1. つなぎ融資とは?
住宅の購入を具体的に検討するまで、住宅ローンについては知っていても、『つなぎ融資』は知らなかったという人も多いのではないでしょうか。つなぎ融資とはどんなものなのか、また利用までの流れについて解説します。
一時的な資金繰りのために使われる融資
住宅ローンは、基本的に購入した家が完成した段階で融資が始まります。しかし実際には、着工金など家の完成前から発生する支払いは数多くあります。
つなぎ融資は、住宅ローンの融資実行までに資金ショートが起きないようにつないでおくための融資です。住宅ローンの融資が実行されるまでは利息のみを返済し、融資が始まったら住宅ローンで借入分を一括返済するのが基本的な仕組みです。
つなぎ融資を利用する流れ
つなぎ融資はその性質上、住宅ローンを借りる予定の金融機関に、住宅ローンの申し込みと合わせて申し込む必要があります。
利用を申し込むと審査が行われ、審査に通れば融資が実行されます。ただし、住宅ローンのように借入額が一括で振り込まれるのではなく、支払いが必要なタイミングでその都度融資を受ける形になるのが一般的なスタイルです。
つなぎ融資を利用するときに注意したいのは、全ての金融機関で扱っているわけではないという点です。つなぎ融資の利用を必要なケースでは、住宅ローンを申し込む金融機関のつなぎ融資の扱いの有無を事前に確認する必要があります。
融資回数や金額に制限がある場合もあるので、必要なタイミングで必要な額の融資を受けられるのか、事前に必ずチェックしましょう。
2. 必要になる場面
次に、つなぎ融資はどういった場合に利用すべきものなのかを理解するために、融資が必要になる具体的なケースについていくつか紹介していきます。
引き渡しにローン実行が間に合わないとき
住宅ローンの実施には審査が必要です。通常は住宅の引き渡しに間に合うようにスケジュールを組みますが、工事の過程で融資の増額が必要になったといった理由で再審査が行われる場合もあります。
融資の実行が住宅の引き渡しに間に合わない場合に、つなぎ融資を活用することができます。
住宅を購入する場合には、現在住んでいる家やマンションを売却し、その資金を新居の購入資金に充当するケースもあります。しかし不動産の売却は予定通りに進まないことも多いため、売却金を得るまでの間、つなぎ融資を利用する場合もあります。
注文住宅を建てるとき
住宅ローンを利用する場合、融資金額に見合った『担保』を設定することが求められます。通常は完成した建物が担保になります。分譲マンションや建売の一戸建てを購入する場合には、すでに担保となる建物があるため、購入代金の全額を住宅ローンでまかなうことができます。
しかし注文住宅では、担保となるべき建物の完成前に、工事の着工金や中間金、土地から購入した場合には土地の購入代金などの支払いが生じます。そのためつなぎ融資の必要性が生じるのは、注文住宅を建てる際が中心になります。
3. つなぎ融資を活用するメリット
つなぎ融資を活用する最大のメリットは、担保がなくても必要な資金が準備できる点です。
例えば住宅建築に際し土地も購入した場合、住宅ローンの融資前に何千万円単位での自己資金を準備する必要があります。しかも住宅完成前なので無担保であることから、一般的な借入は条件的に難しく、金利も高く設定されがちです。
しかしつなぎ融資では、前提として住宅ローンの利用があり、金融機関の審査に通りやすいでしょう。さらに住宅ローンと同程度の低金利に設定している金融機関もあり、一般的な無担保融資よりも低金利でまとまった資金を借りることができます。
資金繰りの心配が減る
注文住宅を建てる場合、建物が完成する前に土地購入代金、着工金、中間金など、最低でも3回はまとまった金額が必要になります。
これらの支払いができるだけの潤沢な資金が手元にあれば問題ありませんが、そうでない場合には、支払いの都度、どこかから借入を行ったり、実家から一時的に融通を受けたりなど、金策を行う必要があります。
しかしつなぎ融資を利用すれば、通常の無担保融資より低金利で必要な時期に必要な金額の融資が受けられるので、資金繰りの心配を減らすことができます。
余裕を持った売却や購入が可能
特に現在の住居を売却し、その資金を新たな住宅の購入資金に充当しようと思っている場合、つなぎ融資を受けることで、売却が完了していなくても必要な資金を確保できます。
