1. 1人暮らしの光熱費、その実態は
1人暮らしの人たちは、光熱費に月々どのくらいお金がかかっているのでしょうか。公的な資料から分かる実態を、水道代と併せて紹介します。
そもそも光熱費とは何を指すのか
『光熱費』とは、生活に必要な電気やガスにかかる費用です。使用量に応じて金額が変動するため、家電製品やガスコンロなどを頻繁に使用すれば、光熱費も高くなります。
光熱費と同様に毎月発生する費用が水道代です。電気・ガス・水道にかかる費用をまとめて、『水道・光熱費』ともいいます。
節約につながる家電製品が近年増えてきていることもあり、家庭間における光熱費の差が広がっています。水道・光熱費は工夫次第で削減できるため、生活費を見直したいなら水道・光熱費のチェックも大切です。
平均額は年齢によって変わる
総務省が実施した家計調査によると、令和2年10~12月における単身世帯の水道・光熱費の平均月額は10,705円です。内訳を見ると、電気代が5,135円、ガス代が2,533円、他の光熱費が795円、上下水道料が2,242円となっています。
水道・光熱費の年齢別の平均額は、単身世帯の34歳以下が6,785円、35~59歳が10,633円、60歳以上が12,191円です。年齢が高くなるほど、水道・光熱費も高くなっています。
男女別に見ると、男性の単身世帯の平均額は9,869円、女性の単身世帯は11,430円です。男性より女性のほうが、電気・ガス・水道を多く使っていることが分かります。
参考:男女,年齢階級別 1世帯当たり1か月間の収入と支出|総務省
2. 水道・光熱費の意外な事実
水道・光熱費は、地域ごとに大きな差があります。都市の規模が大きくなるほど安くなることも特徴です。
大都市のほうが光熱費は安い
大都市は地方より物価が高いイメージがあるため、水道・光熱費も高くなると思われがちです。しかし総務省の資料を見ると、都市の規模が小さくなるほど水道・光熱費は高くなることが分かります。
総務省の資料では、都市階級を『大都市』『中都市』『小都市A』『小都市B・町村』に分けています。それぞれの水道・光熱費の平均月額は、大都市が16,497円、中都市が18,819円、小都市Aが19,311円、小都市B・町村が21,330円です。
大都市の例を見ると、東京都区部は16,455円、大阪市は15,601円と、大都市の中でも平均的な金額かそれより低いことが分かります。水道・光熱費の中で大都市のほうが安い費用は、電気代と水道代です。
参考:都市階級・地方・都道府県庁所在市別 1世帯当たり1ヶ月間の収入と支出|総務省
水道代の格差は8倍以上も
水道・光熱費の中でも、水道代は特に地域差が大きい費用です。水道代が高い地域に比べ、8倍以上安い地域も存在するようです。
水道設備の建設やメンテナンスにかかる費用は、基本的に地域住民が支払う水道料金によりまかなわれています。人口の多い地域は1人当たりの負担費用が減るため、水道料金も安くなるのです。
地域内に大きな水源がなかったり、水源があっても水が汚染されていたりする場合は、水道代が高くなります。他の地域から水を引き込まなければならず、そこに余計な費用負担が発生するためです。
同じガスでも圧倒的に違う価格
地域差が出やすい費用としては、ガス代も挙げられます。ガス代に差が出る大きな理由が、プロパンガスと都市ガスの料金差です。
プロパンガスは都市ガスより料金が高く、地域によっては2倍以上の料金差が生まれる場合もあるようです。
プロパンガスは、取扱業者が自由に料金を設定できます。同地域内の業者は、1社だけ安くならないように協定を結んでいるため、プロパンガスの料金はどの地域も高い水準で落ち着いています。
配送コスト・人件費・設備費がかかりやすいことも、プロパンガスの料金が高くなる理由です。プロパンガスは家庭に配送して供給されるため、その分費用が高くなります。
3. 電気代を節約する3大ポイント
節約を意識せずに電気を使っていると、さまざまな部分に無駄が発生しやすくなります。電気代を節約できるポイントを押さえておきましょう。
毎日の生活を見直す
電化製品の電源やスイッチをこまめに切る意識を持てば、無駄な電力消費を抑えられます。待機電力をカットするために、使わない電化製品のコンセントもこまめに抜いておきましょう。
時間帯により電気代が変わる料金プランに加入し、電気代が安い時間帯に電気を使うようにすることで、電気代を削減できます。
住宅に断熱対策を施すのもおすすめです。熱が移動しやすい窓に断熱性を持たせれば、室温が一定に保たれやすくなるため、冷暖房の消費電力を減らせます。
大型家電の使い方を工夫する
多くの電力を消費するエアコンは、サーキュレーターや扇風機との併用がおすすめです。室内に冷気や暖気が行き渡りやすくなり、効率よく室内を適温にできます。
フィルターのこまめな掃除も重要です。フィルターが汚れていると、冷暖房の効果が弱まります。室温を効率よく設定温度にするために、風量設定は自動を選択するのが基本です。
