1.来月のフラット35の金利はどうなる?
2023年4月のフラット35の金利は1.820%、フラット20の金利は1.660%と、いずれも3月から0.14%低下すると予想します。
この予想は、フラット35を運営する住宅金融支援機構が2023年3月17日に発表した「貸付債権担保第191回住宅金融支援機構債券」(以下、機構MBS)の発行条件に基づき、モゲチェックが予想したものです。
2022年以降、世界的なインフレへの対処のため、政策金利の引き上げによる金融環境の引き締めが続いてきました。日本でも12月に日銀が金融政策を修正したこともあり、日本の長期金利(10年国債利回り)が上昇し、この影響を受ける住宅ローン固定金利は上昇し続けてきました。
こうした中、3/10にアメリカのシリコンバレー銀行(SVB)が破綻したとのニュースが世界を巡りました。その後金融市場では連鎖的な銀行破綻への懸念からリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる債券(国債など)が買われたことで世界的に金利が低下しています。この予想を執筆している3/17時点では金融市場は落ち着きを取り戻していない状態であり、当面はリスク回避ムードが続くとみられることから、結果的に4月は住宅ローン固定金利が低下すると予想します。
なお、モゲチェックでは今後も変動金利が上がらず、安定した低金利が続くと考えています。固定金利は4月に低下するとしても、いまだ高水準での推移となる可能性が高く、相対的に変動金利の方が魅力的な状況だと考えています。変動金利が上がらないと予想する理由については以下の記事でも解説していますので、ご興味ある方はお読みください。
>>変動金利が上がらないと予想する理由は?解説記事はこちら
日銀新総裁の植田氏が所信を表明。金融政策・住宅ローン金利への影響は?(2023.2)
住宅ローン変動金利はいつ何%へ上がる?2050年までの金利予想
図1 フラット35の金利推移
図2 機構MBSの発行条件とフラット金利予想
|
2023年3月 |
2023年4月 |
差 |
機構MBS利率 |
1.09% |
0.95% |
-0.14% |
対国債スプレッド |
0.59% |
(公表なし) |
- |
フラット35金利 |
1.96% |
1.82%(予想) |
-0.14% |
フラット20金利 |
1.80% |
1.66%(予想) |
-0.14% |
参照元:
2.フラット35の予想方法について
ここではモゲチェックがフラット35金利をどのように予想しているか解説します。
通常、フラット35の金利は機構MBSの利率によって決定されます。住宅金融支援機構が機構MBSで金融市場から資金調達し、その資金を住宅ローン利用者へのローン貸し出しに振り向けるためです。そして機構MBS利率は、長期金利(10年国債利回り)の動きに連動します。
そのため、
- 長期金利が上がり、機構MBS利率が上がると、フラット35金利が上がる
- 長期金利が下がり、機構MBS利率が下がると、フラット35金利が下がる
という動きになるのが通例です。モゲチェックではこの通例に則り、これまでフラット35の金利予想を行っています。
図3 フラット35と機構MBSの関係
3.フラット35を取り巻く金融政策・日銀の状況
フラット35は「長期金利→機構MBS利率」という経路で決定されていますが、そのベースとなる長期金利は従来、「0%からプラスマイナス0.25%」の範囲での値動きとなるよう日銀がコントロールしていました。この変動許容幅を「0%からプラスマイナス0.50%」へと拡大したのが昨年12/20の日銀の政策修正であり、大きなニュースとなりました。実際にこの直後に長期金利は0.5%へと急上昇しました。そして、SVB破綻の影響から、足元では長期金利が大きく低下しています。
図4 長期金利
日銀は4月に現職の黒田総裁が任期満了となり、経済学者出身の植田和男新総裁が誕生します。
4月末頃には新総裁のもと初めてとなる日銀の金融政策決定があり、この際に長期金利をコントロールする政策が撤廃される可能性があります。日銀による長期金利コントロールは住宅ローン固定金利に大きく影響を与えることから、銀行破綻の問題も含め、モゲチェックでは国内外の金融・経済情勢を踏まえて住宅ローン金利に関する情報を発信していきます。
>>日銀の総裁交代についての解説はこちら
日銀新総裁の植田氏が所信を表明。金融政策・住宅ローン金利への影響は?(2023.2)
いかがでしたか。
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フラット35ってどんな住宅ローン?
特徴やメリット・デメリットを解説
| フラット35とは?
住宅金融支援機構と全国300以上の金融機関が提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」です。
住宅ローンの利用者が返済できなくなったときに住宅金融支援機構から金融機関に保険金を支払うタイプのフラット35である「保証型」、住宅ローンの債権を住宅金融支援機構が金融機関から買い取るタイプのフラット35である「買取型」と大きく2つに分かれています。
| フラット35の審査の特徴
フラット35は住宅金融支援機構が提供元となっている公的な色合いのある住宅ローンで、さまざまな人が利用しやすいよう設計されています。
年収や雇用形態といった申込人の属性に対する審査は柔軟で、例えばパート・アルバイトや派遣社員といった非正規雇用の方や、業歴の浅い自営業者や法人役員、また転職直後で勤続が浅い方でも利用しやすくなっています。また、団信の加入が必須ではないため、健康上の理由で団信審査に落ち民間金融機関の住宅ローンを組めなかった方も利用しやすいでしょう。
一方で、購入する物件そのものに対する評価は民間金融機関よりも厳しい傾向があります。例えば建築物が適法であることを証明する「検査済証」が交付された物件でないとフラット35は利用できません。その他にも接道義務や住宅の規格、耐久性、耐震性などの基準が設定されています。
<フラット35の主な特徴>
- 返済額が変わらない!
- 全期間固定金利なので、毎月の返済額が急に変わることはありません。返済計画や生活設計をしやすくなっています。
- 繰り上げ返済手数料が無料
- 余計な費用をかけずに繰り上げ返済を進めることが可能です。
- 本人の属性に対する審査が柔軟
- 明確な条件が公表されているので、さまざまな人が利用しやすい設計となっています。非正規雇用の方や
- 団体信用生命保険への加入が任意
- 健康上の理由で民間金融機関のローンを組めなかった人は、団信に加入しない選択肢をとることができます。
- 物件に対する基準に注意
- 物件の性能評価が民間金融機関よりも厳しい傾向にあります。
- 金利水準は高め
- 全期間固定金利なので金利水準が高めです。民間金融機関の変動金利に比べると、返済総額が高くつくリスクがあります。
| 保証型が向いている人は?
フラット35の保証型は、住宅購入時に自己資金を1割以上入れる方に向いており、より低金利で35年固定金利を使うことできたり、「買取型」にはない充実した団信保障を利用することができます。
例えばフラット35で14年連続シェアNo.1(※)のARUHIは自己資金の割合に応じて多種多様な金利プランを用意しています。
※2010年度-2023年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2024年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
| 買取型が向いている人は?
フラット35の買取型は、自己資金を抑えてなるべくフルローンを組みたいという方に向いています。
| フラット35のポイント制とは?
取得する住宅の設備・エリア等に応じて金利を引き下げる制度で、2022年10月に開始されました。
太陽光発電・省エネといった住宅性能や管理・修繕、エリアに応じて1~4ポイントが付与され、最大で10年間・0.5%の金利引き下げを受けることができます。詳細は各社公式サイトにてご確認ください。
| フラット35をもっと比較したい方には
フラット35は保証型や買取型、さらに保証型の中にはさまざまな商品を各社が用意しており、比較が難しくなっています。
モゲチェックではフラット35を比較できる特設ページを用意しているので、フラット35を組みたい方はぜひご覧ください。