売却を急ぐあまり予定していた金額以下で売却せざるを得ない、といったリスクを減らすことができます。
さらに大きいのが、仮住まいを回避できる可能性が高まる点です。もし現在の住居を思いのほか早く売却できると、退去する必要が生じます。その状況で新しい住居がまだ完成していない場合、どこかに仮住まいを確保しなくてはいけません。
そうなれば、家賃以外にも引っ越し費用などの負担が発生します。こうしたケースにつなぎ融資を利用することで、利息の支払いが発生したとしても、全体のコストを抑える結果になる場合があります。
4. 利用にはデメリットも
一時的とはいえ、つなぎ融資も借金であることに変わりはありません。そのため、つなぎ融資を利用するすることで、金利負担といったデメリットが生じます。具体的に見てみましょう。
住宅ローンより金利が高い
金融機関により違いはあるものの、つなぎ融資の金利は、一般的に住宅ローンの金利と比較すると高く設定されている場合が多い傾向があります。
その理由は担保の有無です。住宅ローンには融資を受けて購入する住宅が担保となります。しかしつなぎ融資の場合には、担保は不要です。
こうした事情から、つなぎ融資の利息は平均約2~4%と、住宅ローンの利息と比較すると割高に設定されている場合が多いでしょう。
手数料や印紙代がかかる
つなぎ融資を利用することで余分にかかる費用は、利息だけではありません。つなぎ融資に限らず、融資を組む場合にはさまざまな諸費用がかかります。つなぎ融資の場合も例外ではありません。
つなぎ融資を利用する場合に必要になる諸費用には、主に次のようなものがあります。
- 印紙代(印紙税)
- 事務手数料:融資を受ける際に金融機関に支払う手数料
- 住宅融資保険料:債務不履行に備えるための保険
- 団体信用生命保険:借り手の死亡リスクに備えて加入が求められる生命保険
住宅ローン控除は受けられない
住宅ローンの場合、条件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。控除の条件として、住宅ローンの融資を受けた住居が完成していることや、入手から6カ月以内に居住を開始することがあります。
そのため、住居の完成に先立って融資を受け、基本的には住居が完成して住宅ローンの融資を受けて返済が完了するつなぎ融資の場合は、住宅ローン控除の対象に含まれません。
5. つなぎ融資以外の選択肢
もし手元に十分な資金がない場合でも、資金を準備する方法は考えられます。つなぎ融資以外の方法を具体的に紹介します。
親から援助を受ける
つなぎ融資以外の資金調達法として一般的なのが、親から援助を受ける方法です。ただ、この場合には『贈与税』に注意しなければなりません。
親子間といえども、一定額を超えて金銭のやりとりが発生した場合には贈与税が発生します。その額は年間110万円に設定されています。ただし『住宅取得等資金の非課税制度』を利用すると、一定要件を満たせば最大3,000万円まで贈与税が非課税になります。
この制度を活用するためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた全額を使用して住居を建築し、さらにそこに居住する必要があります。
分割融資がある金融機関と契約する
本来、住宅ローンによる融資は、建物の引き渡し時に一括で行われるものです。
それに対し、土地代や工事の着手金など、住宅完成前にまとまったお金が必要な際に融資を受けられる制度に『住宅ローンの分割融資』があります。
分割融資はあくまで住宅ローンの一部であるため、住宅ローンと同じ金利が適用されるため、つなぎ融資より低利で融資が受けられます。
さらに土地の取得から2年以内に建物を建て、そこに居住するといった一定の条件を満たせば、住宅ローン控除の適用も受けられるため、積極的に活用したい制度です。
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6. つなぎ融資を知りうまく活用しよう
つなぎ融資は、手元にまとまった資金がなくても、住宅完成前の支払いの調整に追われることなく注文住宅を建築できる非常に便利な融資制度です。
その一方、融資であるため利息の負担などを免れることはできません。その仕組みをよく理解した上で、上手な活用方法を検討しましょう。
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