冷蔵庫の使い方も見直しましょう。食材を入れ過ぎて冷気の循環が悪くなり、内部が冷えきらない冷蔵庫は、より多くの電力を消費します。
庫内の設定温度は、季節ごとに調節するのがおすすめです。温度が下がりにくい夏場は、設定温度を少し上げることで、消費電力を抑えられます。
電力会社や契約方法を変える
電力会社を切り替えることで、電気代を下げられる可能性があります。現在は電力会社を自由に選べるため、各業者のプランを比較し、複数社から見積もりを出してもらうとよいでしょう。
契約アンペア数の見直しも大事です。アンペア数が高いほど基本料金は高くなります。電力の使用量に合った、適切なアンペア数で契約する必要があります。
電気を使った分だけ支払う、基本料金無料のプランもおすすめです。月々の使用電力量が分かりやすくなり、節電の意識も高められます。
4. ガス代の節約はお風呂とキッチンが重要
日頃の生活スタイルを見直して、ガス代を節約できる方法を紹介します。電気代と同様に、提供会社や契約プランの見直しも検討しましょう。
お風呂のガス代を節約する方法
お風呂で最も気を付けたいポイントは保温です。冷めたお湯に追い焚きを使うと、ガス代が上がってしまいます。保温する必要がある場合は、保温シートを使いましょう。
シャワーの使い過ぎも、ガス代が上がりやすい原因の一つです。ただし、1人しか使わない場合は、お風呂よりシャワーのほうがガス代を節約できます。
温度の上げ過ぎにも注意が必要です。できるだけ温度を低くし、お湯の量も少なめに使えば、ガス代の節約につながります。
キッチンの使い方でガス代は大きく変わる
キッチンで意識すべきポイントは、ガスの使用時間を減らすことです。野菜の下茹でを電子レンジで代用したり、湯沸かしに電気ケトルを使ったりすれば、ガスの使用時間を短縮できます。煮物より炒め物のほうが短時間で済む点もポイントです。
ガスコンロを使う際は、鍋底から炎がはみ出さないように火力を調節しましょう。中火が最も効率よく鍋を加熱できます。鍋の大きさは、小さめより大きめがおすすめです。
鍋の素材は、熱伝導率の高いものを選びましょう。薄い鉄・銅・アルミでできた鍋なら、短時間で素早く調理できます。
ガス会社やプランを見直す
2017年に都市ガスが自由化されたことで、地域独占型の都市ガス供給がなくなり、ガス会社を自由に選択できるようになりました。
これをきっかけに市場競争が活発化し、割り引きプランを用意するガス会社も増えています。今までガス会社を気にしていなかった人は、気になった会社やプランを比較してみるとよいでしょう。
電気とガスをまとめてお得に利用できるセット割もおすすめです。電気代とガス代のどちらかが割り引かれるなど、業者ごとにさまざまなメリットを受けられます。
5. 水道代はこうやって節約する
水道代を節約できる主な場所は、お風呂・トイレ・キッチンです。それぞれの場所で節水につなげられるコツを覚えておきましょう。
お風呂は水道代節約で最も重要
お風呂は家の中で最も水を使う場所です。お風呂での水道使用量を削減できれば、水道代の大きな節約につながります。
シャワーをよく使う場合は、節水タイプのシャワーヘッドを取り付けるのがおすすめです。浴槽に追い焚き機能が付いているなら、お湯をためる回数を2〜3日に1回にするとよいでしょう。お湯をため過ぎないことも重要です。
残ったお湯は、洗濯や庭の水やりで上手に使い切るのがポイントです。お湯が冷めないうちに洗濯で使えば、洗濯物の汚れも落ちやすくなります。
トイレで使う水の量を調節する
トイレで流す水の量は、『大』と『小』で差があります。1回分の差は小さくても、回数を重ねれば比較的大きな金額差になります。
毎回『大』で流す癖がある人は、きちんと使い分ける意識を持ちましょう。年間数千円の節約につながる可能性もあります。
水の補給量を調節できる節水アイテムを使うのもおすすめです。トイレ専用の節水グッズは、ホームセンターなどで販売されています。
炊事で使う水を減らす
キッチンに食器洗い機を設置すれば、炊事で使う水の量の大幅な削減が期待できます。近年販売されている食器洗い機には、節水を意識して開発されている商品が増えています。
食器を洗う際に、水を流しっぱなしにしないことも大事です。水を止めた状態で食器を洗剤で洗い、後から一気に水で洗い流せば、水の使用量を減らせます。
食器の目立った汚れは、キッチンペーパーなどであらかじめ拭き取っておきましょう。汚れが少ない状態で食器を洗い始めれば、時間と水の量を節約できます。
6. 節約と消費のバランスを考えて暮らそう
1人暮らしにおける水道・光熱費の平均額は、年齢や地域により異なります。平均値を大きく超えているようなら、電気・ガス・水道の使い方を見直す必要があるでしょう。
日頃から節約する意識を持って過ごせば、水道・光熱費を大幅に削減することも可能です。消費とのバランスも考えながら、少しでも節約につながる生活を送りましょう。