現在の金利情勢が今後も続くとすれば、変動金利のほうが得をする可能性が高いため、よく考えて金利タイプを決める必要があります。
モゲチェックとしても、今後も変動金利が低位安定すると予測しています。
ただし、変動金利や期間限定型固定金利でローンを組んでいる場合、将来的な金利の上昇により、返済負担が重くなる可能性を完全には否定できません。
変動金利に不安がある方の場合、借り換えで長期の固定金利に切り替えれば、金利上昇のリスクに不安を抱える必要がありません。
全期間固定金利なら、どれだけ市場金利が高くなっても、契約時の金利が完済時まで一定に保たれます。
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保障の厚い団体信用生命保険に加入できる
住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(団信)への加入を求められるのが基本です。団信とは、契約者の死亡時や高度障がいを負った際に、保険金が残債の補てんに充てられる生命保険を指します。
現在はさまざまな種類の団信があり、基本保障以外にも、多くの特約プランを選べるのが一般的です。現在加入中の団信にはない、魅力的な保障を備えた団信もあるでしょう。
団信は住宅ローン専用の生命保険ですが、一般の生命保険が必要ないほどにまで、内容を充実させられる場合があります。団信の切り替えを目的として、借り換えを検討するのも一つの方法です。
3. 借り換えのデメリットは?
住宅ローンの借り換えには、いくつかのデメリットがあります。中には、メリットを帳消しにしてしまうものもあるため、利用する際はデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。
数々の手数料が発生する
住宅ローンの借り換えでは、さまざまな手数料がかかります。新しくローンを組む金融機関だけでなく、利用中の金融機関にもローンを終わらせるための手数料が必要です。
借り換え先の金融機関には、保証料・事務手数料・印紙税・抵当権設定登記費用などがかかります。現在契約中の金融機関には、完済手数料や抵当権抹消登記費用などを支払わなければなりません。
残高次第ではありますが、これらの費用を全て合計すると、300,000~800,000円程度の金額になるでしょう。
借り換えることで金額的なメリットがあるかどうかを、これらの諸費用も含めて検討する必要があります。
なお、現在「保証料型」の住宅ローンを借りている人は、支払った保証料が戻ってくる場合があります。この場合は、借り換えで発生した手数料を相殺できる可能性もあるかもしれません。
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審査や手続きが必要になる
借り換えの際は、新規でローンを組むときと同様に、審査を受けなければなりません。審査に必要な住民票や物件に関する書類を集めるのに、ある程度の手間がかかってしまいます。
特に物件関係の書類は、手元にない場合は不動産会社から取り寄せる必要があります。全ての書類がそろうまでに、時間がかかることも頭に入れておかなければならないでしょう。
ローンの借り換えで金融機関が変わると、ローン返済の引き落とし口座も変更する必要があります。給与振込口座から直接引き落とす場合は、勤務先への手続きも行わなければなりません。
住宅ローン控除の対象外になる可能性も
住宅ローン控除を受けている場合は、借り換えにより控除の対象外になる可能性があります。借り換え後も控除を受け続けたいなら、二つの条件に注意しましょう。
一つめの条件は、新しいローンが前のローンを返済するためのものであることが明らかな点、もう一つの条件は新しいローンの返済期間が10年以上である点です。
特に、借り換え後の返済期間の設定には気を付ける必要があります。ただし、新しいローンの返済期間を10年以上に設定しても、控除を受けられる期間は一つの物件につき当初の適用期間にて通算となります。
参考:No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき|国税庁
4. 住宅ローン借り換えはいつやるべき?
住宅ローンの借り換えには、適したタイミングがあります。いつやるべきか判断できない人は、以下に挙げるポイントを参考にしましょう。
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現在、0.8%以上の金利のローンを借りている場合
住宅ローンの借り換えによる最大のメリットは、金利差で受けられる返済額の減額です。
利用中のローンと借り換え先のローンの金利差が最低でも0.3%あれば、金額的な恩恵を受けられる可能性が高くなります。
現在、代表的なネット銀行やメガバンクの変動金利は低いもので0.5%台なので、利用中のローン金利が0.8%あるかどうかが借り換えの恩恵を受けられるかどうかの目安の一つといえそうです。
ローンの固定期間が終わるタイミング
3年・5年・10年などの固定金利期間を選択している場合、固定期間が終わるときタイミングも借り換えにおすすめです。
当初固定期間が終了した後も期間が残っている場合、同じ金融機関で継続すると、一般的に金利優遇幅は小さくなります。そのため金利が高くなり、返済額は増えるでしょう。
借り換えで金融機関が変われば、多くのケースで金利が低くなるため、返済額を減らせます。
ただし、同じ金融機関での継続なら審査はありませんが、借り換え時には審査が必要です。また、固定期間終了まで待たないほうが、借り換えでメリットを受けられる場合もあります。
転職の予定があるなら早めに行動
住宅ローンの審査では、勤続年数をチェックされます。勤続年数が短ければ、審査で不利になるのが一般的です。
借り換え時にも新しい金融機関による審査があるため、転職の予定があるなら転職前に借り換えをするようにしましょう。
一般的には、勤続年数が2年以上なら審査に影響は与えないとされています。金融機関によっては、半年や1年以上の勤続年数がなければ、審査すら受けられない場合もあるため注意が必要です。
5. 手続きに必要な書類と流れ
住宅ローンの借り換えで準備すべき書類を覚えておきましょう。手続きの大まかな流れも解説します。
借り換えに必要な書類は?
住宅ローンの借り換えでは、新しいローンの金融機関から審査を受ける必要があります。借り換えで準備すべき書類は、主に審査で必要な書類です。
運転免許証や健康保険証などの本人確認書類や、収入面での審査に必要な源泉徴収票・住民税課税証明書・所得税納税証明書・確定申告書の控えなどを準備しましょう。
物件関係の書類や登記事項証明書、現在のローンの償還予定表、火災保険証券なども必要です。他のローンがある場合は、そのローンの返済予定表も提出しなければなりません。
必要な書類は金融機関ごとに異なります。直前になって慌てることがないよう、早めに準備を始められるようにしておきましょう。
借り換え手続きの流れ
借り換えをする際は、最初に借り換えたい金融機関の審査を受けます。本審査を通過したら、現在利用中の金融機関に、一括返済する旨を申し出ましょう。
一括返済する際は手数料がかかる場合があります。また、一括完済の申し込み期日が定められているため、手続きが間に合うようにスケジュールを調整しましょう。
一括返済の申し込みが完了したら、新しい金融機関と契約を結びます。同時に、前の金融機関の抵当権抹消登記と、新しい金融機関の抵当権設定登記を行います。登記申請は司法書士に依頼するのが一般的です。
6. 自分に合った住宅ローンで借り換えしよう
住宅ローンの借り換えをすれば、ローンの返済額を減らせたり、保障がより充実した団信に切り替えられたりできます。長期固定金利に変更できる点もメリットです。
金利差が0.3%以上ある場合や、ローンの固定期間が終わるときが、借り換えに適したタイミングです。各銀行のプランを比較し、自分に最適なプランを見つけて借り換えましょう。