1. 住宅ローンの全疾病保障とは?
全疾病保障とは、住宅ローン利用者が住宅ローンの返済期間中に死亡・高度障害になった場合の他、全ての病気、けがによる就業不能状態に備えた団信です。
就業不能状態が1年以上継続した場合に、その時点の住宅ローン残高相当の保険金の支給により住宅ローンが完済され、住宅ローン利用者はそれ以降の住宅ローンの返済から解放されます。
住宅ローンは個人にとって最大の借金であり、何らかの病気やケガが原因となって働けなくなり、収入が途絶えて返済できなくなるリスクに備える、という意味では非常にメリットが大きいと言えるでしょう。
各種団信のカバー範囲についてまとめたものが以下の図です。
2. 全疾病保障の保障内容
全疾病保障の死亡・高度障害以外の具体的な保障内容は下記の通りです。
全疾病保障は、まず「全ての病気やけがによって働けない状態が継続する場合」に12ヶ月に渡り住宅ローンの毎月返済額が保険金として支給され、その状態が12ヶ月以上継続するとその時点の住宅ローン残高に相当する保険金が支給されるというものです。
全疾病保障には、「がんと診断されただけで住宅ローンが0円になる」、いわゆるがん保障が含まれていない点に注意が必要です。
保障対象 |
保険金支払事由 |
全ての病気やけが |
① 所定の就業不能状態になった場合、 最大12ヶ月に渡り月々の住宅ローン返済額が保険金として支払われます。
② 180日以上入院又は所定の就業不能状態が12ヶ月継続した場合、 住宅ローン残高相当額が保険金として支払われます。 |
3. 全疾病保障の上乗せ金利とは
住宅ローンの全疾病保障は、単体で提供している金融機関はほとんどなく、他の団信に付随して無料で付いている場合が一般的です。
例えばauじぶん銀行はがん保障に、住信SBIネット銀行は3大疾病保障に、茨城県地盤で関東〜東北を幅広くカバーする常陽銀行は3大疾病保障に、全疾病保障が無料で付いています。
4. 金融機関ごとの比較
各金融機関の全疾病保障の概要は下記の通りです。
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金融機関名 |
加入時年齢 |
完済時年齢 |
上乗せ金利 |
保障内容 |
auじぶん銀行 |
50歳以下 |
80歳未満 |
なし |
・がん50%保障やがん100%保障に無料で付帯 ・入院が180日以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 |
住信SBIネット銀行 |
65歳以下 |
80歳未満 |
なし |
・8大疾病で就業不能状態が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 ・8大疾病以外で入院が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 |
PayPay銀行 |
取扱なし |
|||
三菱UFJ銀行 |
取扱なし |
|||
りそな銀行 |
取扱なし |
|||
SBI新生銀行 |
取扱なし |
|||
常陽銀行 |
50歳以下 |
75歳未満 |
なし |
・3大疾病保障に無料で付帯 ・就業不能状態が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 |
ARUHI |
50歳未満 |
81歳未満 |
0.15%〜0.60% |
・就業不能状態が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 ・がんと診断された場合100万円(上皮内がん又は皮膚がんと診断された場合は50万円)支給 ・病気・けがによる連続5日以上の入院の場合、総額120万円まで支給 ・病気・けがによる連続31日以上の入院の場合、12ヶ月まで毎月の住宅ローン返済額を支給 |
イオン銀行 |
50歳未満 |
80歳未満 |
なし |
・就業不能状態が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 |
楽天銀行 |
51歳以下 |
80歳未満 |
なし |
・がん50%保障やがん100%保障に無料で付帯 ・就業不能状態が1年以上継続した場合、住宅ローン残高相当額が支給 |
ソニー銀行 |
取扱なし |
5. 全疾病保障の注意ポイント
(1) 保険金支払事由が異なる
全疾病保障は、就業不能状態が一定期間継続すると、その時点の住宅ローン残高相当の保険金が支給されますが、金融機関によってその条件が異なります。前項の表に保険金支払事由を記載しているので、確認して下さい。
(2) がん保障がない
全疾病保障は全ての病気やけがを対象としていますが、就業不能状態になって初めて保険金支給の対象となります。
「がんに罹患しただけで保険金が支給される」がん保障は含まれていない点に注意しましょう。
(3) 年齢制限がある
全疾病保障が他の疾病団信に付随して付いてくる場合、一般的には51歳以上だと利用できません。
6.オススメの全疾病保障2選!
以下が全疾病保障のオススメ2選です。
住宅ローンは審査を通過できて初めて利用することができるため、気になる方はまずは申込みしてみると良いでしょう。
低金利住宅ローンの代表格であるauじぶん銀行は、がん50%保障団信やがん100%保障団信に全疾病保障が付帯しています。
ベースの金利が低いので、低金利を使いながら幅広い保障を受けられることが大きなメリットです。
住信SBIネット銀行の団信、「スゴ団信」には全疾病保障が付帯されています。
最近は資産運用でSBI証券を利用しているなどの理由で、住信SBIネット銀行に口座を持っている方も多いでしょう。
住信SBIネット銀行もauじぶん銀行同様に低金利の住宅ローンを提供しており、全疾病保障が気になる方は検討すべき銀行といえます。
7. まとめ
全疾病保障はあらゆる病気やけがで就業不能状態になった場合に保険金が支払われ、カバー範囲が広いのが特徴です。
ただ、全疾病保障単体というより他の疾病団信とセットで提供されるケースが多いので、疾病保障付きの団信を選ぶ際にプラスアルファとして全疾病保障がついているかどうかを確認することをおすすめします。